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チート転生者に最愛の妹は娶らせない!  作者: 千早一
第1部:【FATE】恋愛は運命から始まる。物語は因縁から始まる。そして兄妹は……
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第8章:シスコン兄の一番ヤバい日(仮)③ 女神の溝、知る会議 ~誰にだって秘密は必要~

1章が長いため分割しています。

今回は約2000字となっています

「今は時間外だよ……って、何だ、シークか」


 〈サラマバー〉のマスターはグラスを拭く作業の真っ最中だった。

 ――マスターはダンディな男。ホモから狙われそうなフェロモンを出す。

 ――ココでは最上級の酒が揃い、名物の『サラダーバー』が店の中央に並ぶ。

 ――『この味が いいねと客が 言ったから 七月八日は サラダ記念日』という何かパクリ臭がする歌を書いた看板が壁にかかっている。


「てっきりジョージかエッピだと思ったぜ」


 ウェスタンドアが自動的に閉まると、カランカランと鈴の音が再び響いた。

 正午前で、開店準備中だから、客はまだ誰も居ない。


「ハハハ。この時間に呑みに来るのはあの2人くらいだよな」


 今にもカウボーイが出そうな酒場に居るのはシークとマスターだけだ。

 ちなみに、ディフェでは15歳から飲酒ができるが、シークの目的は別。


「マスター、いつものお願い」


 シークはカウンター席まで行き、お決まりの金貨3枚を出した。


「おう。まったく、〈サラマ酒〉を料理酒に使うかね。儲かるから、良いけど」


 マスターはダンディなカイザー髭をピクピクと動く。

 ――ポケットから取り出した鍵をシークに投げた。


「今は忙しくて、手が空かねぇ。勝手に裏の倉庫から取って。第3倉庫だ」


 お決まりのセリフを言い終えると、再びグラスを拭く作業に戻る。


「おう。勝手にさせてもらうよ。ったく、客使いが荒いよ」


 真っ白な鍵を受け取ったシークは、スタスタと第3倉庫へと向かう。

 〈サラマバー〉には酒用倉庫は1つしかない――第11倉庫だけである。

 第0~10倉庫は謎の超級時空魔法によって作り出された別時空へと繋がる部屋で、各部屋には対応する鍵を手に持っていないと入れない。

 ――主に会議室として使用される。

 ――各部屋によって、時空に関する法則性が違うので、取扱注意である。

 とりあえず、全部屋は現世から完全隔離されており、盗聴される可能性などは一切無い――最高の打ち合わせ場所だ。

 あと、これらの部屋を創ったのはマスターではない。

 ――多分、人類では創造できない。できたら、もはや人外。

 シークはドアノブを回し、第3倉庫の扉を開く。

 ――今のところ、酒樽しかない普通の景色。


「さてと……世界の命運を左右するか~」


 シークが第3倉庫に踏み入ると、パァーとした光が視界を覆ったのだった。






☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆






「やっと来たンゴね! レディーを待たすとは失礼ンゴ!」

 

 とんでもない美人が変な口調でシークに話しかけた。


「……アテ、その口調は止めてくれ。異世界文化は好きじゃない」


 シークは〈女神々〉が相手でもタメ口で話す

 ――お互いに対等な関係だと認識している。

 ココは第3倉庫もとい〈潔白の部屋〉。

 ――真っ白な空間が果てしなく広がっている。

 純白のテーブルとイスしか設置されてない。

 ――シークの背後にあるオンボロの扉を除けば、

 すでに2人の〈女神々〉が席についている。両者とも透き通るような白い肌だ。

 シークは2人の女性の間に腰を掛けた


「えっ!? コレって異世界文化なのッ!? 最近、みんな使ってるから……ゴメン! もうンゴなんて使わないッ!」


 アテノはシークに顔を近づけて謝る。

 こう見えて、彼女は〈女神〉である――女神様、バンザイ!

 しかも、〈女神〉の中でも〈女神副大統領〉とナンバー2の役職に就いている。

 ――ちなみに彼女は〈女神〉の正装である純白の和服&羽衣を着用。


「いや、大丈夫だ。それよりも待たせて悪かったな」


「う、ううん! 全然大丈夫! 最近はツンデレが流行らしいから……やってみただけ! 全然待ってないから!」


 〈女神々〉は顔立ちだけでは見分けにくい。

 ――全員が同じようにベッピンだからだ。

 アテノの特徴は紅色のウサギ型ツインテール。

 ――身長も低いから、非常に似合っている。

 身長とは釣り合っていないボンキュッボンのスタイルが作り出すアンバランスは何とも言えない背徳的な魅力を感じさせる――いわゆるロリ巨乳というヤツだ。

 ――ココだけの話、〈大女神〉よりも人気が高い……お布施するので、どうかご寵愛を! Iカップ! 眼福!


「別に流行に合わせなくても良いんじゃないか? アテには必要ないだろ?」


「で、でも……私って〈女神〉なのに無個性で……あんまり信仰されてないような……みんなのために工夫するのは当然で……う~ん……」




「大丈夫。アテ姉さんは十分に魅力的だから」



 シークの右側に座る〈魔神〉は双子の姉をフォローした。

 ――抑揚の無い話し方だ。

 ――ちなみに今彼女は〈魔神〉の正装である漆黒のドレス&ベレー帽を着用している。禍々しくない。神々しい。


「シーク……ノナ……ありがとぉおおお……」


「ノナも待たせて悪かったな」


「問題ない。時間通りだから」

 

 ノナノは座り直しながら、無機質に答えた。

 ――シークとの距離を少しだけ縮めた。

 彼女も〈魔神長官〉というナンバー2のポジションに就いている。

 特徴は藍色の前下がりボブヘア――肩に触れるくらいの長さだ。

 姉ほどのダイナマイトおっぱいではないが、凹凸のあるナイスボディで、身長は平均的である――男女共に理想とするような容姿である。

 ――ノナノも〈女神々〉の中ではトップレベルの信仰を集めている。魔神様、バンザイ! Eカップ! 眼福!


「さて……時間も限られてるし、始めるか」


 シークはとっとと本題に入る――人外の美女の前でも、シスコンはブレない。



 

今から行われるのは〈セクレタリー秘密裏会〉。

表舞台で行われる重要な国際会議などの前に必ず実施される。

――メンバーは3人だけ。この3人だけだ。

〈セクレタリー秘密裏会〉の目的は『表のニーズに応えつつ、世界全体が破綻しないように、裏で帳尻を合わす』である。

――ココでの決定事項は、ASAPで対処される。

 ――アテノ。〈大女神〉の汚職・不祥事などをもみ消すために奔走している。

 ――ノナノ。〈大魔神〉に全面的に頼られており、戦争等が起きないように暗躍している。

 ――シーク。どの派閥にも属さないが、あるコネによる幅広いパイプが強み。

大袈裟に言うと、この3人のおかげで世界は整合性を保っている。




~続く~

次回、5月31日までの投稿予定。


ご愛読ありがとうございます。

最近は仕事から帰って来て、すぐ寝てしまう日々が続いています。。。

気持ちも落ち込んでいますが…頑張ります!


では、また来週。。。



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