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17 ふーるず・めいと

ちょっと短いです。

 袋の中身をテーブルに出し終えた俺は、Tシャツを洗いに川に向かった。


 ロッジを出る時に、ポニテ女子とゆるふわちゃんが俺の背中を見て何かひそひそと話していた気がしたが、ポニテ女子のにやにや笑いがウザかったので無視。

 ちなみに、愛音君は洗濯にまでついて来ることはなかった。

 愛音君は愛音君で、チャラ男達のグループと何か話があるらしい。


 Tシャツをさっと洗った後は、自分のテントの上に引っかけて天日干し。


 さっきロッジの時計で確認したら、夜まであと二十四時間はあったし、さすがに夜までには乾いているだろう。

 日が出ていたから気づかなかったが、地球時間で言ったら今は真夜中。

 久々に肉体労働したのもあって、すごく眠たくなってきた。


 さてと、ひと眠りするか。

 他にも眠っている奴もいるだろうから、静かにテントの中に入ることに。


 テントがあって助かったな、光を遮ってくれるだけでもありがたい。

 と、もぞもぞと寝袋の中に潜り込んでいた時に、あることを閃いた。

 いや、閃いてしまった。


 眠いはずなのに余計な思考が邪魔をする。

 もう気になってしゃーない。


 まるであれだ……。

 ベッドに潜った途端、宿題をやってないのを思い出した、みたいな。

 どうでもいいことのはずなのに、一度意識してしまうと徐々に眠気が醒めてしまうあの現象である。


 ……やっぱり、宿題はどうでもいいことじゃないかもしれん。


 まあ、それはいい。

 気になるなら、さっさと終わらせてしまえばいいのだよ。

 悩んでいる時間がもったいない。


 ということで、俺は寝袋を持ったままテントを出ようとして――

 出られなかった。


 正確に言えば、俺はテントから出られたが、寝袋が持ち出せなかった。

 なんとも面倒臭い仕様なことだ。


 つまりは、この寝袋を汚そうものなら、洗うこともできないと……。

 となると、飲んだくれとかが寝ている時にやりがちなアレの跡も、掃除することは出来ないというわけだ。


 よし、酔っ払いのオッサンとは距離を置こう。


 俺はそんなどうでもいい決意を胸に、あることを実行に移すべく、テントからすぐ近くの森に入った。

 それから五分ほど歩き、いいかんじな大木を発見。

 木の根元は、土が大きく抉れていた。

 俺はそこに潜り込むと、ズボンを枕にして横になった。


 そう……俺がここに来た理由は、テント以外で寝るとどうなるのかを確認するため。

 デスゲームの『決められた場所でしか眠ることが出来ない』というルールが、どのようなものかを身をもって確認するためにここにきたのである。


 果たして、俺はこのまま眠りに就けるのか?

 眠れた場合は、その瞬間にテントに飛ばされるのか?

 それとも、何かペナルティのようなものが発生するのか?


 滅茶苦茶気になる。


 というか、ワープできる可能性があるのならしてみたい。

 悪魔様どうかよろしくお願いします。

 では、おやすみなさい……。




     ◇   ◇   ◇




 ……。

 …………。

 ………………起きた。


 まだ目は開けていない、意識が覚醒しただけだ。

 ただし、この段階で分かることもある。

 なんか温かいモノに包まれている感触があるのだ。


 目を開ける。

 するとやはり、視界に入って来たのはテントの内側だった。

 どうやら俺は、あのぺらい寝袋の中にいるらしい。


 それも――パンツ一丁で。


 枕代わりに使っていたズボンはどこにも見当たらない。

 おそらく大木の所に残されていると思われる。

 そしてたぶん、服はテントの屋根の上にある。

 さらに言えば、円形にテントが並んでいるこの広場は見通しが良い。


 変態の誹りを甘んじて受け入れるのなら、正面突破は可能だろう。

 が、問題はそこじゃない。

 上半身裸はいいが、下半身丸出しはさすがにアウトだ。


 それは、パンイチだろうが同じこと。

 ズボンの代わりにTシャツを履けばいいじゃないかとも思ったが、それはそれでド変態が完成してしまうことになる。


 つまり、あれだ。

 ……詰んだかもしれん。

束縛を解放した時にパンツを犠牲にしていたら、ここで完全に詰んでます。

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