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ネオ・ブリザードの万華雹

上腕二頭筋が魔王城で肩に黒龍を宿している聖女(自称)、ソーシャルディスタンスを保ちながら、鍛え上げられた肉体美を使い、行き倒れの戦士の傷を癒す。

これは「なろうラジオ大賞2」応募用作品です。


 いせかーい、異世界の事でした。


 ある所に、魔物に袋叩きにあい、行き倒れ寸前の戦士がおりました。


「う……うう……」



 そこに、筋骨隆々の褐色美魔女がやって来ました。


 その褐色美魔女は、地面に倒れている戦士を一目みて、これはただ事ではないと思い、ちょっと離れた所から声を掛けます。



「どうしました!? 何があったんですか!?」


「……あ……ああ……実は……えあ?」



 声をかけられた戦士は、何とか顔を上げ、事情を説明しようしたその時です。戦士は、女性の出で立ちを見て一瞬言葉を失ってしまいます。



 それもそうでしょう。褐色美魔女が身に付けていた衣装は、大会規定のビキニのみでしたから。


 どこの大会かって? そりゃあ、異世界一の筋肉美を追い求める大会に決まっているじゃないですか。


 これ以上言及してはいけません。



 不振に思った戦士は、褐色美魔女に尋ねます。



「……あ、あの……あなたは……」

「聖女です」

「は?」



 空耳かと思った戦士は、もう一度聖女に尋ねます。



「あ、あの……モンクではないんですか?」

「なに言ってるんですか。どこからどう見ても聖女じゃないですか」

「え……ええ……!?」



 自分の事を聖女と言い張る褐色美魔女に、戦士は困惑するばかり。ですが、褐色美魔女は、そんな事よりも、と話を続けます。



「あなたのそのずだぼろの身体を治す方が先です!!」

「……え? 貴女に治せるんですか……?」

「任せて下さい! こう見えても私、聖女ですから!」

「……ま、まあ、そこまで仰るのなら……」



 戦士は、半分疑いながらも、自称聖女と名乗る褐色美魔女の言葉を半分信じ、痛む身体を起こそうとします。



「あ、そのままで良いですよ。安静にして」

「え? でも……魔法、かけにくくないですか?」

「任せて下さい! 私、これでも聖女ですから!」



 褐色美魔女はそういうと、ソーシャルディスタンスを保ち、戦士に向かって叫びます。



「いいですかー!? 絶対に動かず、私だけを見ててくださいねー!!」

「わ、わかりました……」



 訳も解らず戦士は返事をします。すると、褐色美魔女は準備が出来たのか、自慢の筋骨隆々な左半身をこちらに向け、左足をくの字に曲げると、今度は右手で腰の近くにある左手首を掴み、こう雄叫びを上げました。



「はああぁああぁいぃ!! さあぁいぃどっっっ!!! ちぇすとおぉおぉおぉ!!!」



 鍛え上げられたその筋肉が披露された瞬間、戦士の傷は完治しておりました。



「いいよおおぉ! もう見えなあぃ!!」


 ……おしまい。


 「思ってたのと違あぁう!!」と思った方、申し訳ありません……

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― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃワロスです。w 「もう見たくないよぅ><」
[一言] これはズルいwwww
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