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7話:試合終了

 試合はリリアナが負け、勝者はアルバートとなった。


「次は負けないわ! もっと大技を見せてあげるから覚悟なさい!」


 リリアナは静かに場外で起き上がると、びしっと指を指してそう叫ぶ。すると会場からツンデレ乙~という姫の技のとばっちりを食らっても元気なファンクラブから歓声が上がった。

二国間の勝者ベルトを受け取ると、アルバートはぴくりとも動かなくなり担架で運ばれた。リリアナの攻撃を受けても立ち続け、最後には覇王を吹き飛ばしたとして会場からは惜しみない拍手が送られた。




「アルバート様、あれから目を覚ましていないらしいです」

「ふぅん、そりゃ私の技を避けずに受けたんだもの」


 熱心に書を読みふけるリリアナにマリアはふっと微笑む。


「アルバート様のお見舞いには、いつ行かれるんですか?」

「な、なんで私が行くのよ」

「だって、気の書を熱心にお読みになってるから」


 ふふっと笑うマリアにもうとリリアナは頬を膨らませた。


「まぁ、試合相手とはいえあそこまで全力出しちゃったし。確か気を相手に送ることで回復力を増進させる方法があったはずだなぁって」

「リリアナ様の愛の力で治すんですね、わかります」

「だから! 違うってば! あんなの好みじゃないし! ……確かにイケメンだけど」

「そうですね、イケメンでしたね」


 リリアナはアルバートを会場を盛り上げるため自分を煽ってきた彼しか知らない。だが白いものを見る度にアルバートのあの天使のような笑みを思い出すのだ。


「……恋なんかじゃないもん」

「でも、アルバート様は姫様よりお強いですよ?」

「で、でも……たぶん相手にしてもらえない」


 十も離れている、それに親善試合でいかにリリアナが強いのかを目の当たりにしたのだ。恐怖感しか抱かれないだろう。するとマリアはあれあれ~と横から顔を覗き込んでくる。


「姫様らしくないですね、落ちない男は落として見せる! っていうかと思いました」

「だ、だから! 違うの!」


 あの日見た白い光。それはあの人の優しい笑みに変わった。


「……でも、あの日から白い壁が怖くなくなったわね。そのお礼を言いたいだけよ! ……それだけよ」


それだけだからね! と言って恥ずかしそうに笑うリリアナにマリアははいはいと微笑み返すのだった。


(おわり)

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