打ちのめされた恋心
それからは毎日が本当に楽しかったんだ。
でも、母親がいない隙にゆいちゃんと密会することは、母親はあまり良く思っていなかったみたいなんだ。
それでさ、それでさ、
母親は怒るんだよね。どんなふうに怒るのかっていうと、目をいっぱいに見開いてさ、
「あの子は、アナタなんかより苦労しているのよ? アナタは愛されているの、私に!!
でも、あの子は、違うの。いっぱいつらい目に合っているのよ! なんでそれが分からないの??
なんてあなたは、あの子に対して仲間っていうの? 仲間じゃないんだよ?
アナタは恵まれているけど、あの子は恵まれていないのよ!」
こうやって、僕を怒るんだ!
母親は、いっつも、こうやって、
もにすごい目をしながら僕を怒る。
怒られるとさ、なんか、僕のほうまでイライラしちゃうんだよね。
でもさ、言い返さないよ。僕は言い返さない。だって、言い返す言葉が分からないし、何が間違っているかも、僕はよく分からない。
何かを言い返したって、火に油を注ぐようなものじゃないか。
だから僕はいつだって我慢して、我慢して、イライラをいつまでも持ち帰っているんだ。
だって子供ってそういうものでしょ。
僕の癒しは、ゆいちゃんだけなのに!