第二話とんでもない探偵コンビ登場(中編)
三年かけてやっと完成した中編ですご愛読よろしくお願いします。
美優と葵が話していた頃、俺は達也からの呼び出しを受けて警視庁にいた。
「その後どうだ。美優は上手くやれてるか」
「ああ」
達也の問いに俺はそう答えた。
「なら良いが、そろそろあいつに話してもいいんじゃないか本当の事。」
達也にそう言われた俺は一瞬黙った後、こう言った。
「いやまだ、言う訳にはいかない」
「そうか、お前がそう決めたのなら何も言わんが」
そう言うと達也は笑顔を見せた。
「まさか、そんな話をする為に呼び出した訳じゃないんだろう」
「ああ、早速本題に入ろう」
俺が冷静に言うと、達也が言葉を返すのだった。
「実は最近お前達二人の事が噂になっている」
「何っ」
そう言われた俺は思わず動揺した。
「死亡者を出さずに事件を解決する二人組。ゼロハンターの名で噂になってる」
「ゼロハンター?」
「ああ何でも死亡者ゼロで事件を解決するから、そう呼ばれてる」
「なるほど、噂と言うより完全に都市伝説扱いだな」
達也が冷静に言うと、俺は落ち着いた口調で返すのだった。
「それともう一つ、葵からの伝言がある」
「伝言だと?」
「妹が実優の通ってる高校に編入するからよろしくだと」
そう言われた俺は動揺しながら言葉を返す。
「何っ、マジか」
「ああ、名前は確か霧崎飛鳥とか言ったな」
動揺している俺に、達也は冷静に答えるのだった。
その頃実優は高校からバイクで帰る途中、黒のオフロードバイク乗りに追いかけられていた。スビードを上げて振り切ろうとしたが徐々に追いつかれていた。
「何てテクニックなの、日向さんや兄さんと同等じゃない」
私は追走して来るのを見て、乗り手の腕前を感じ取り冷静な口調で言った。
そしてそのままアパートに辿りついてバイクを降りると、追走者もバイクを降りてヘルメットを外すのだった。
「女?しかも私と同い年位の」
私は、自分を追いかけていたバイク乗りの正体に動揺していた。
「突然手荒な真似をしてごめん、どうしてもあなたの実力を知りたくて」
「え・・・?」
「霧崎葵の妹の飛鳥よ。よろしく」
「葵さんの妹?」
「そう、姉貴からあなたの事を聞いてね」
「葵さんから?」
「詳しい事は中で説明する」
私は彼女の言葉に頷き、一緒にアパートの中に入って行った。
そして私は飛鳥を自分の部屋に入れると、彼女は笑顔で話し出した。
「実は、姉ちゃんから貴方や日向さんのフォローを頼まれたのよ」
「もしかして、私達の仲間になりに来たって事」
「そう言う事、私も空手の腕前黒帯で情報収集得意だから」
私が落ち着いて言うと、彼女が言葉を返す。
「そうなんだ」
「それと週明けから、貴方のクラスに編入する事になったからよろしく」
「えっ、マジで」
それを聞いた私は呆気に取られていた。
「連携と互いの安全の為よ」
「なるほど、そう言う事なら納得出来る」
飛鳥が冷静に言うと、私は我に帰った。
「そして姉貴からの伝言、野菜一通り明日届くって」
「そう、ありがとう」
彼女が葵さんからの伝言を伝えると私は礼を言った。
「それと実優、今週の日曜予定空いてる?」
「ええ、何で急にそんな事」
「実は近くの海に泳ぎに行こうと思って、良かったら一緒にどう?」
「うん、いいよ」
その誘いを笑顔で受けて、私は彼女と泳ぎに行く事になった。
そして飛鳥が帰った後、私は帰宅した日向さんに事情を話した。
「それで葵の妹と出かける事になったのか?」
「そうなんだ」
事情を聞いた彼がそう言うと、私は言葉を返した。
「俺も今朝達也から飛鳥の事を聞かされたが、まさか彼女の方からお前に接触してくるとはな」
そして日曜当日、私と飛鳥はバイクで海に向かい、数時間後人気の少ない海水浴場にたどり着いた。
そしてライダースーツを脱いで水着姿となった。
「飛鳥貴方、私と色違いの水着持ってたの?」
「まあね」
水着を見た私が動揺しながら言うと、彼女は冷静に返すのだった。
彼女は私と色違いのビギニを着ていて、それを知った私は呆気に取られつつ飛鳥と泳ぎに向かった。
私達が出かけていた丁度その頃、日向さんはアパートで葵さんからの新たな仕事依頼の内容を聞いていた。
「八百長試合の阻止だと」
「そうよ」
「なるほど今度の依頼は、その首謀者を捕まえたいから力を貸せって事か」
「理解早くて助かるわ、私もレスラーとして出るからフォローよろしく」
実は葵は高校時代からレッドパンサーの名で覆面レスラーとして活動していて、刑事と覆面レスラーの両方を行っている2000年1月2日生まれの21歳である。
「分かった、良いだろう」
俺はその依頼を引き受ける事にし、彼女にこう言った。
「そう言えば、今日飛鳥が実優と泳ぎに行ったよ」
「そう、飛鳥らしいわね」
俺がそう言うと彼女は笑顔で言葉を返すのだった。
「一つ聞きたい、飛鳥はお前の妹は何者なんだ?」
「さすがは亮介、気づいてたのね」
「ああ、実優から話聞いてな」
俺が飛鳥について尋ねると、葵はその質問に答え始める。
「実はあの子もかつての私同様高校生レスラーと空手を両立してるのよ」
「何っ、じゃあ美優の言ってた彼女のバイクテクは」
「ああ、あれは私と両親仕込みよ」
「なっ、何だとーっ」
それを聞いた俺は思わず、呆気に囚われながらも心の中で言った。
(こいつの両親只物じゃなかったし、間違いなくやりかねん)
そして我に返った俺は冷静に言葉を返した。
「一応この依頼の事は美優にも話しておくよ」
「話が早いわ、丁度彼女や妹にも協力を頼もうと思ったの」
俺がそう言うと、彼女は笑顔で言葉を返すのだった。
「それと亮介、これは私の個人的提案なんだけど実優ちゃんに聞いて見てもらえる?」
「何だ?」
「レスラーと空手両方やってみる気ないかって?」
「分かった、一応聞いておく」
その後俺達二人は話し合い、作戦は一週間後に行うことになった。
その夜美優が帰って来たのを確認して、俺は彼女に葵からの伝言を伝えた。
「レスラーと空手の両立?」
「ああ、葵から聞いたんだがあいつの妹も空手とレスラー両方やってるそうだ」
「飛鳥が、マジで?」
「ああ、と言うよりはお前が心配だったんだろう?」
美優が動揺しながら言うと、俺は冷静に言葉を返した。
「恐らく、あいつなりにお前の事考えてたんだろうな」
「え・・・・?」
それを聞いた彼女は呆気に取られていた。
「あいつらしいぜ」
俺が冷静に言うと、美優は我に返った。
そして一週間後、作戦は美優と飛鳥の協力を得て開始された。
だがこの時この八百長試合の黒幕が、俺や実優と因縁ある組織とは知らなかったのだ。
そんな事とは知らず、俺は試合会場内部を実優と共に警戒していた。
「見た所異常は無さそうだけど」
「でも首謀者達は中にいるはずだ、二手に分かれるぞ」
「了解」
そして俺達は二手に分かれて中を調べ始めた。
「飛鳥がスマホに転送したデータによると会場内が怪しいのは確かなんだが」
その頃、美優はロッカールームである物を発見していた。
「これは八百長試合の計画書、このマークはまさか」
計画書についていたマークに気が付いた私は、心の中で言った。
(まさか、またあいつらが)
そして、私は動揺しながらも日向さんに連絡を取った。
「日向さん、計画書見つけたからすぐロッカールームに来て」
連絡を受け合流した俺は、彼女から事情を聞かされ冷静に言言った。
「まさか黒バラだったとはな、しかもよりによってこんな形で」
黒バラ、それは俺達と因縁のある組織だった。
何故ならば実優のクラスメイトとその親達に多額の報酬を与え、彼女の親友であった士亮子をいじめ自殺に追いやった黒幕であった。
そして俺達二人の手で壊滅させたはずだった。
「生き残りがいたんだろうな、そして組織を再編成した」
「えっ、そんな事って?」
俺が冷静に言うと、彼女は動揺しながら言葉を返す。
「確かにその可能性はあるよ」
俺達が話していると、飛鳥が盗聴無線で会話に加わった。
「全く、盗聴無線機渡して良かったよ」
「飛鳥、あなた知ってたの私達と黒バラの事・・・・?」
「まあ、その当時から半年立ってるからね」
美優が言うと、彼女は無線越しでそう返す。
「落ち着け美優、例え連中が復活してもやる事は変わらん」
「確かにそうね、ごめんつい昔の思い出して」
俺が冷静に言うと、彼女は我に返り言葉を返した。
その時、俺は心の中で言った。
(無理もない、何せ黒バラのリーダーが実の父親だからな)
「そういえば姉貴の試合終わったみたいで、今相手側のトレーナーやレフリーと接触している」
モニターで状況確認した飛鳥が無線越しにそう言った。
「了解だ、俺達もすぐに合流するよ」
そう飛鳥に答えた俺は美優に言った。
「行くぞ、美優」
俺は彼女がその言葉に頷いたのを確認して、一緒に葵の元に向かった。
その頃葵は、会場の地下室に連れてこられ相手側のトレーナーとレフリーと対峙していた。
「この八百長試合の黒幕は、お前達だったんだな」
「その通りだ霧崎葵、貴様があの二人と潜入してくる事なども予測済みだ」
「ついでにもう一つ教えよう、この地下室で計画書を作成して試合を行っていたのだ」
そう真実を語りながら銃を向けてきた二人に私は言った。
「なるほど、そうやって組織を再編する為の資金を集めてたのか」
「以下にも、我々の目的を知った以上このままにしては置かん」
私達がそう話していると地下室のドアが突然吹っ飛ばされ、亮介と美優が入って来た。
「ナイスタイミングよ二人共」
「ああ、間に合ったようだな」
「葵さんなら上手く時間稼ぎする事位想像出来ますから」
「げっ、日向亮介に滝沢美優」
「ふん」
「ぐはっ」
突然現れた二人に動揺している間に私は首謀者達を回し蹴りで纏めて気絶させた。
「相変わらず俺達以上に荒っぽいなお前」
その光景を見た亮介が呆れた口調でそう言った。
そして私は亮介達と一緒に気絶させた二人を連行した。