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屋根裏ダンジョン育ちの無名剣士、配信で正体を隠したまま無双する  作者: 剣竜


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第一話 世良木哲人の屋根裏ダンジョン

 ある日、屋根裏部屋がダンジョンになっていた。

 意味がわからないだろうが、現実の話だ。

 この借家の住人である青年、『世良木哲人せらぎ てつと』も困惑を隠せないでいた。


「…なんだよこれ」


 ダンジョンというものは知っている。

 十年ほど前から、日本の各地で出現しているものだ。

 いろいろと社会的にもめたが、今は法の整備もされている。

 しかし、そう言ったダンジョンはかなり大規模なものだと聞いていた。

 屋根裏に出現するダンジョンなど聞いたことが無い。


「ダンジョンか…」


 彼が住んでいるのは郊外の古い一戸建ての家、一人暮らしだ。

 元々は都会に住んでいたが、いろいろあって田舎に引っ越してきたのだという。

 築四十年の木造で、壁は薄くて隙間風が入り放題

 だが、激安の物件だった。


「う~ん…」


 そのダンジョンは、一メートルにも満たないほどの小さな扉だった。

 屋根裏の整理をしていると、屋根裏に見覚えのない扉を見つけたのだ。

 最初は何だろうと思ったのだが、その扉が開いて中に下りる階段があるのを見て驚いた。

 その時はまさか、その階段がダンジョンの中に続いているとは思ってもみなかった。


「この扉ってどこに繋がっているんだ…?」


 彼は思わず扉を潜った。

 すると次の瞬間、彼の体はダンジョンの中にあった。

 まさか本当にダンジョンにつながっているとは思いもしなかった。


「え? は? ええ?」


 変な声を上げる哲人。

 思わず夢でも見ているのかと思った。

 だがしかし、目の前に広がる光景に驚いたのだ。

 そこはまるで洞窟の中のような、岩肌が剥き出しのゴツゴツした通路だった。


 それからしばらく、そのダンジョンを見て回った。


 だが、特に何も見つけることはできなかった。

 ただの空洞なのだろうか。

 こういったところにはモンスターが出るのがおなじみだが、そんなものもなかった。


「やっぱり、これは夢なのか?」


 しかしはっきりとした現実感を感じている。

 目の前に広がる光景は夢とは思えなかった。


「ダメだ、訳が分からねェ」


 彼は頭を抱えて、その場に転がった。

 と、その時だった。

 突然、物陰から金色の小さな魔物が現れた。


「あ?」


 それは小さなスライムのような不定形の魔物だった。

 哲人の姿を見て驚き、逃げ出そうとしたのだが…


「おおっ!」


 金色のスライムが突然動いたことで、哲人は思わず後退した。

 いや、してしまった。


「やべッ…!」


 足の裏から妙な感触がする。

 やってしまった。

 この感覚はつまり、金色のスライムを踏み潰してしまったのだ。

 哲人は子供の頃、凍らせていない保冷剤を踏み潰してしまった感覚を思い出してた。


「あ…」


 色々な感情が頭をよぎる。

 しかし次の瞬間…


「え?」


 哲人は金色のスライムが動かなくなった場所を見た。

 そこには小さな魔石と、小さな金の粒が置かれていたのだ。


「倒した…ってことか?」


 金の粒を拾い、その場に立ち尽くす哲人。

 ゲームや漫画の中でしか見たことのない光景だった。

 それが目の前で起こったことに、彼は驚きを隠せなかった。

 そんな時だ、頭の中から声が聞こえたのは。


『…けました』


「え?」


『おめでとございます、レベルが上がりました』


「は? え? なに?」


 頭の中に突然響いた声に驚きを隠せなかった。

 すると再び、声が聞こえた。


『おめでとうございます、レベルが上がりました』


「は?」


『ステータス閲覧が可能になりました』


 哲人は訳も分からずに呆然とした。

 そして次の瞬間、驚くべきことが起きた。


「ちょ、え? なんだこれ?」


 体が光に包まれ、そして頭の中にレベルが上昇したというアナウンスが流れた。

 その直後、身体の奥から力がみなぎってくるのが感じる。


「なにがなんだかわからないんだけど…」


『おめでとうございます。レベルが2になりました』


「は?」


 訳も分からず呆然とした表情でその場にたたずむ哲人。

 すると再び、声が聞こえた。


『おめでとうございます。レベルが3になりました』


「は?」


 訳も分からず呆然としたまま、返事をする哲人。

 そして次の瞬間、さらに体が光り輝きレベルが上昇したというアナウンスが流れたのだ。


「ええ!?」


「おめでとうございます、レベルが4になりました」


『おめでとうございます。スキルポイントを1獲得しました』


「は?」


『おめでとうございます。スキルポイントを1獲得しました』


「…」


 あいかわらず、彼は訳も分からず呆然とした。

 そして次の瞬間、頭の中に再び声が響いた。

 それはレベルが上がるたびに聞こえる。

 次々と上がっていくレベル、そして頭の中に響く声。


「ちょ、ま、待って! ストップ! ストーップ!」


『おめでとうございます。レベルが5になりました』


「ストップって言ってんだろうが!!」


 思わず声を荒らげる哲人。


『おめでとうございます。レベルが6になりました』


 頭の中でレベルが上がったことを告げる声が何度も繰り返される。

 すると次の瞬間だった。


『おめでとうございます。スキルポイントを1獲得しました』


「…」


 もう訳が分からなかった。

 やがて、頭の中に響く声が止まった。

 しばらく呆然とした後、ゆっくりと立ち上がる。

 意味が分からないが、例の声が言っていたことを思い出す哲人。

 そういえば、例の声がステータス閲覧がどうこうと言っていた。


「何か見ることができるのか?」


 そう考えると、目の前に半透明の空に浮かぶ文字が現れた。

 ステータス閲覧というのはこういうことか、そう理解する哲人。

 ふわふわとした文字で読みづらいが、一応日本語だ。

 少し驚きながらも、そこに表示されたステータスはこんな感じだった。


 ----------

 名前:世良木哲人

 性別:男

 レベル:27

 スキル:鑑定1、地図1、自動マッピング、身体強化1

 スキルポイント:22

 ----------


「…」


 もう何が何だか分からなかった。

 レベルが上がったことで体に力が漲ってくる。

 しかしそれ以上に頭の中に響いた謎の声。

 ひとまず、ステータスのスキル欄に指で触れた。

 すると次のような説明文が表示された。


 ・鑑定1:対象の情報を表示する

 ・地図1:周囲の地図を表示できる。

 ・身体強化1:身体能力を強化する。

 ・自動マッピング:1度通った場所であれば自動的にマッピングする。


 正直、もう意味が分からなかった。

 ダンジョン内ではレベルという概念が存在するというのは聞いたことがある。

 しかし、先ほどの金色の魔物を一匹倒しただけでレベルが一気に上がるのだろうか?

 それにスキルポイントを獲得して、さらに自動マッピングというスキルをゲットする。


「鑑定か…」


 哲人はある仮説を立ててみた。

 そして、先ほど黄金の魔物が落とした魔石を調べてみる。

 もしかしたら魔物の詳細がわかるかもしれない。

『鑑定』そう頭の中で念じると、半透明のウィンドウに表示された。



 魔石:金色のスライムから取り出した物。魔力と気力が凝縮され結晶化したもので魔道具や武器の素材として重宝される。


 ウィンドウをスクロールし、金色のスライムについての詳細なデータを探す。


 金色のスライム:レアモンスター

 魔素が集まりやすい環境で生まれることがある。

 倒すと経験値に加え、魔力や気力など大量の経験値を獲得することが出来るため人気が高い。

 しかしレアモンスターのため、遭遇することは稀である。



「レアモンスター…!?」


 つまり、あの金色のスライムはレアモンスターだった。

 そして倒したことで大量の経験値と魔力を吸収したようだ。

 さらに自動マッピングというスキルもゲットした。

 これはダンジョン内を自動的に地図として記録してくれるらしい。

 つまり、ダンジョンを探索する上でかなり便利なスキルだということだ。


「もしかしてこれって…人生逆転できるんじゃないか!?うおおおお! やってやるぜ!」


 俺は思わず叫んだ。

 ダンジョンに叫び声が響き渡った…


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