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プロローグ
無の世界。
そこには光もなく、音もなく、時間さえも存在しなかった。
遥か昔、そんな世界に神々が現れた。
最初の神、天の御中主は宇宙の根源となり、混沌とした世界は天と地に分かれた。
二番目の神は天を司り、三番目の神は地を司った。
天上界は高天原、地上界は葦原の中つ国と呼ばれた。
その後も次々と神々が現れた。
神々は天と地を分かつ雲を作り、高天原と葦原の中つ国を結ぶ橋を架けた。
この橋は、天の浮橋と名付けられた。
さらに、神々は建物の土台を造り、柱を立て、屋根を葺き、壁を塗り、杭を打ち、戸を取り付けた。
やがて、高天原に神々の住まいとなる壮麗な御殿が完成した。
一方、葦原の中つ国はいまだに混沌としたままだった。
ある日、特別な使命を帯びて男女一対の神が現れた。
男神の名は誘凪、女神の名は誘波。
この二神の誕生から、「日出ずる国の物語」の幕が開ける。