第十一話 隠しエリアの首長竜、倒してみた
ダンジョン探索を終えた哲人たち。
三人は宿へと戻ってきた。
古い民家を改築して作られた宿で、部屋は広くはないが清潔感のある良い雰囲気のところだ。
ここの食事はとても美味しいと評判らしい。
特に海鮮料理が絶品であるようだ。
ユキも夢中で食べている様子である。
「美味しいですね」
「うん、おいしい」
なで子とそんな会話を交わしながら食事を楽しむ三人。
こうして楽しい食事の時間は過ぎていったのだった。
そして翌日、彼らは再びダンジョンへと向かうことにした。
今日は昨日よりも少し奥地まで進んでみる予定なのだという。
昨日いけなかった例の奥の道も気になる。
しかし…
「あれ?何か騒いでる…」
ユキが異変に気付いた。
ダンジョンの入り口で何やら騒ぎが起きているようだ。
警察や村の役員などが集まっている。
どうやら何かあったらしい。
「ちょっと聞いてみる?」
なで子がそういった。
近くにいた人に尋ねることにした。
「実はダンジョン内で行方不明になった子がいて…」
話を聞くところによると、この村に住む少年が昨日から帰っていないらしいとのこと。
今朝になって捜索隊が結成されたのだそうだ。
現在は入り口を封鎖しており、対策を行っている最中だという。
できれば哲人たちにも協力してもらいたいとのことだった。
なで子は…
「どうする?ウチは構わないけど」
「私も」
「俺もかまわないよ」
「分かりました、是非協力させてください!」
どうせ最初からダンジョンに潜るつもりだったのだ。
断る理由もない。
このダンジョンの地図を村の人から用意してもらった。
それを見ながら進んでいくことにしようと思う。
「じゃあ行きましょうか」
こうして行方不明者を探すダンジョン探索が始まったのだった。
既に捜索隊の人たちがおおよその場所は探したが、みつからなかったらしい。
なで子がドローンを使って周辺を探索している。
「撮影用だけど、こういう使い方もできるんだよね」
その間、哲人とユキは周囲の警戒を行うことにした。
万が一魔物に襲われでもしたら大変だからだ。
そんな時、ユキがあることに気が付いた。
「もしかしたら…」
昨日みつけた隠れ道、あそこに入ってしまったのかもしれない。
ユキはそう言った。
よく見ると、この地図にも書かれていない。
隠し通路だったようだ。
「それだ、間違いないよユキ!」
「行こう、確か一番下の階層だ」
そう言うなで子と哲人。
三人はすぐ、昨日の隠し通路へと向かった。
しばらく進むと、昨日も訪れた大きな部屋に出た。
天井が高く、広さもかなりある場所だ。
そして例の隠し通路へ入っていく。
「ここね…」
「うん」
なで子の言葉に頷いて答えるユキ。
狭い道を抜けた先。
そこに…
「哲人さん!あれ!」
なで子が叫ぶ。
見てみると、なんとそこに少年がいたのだ。
どうやら怪我をしているようで気を失っているようだ。
ユキが少年を保護する。
「助けないと!」
「う、ううん…」
少年が目を覚ます。
どうやら意識を取り戻したようだ。
「大丈夫か?」
哲人が聞くと、少年は不思議そうな顔をして言った。
「あ、はい…大丈夫です…」
答える少年。
まだ状況が飲み込めていないらしい。
とりあえず安全な場所に移動させるべきだろう。
ということで、彼たちはダンジョンの外へ出ることにした。
しかし…
「危ない!」
というなで子の声が聞こえてくると同時に、彼は戦闘耐性をとる。
魔物の気配を感じたのだ。
現れたのは大きな首長竜のような姿をした魔物だった。
首長竜のような姿をしたこの魔物の名前は『アクア・サーペント』というらしい。
大きさは5メートル以上もあり、鋭い牙を持っているのが特徴的である。
しかし、このダンジョンには強力な魔物はいないはず…
「何故こんな魔物が…?」
疑問に思う彼だったが、今はそれどころではない。
思い戦闘に集中することにする。
「その子は任せた、俺がこれの相手をする!」
そう言って彼は剣を構える。
なで子が黙って頷く。
少年を抱えながら走り去っていく彼女の姿を確認することができたので一安心だ。
さて、どうやって倒すかだ。
油断はできない相手であることは間違いない。
「あいつのレベル、30は超えてるよ」
ユキが呟く。
彼のサポートをするためにこの場に残ったらしい。
彼のレベルは70を超えているが、まだ力の使い方に慣れていない。
まずは相手の出方を伺うことにしようと思う。
「ユキも戻ったほうが…」
「ううん、大丈夫。サポートするから」
首長竜のような姿をした魔物『アクア・サーペント』がこちらに向かって攻撃を仕掛けてきた。
鋭い牙による噛みつき攻撃だ。
彼は素早く回避行動をとり、攻撃を躱すことに成功した。
その際に背後にあった岩壁に大きな穴が空いてしまったのである。
まるで紙切れのように簡単に切り裂かれてしまったのだ。
「ヒッ…」
ユキが驚嘆の声を上げる。
彼女のレベルは9、アクア・サーペントとは20以上の差がある。
ユキにとっては恐るべき威力であることは間違いないだろう。
しかし、哲人にとっては見切れない動きではない。
「…よし」
その後も何度か攻撃を仕掛けてくるアクア・サーペント。
だが、彼は冷静に対処していくことに成功する。
どうやら相手はそれほど知能が高いわけではないようで、単調な攻撃を繰り返すばかり。
単調な動きしか見せないため回避するのは容易だ。
埒が明かないと判断し、攻勢に出ることにしたのである。
「くらえっ!」
彼は渾身の一撃を放つことにした。
掛け声とともに放たれた斬撃は見事に命中。
アクア・サーペントの胴体を真っ二つに切り裂いたのである。
血飛沫を上げながら倒れる魔物を見て、ホまだ油断はできないと思い再び身構える。
しかし、どうやら杞憂だったらしく攻撃してくる様子はなかった。
行動を停止と判断していいだろうと思う。
「よし」
「やった!」
ユキが笑顔で言った。
その後は特に問題もなくダンジョンから出た。
なで子と合流し、行方不明の子どもを捜索隊の人たちに引き渡した。
その後、彼たちは宿へと戻ったのだった。
「なで子はどうだった?」
彼が聞くと、彼女はこう答えたのである。
「いろいろと聞かれちゃって…ははは…」
どうやらなで子がそこそこ有名なダンジョン配信者であることは、村の人たちにも知られていたようだ。
まあ、あれだけ派手に配信していれば当然だろうと思う哲人。
しかし、まさか行方不明の少年を発見するとは思っておらず驚いているらしい。
「哲人さんがいなかったら危なかった、ありがとうございます」
その後、なで子は村の人たちから質問攻めにあっていた。
大変そうではあるが、なで子は嫌な顔一つせず丁寧に答えていた。
さすがは人気ダンジョン配信者といったところだろうか。
哲人は彼女の凄さを改めて実感することとなったのだった。
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