第13話 食い違い
余裕でゴブリン部隊10万が生成出来るので、さっさと作ってしまうことにした。
右手でコアに触れながら、
「コア、ゴブリンジェネラル1、ゴブリンソーサラー10、ゴブリン64体を隣の大部屋に生成してくれ。」
:規定数以上の同系統種生成の場合、同系統種間の限定的命令権を付与出来ます。ゴブリンジェネラル、又はゴブリンソーサラーに付与しますか?
同系統種…、これはゴブリン種族に統一して生成しようとしてるからだな。この中でリーダーを決められるおまけってことか。
順当にジェネラルでいいだろ。
「ジェネラルに付けてくれ。」
:ゴブリンジェネラルに命令権を付与します。
100.000MPを吸収します。手を離さないで下さい。……完了しました。
コアから赤い光が扉の前のウルフ達を越えて、隣の大部屋まで伸びていった。
光が収まると、頭の上を越えられて気を取られたのかロキ達がこちらに歩いてきた。
「ウォフ。」
(主殿、今の光は?大部屋に向かっていたようですが。)
「あぁ、大部屋にゴブリン達を生成したんだ。リリスがハチを引っ張ってきて、ゴブリン達と戦わせるんだよ。」
「ウォフ。」
(そうだったのですか。私の群れで迎撃するのかと思っておりました。)
「あー、ごめん。そう言えばロキはまだ居なかったな…。これも含めて今後の方針と作戦を話しておこうか。」
ハチの迎撃と巣への襲撃、人間の養殖計画等の今の時点で決まっていること、どんな目的があるかをロキ達に説明した。
***
ロキ達に説明を終わると大部屋の方から、悲鳴と一緒にリリスが入ってきた。
「お、おかえり。何かあったのか?」
「ただいま戻りました、マスター。ゴブリンの内4体が私の身体に触れようとしたものですから、処分しました。。」
「えぇ?コアから作った魔物は頭良いんじゃないのか?それに命令権で命令出来るんじゃないの?」
「はい、普通の魔物であれば野生と比べると優秀になりますが、どうやらゴブリンはそうでもないようです。普通に理解出来る個体もいれば、私との実力差も分からないゴミも混ざるようで…。」
「うわ、めんどくさ。そんなんじゃ戦力としては使えない?」
「ソーサラーとジェネラルは充分な戦力として使えます。ですが、ゴブリンだけとすると相当な数が必要かと。普通の人間と1対1でも負ける可能性がありますので、最低2倍は用意したいですね。」
「それで、その中の何体かは命令を聞けないと…。4/64だから大体6%?」
「1000体作ったら60体程の命令を聞かないゴミが出来上がると。安さに見合った性能ということでしょうか…。」
「まぁゴブリンのことはいいや。使えないなら作らなければいいだけだし。それでハチの巣と卵はどうなった?報告を聞きたい。」
「はい、報告します。」
「巣の調査の結果、ハチ個体数は推定で5〜7万程かと思われます。巣の大きさは直径で50m高さが30m程の巣が6個確認出来ました。」
「女王蜂が1つの巣で、近衛蜂に守られながら産卵しているようでした。次代の女王蜂の卵は1つでしたので、透明化したまま持ち出したところ無事に追いかけて来ています。」
「周りのハチを生捕りにして帰りに道を作るように置いて帰ってきました。入り口前には枝に刺した死骸を置いてあるので、別の場所に行くことも無いと思われます。」
「なるほど、ありがとうお疲れ様。ハチが来るまでは休んでくれ。俺も夕飯食べたらさっさと寝るから、ロキ達に任せてゆっくりな。」
「はい、マスター。羽音が耳に残って鬱陶しいので、少し休ませてもらいます。」
「あぁ、そうしなそうしな。」
夕食にカレーライスとサラダ140DPを食べながら、貰った槍ルインのこと、ロキの進化に必要な属性なんかを話し合った。
ロキ達ウルフズはコアルームの扉の前にずっと転がっている。
(ロキは番犬らしいからその影響か?)
その日はシャワーを浴びてサッサと寝た。明日の朝、正確には今日の深夜にDPが10万増えるので、それを楽しみに眠った。
*****
*異世界生活4日目
いつもより早く起きた俺は、朝食に鮭定食を食べてDPショップを見ていた。
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DPショップ
104021DP
食料品
衣類・装飾品
家具・内装品
医薬品
装備品
希少宝物品
DP限定ダンジョン施設
DP限定特殊機能
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(おぉー、10万!これで食料の心配は無くなったな。まぁそこまで豪遊はしてないから自然増加分で賄えてたけど。)
今までも日に1000ずつ増えていたけど、それが一気に10万貯まれば安心出来る。余裕が目に見えるというのは精神的に楽になる。
そんなことを考えていたらリリスが、
「マスター、巣までの領域拡張をお願いします。拡張には65時間掛かる計算ですから、しばらくは拡張に専念しましょう。」
まだMAXの20万には余裕があるけど、溢れさせるのも勿体ないから、昨日残した分と寝てる間に回復した16万を使った。
巣までの直線を幅1m長さ16kmの領域にした。残りは巣まで104kmと周りを10万MP分拡張することになる。
「やっぱ120kmは遠いな。ハチはどれくらいでここまで来そう?」
「この横穴はもう発見されています。今朝追跡のハチが入り口前まで来ています。昨日のゴミを入り口前に置いたので、相手がゴブリンだと認識してくれればよいのですが…。」
「でもゴブリン相手だと舐められて小戦力で来そうじゃない?」
「それはそうですが、上位種がいると認識するはず…。ゴブリン如きでは透明化も空を飛ぶことは出来ないので、それはハチでも分かるはず…です。」
「あー、それなら大丈夫でしょ。ハチだってそれくらいのことは分かるよ多分。」
「そうですね。この盆地で生き残っているからには多少の経験はあるはずですよね。」
「それとマスター、マップを見ていて気付いたのですが、この盆地の西端の洞窟に約6000の生命反応があります。この数を維持するとなると山を貫いた向こう側に繋がっている可能性があります。」
「へぇー、6000か。なんだろ?ってか今マップってどれくらい?」
「この盆地の偵察は完了しました。今はダンジョンから東をクロウ部隊が、エラキノ山脈の奥をスピードファルコン部隊に偵察させています。」
「そうか。ちょっと俺も確認するわ。」
開いていたDPショップを閉じて、マップを開く。
ダンジョンを中心にして、左に盆地とそれを囲む楕円形の山脈、右にクロウ部隊が偵察した円形のマップが出来ていた。スピードファルコン達は適当に飛び回っているらしく、髭のように伸びている。
ダンジョンから120kmの盆地の中にハチの反応が大量にある。そこから西、山脈の中に謎の生体反応が写っていた。
「これスピードファルコン達は何をさせてるん?隙間出来てるし曲がったりしてるけど。」
「スピードファルコン部隊にはとにかく水源を見つけるように指示しました。湖でも川でもなんでもいいからとにかく水を探してこいと。」
「あー、曲がってるのは川に沿って移動してるのか。確かに街は川沿いじゃないと発展しにくいもんな。」
「はい。もうしばらくすれば川沿いに何か見つけると思います。」
「それは楽しみだけど、もう少し偵察要員増やすか?クロウなら10体で12000だし、増やしてもいいんじゃね?」
「それが山脈の北西南にはイーグルが生息しているようなのです。スピードファルコンが見つけたようで、クロウでは狩られると東に向けています。」
「東にはクロウ10体で足りますし、北と南に向けるにはクロウでは役不足なのです。」
(そういうことか…。カラスを追い払うのに鷹を放つとかTVで見たし、やっぱ猛禽類には勝てないんか。)
黙って考え込んだ俺を見てリリスは追加の情報をくれた。
「スピードファルコンの報告では普通のイーグルのようで、2対1でかかれば狩れるそうです。ですが、彼らは偵察に回したいので放置していました。」
「ならロック鳥作って狩らせる?MP的には相当強いでしょ?」
「それも考えたのですが、9万ですと領域9km分ですから保留にしておいたのです。」
「いや、別に5時間くらいは伸びてもいいよ。それより偵察飛ばして情報集めさせた方が良いと思う。」
「情報も大事ですが、そちらに力を使うとハチの巣攻略が遅れてしまいますが…。」
「今後の動きに関わってくるし、ハチはいつでも潰せるんだから少し延期してでも外の情報を得る方が重要でしょ。」
「そう…ですね。申し訳ありません。そのように計画を修正します。」
黒山羊の顔でも分かるくらいに落ち込んでしまったのを見て、俺の方にこそ問題があると気付いた。
「いや、俺の方が悪かった。任せるとか言ってスマホ弄ってたし、丸投げしてたくせに偉そうに口出して…、ごめん。」
自分が映画なんかを見てダラダラ過ごしていた間に、色々働いてくれていたリリスに説教を垂れているのは普通にダサい。
「いえ!マスターの意向を汲み取るのは配下として当然の務めです!それを出来なかった私が悪いのです!マスターが謝る必要はありません!」
「いや、暇な時間があったのに遊んで、俺がどう考えてるかとか全然話し合ってなかった。俺の考えを知らないで、方針だけ伝えられても俺の思った通りに動ける訳無いよ。」
「それは…!」
「とにかく少し話し合おう。今更だし、俺が言うのもなんだけど、少し話を聞いてくれ。」
今までリリスに丸投げして手を抜いていた分を埋めるために、話し合うことにした。




