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チート転生者に最愛の妹は娶らせない!  作者: 千早一
第1部:【FATE】恋愛は運命から始まる。物語は因縁から始まる。そして兄妹は……
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第6章:その8

1章が長いため、分割しています。

今回は約3000字となっています。


(なん……だと……)


 その瞬間、墓地の雰囲気が一変する――シークの背筋がゾワッとなる。


 シークは反射的に〈ノダメ〉を発動していた――その情報に驚愕する。




(全員の能力がレベル250相当……だと……)




 全ての死神のパラメーターが跳ね上がっていたのだ――全員がボスキャラだ。


「スクリーム化された僕の配下は僕と同等の能力を得られる……コレが〈キラーズ・ネーム・スクリーム〉が成す超級魔法だぁ!」


 どこからともなくザクズの油断に溢れた声が響く。

 ――虚偽情報は含まれていない。もしくは手の内を明かすことでパワーアップするなどもない。

 ――余裕だからこそ、自分の魔法を解説する単なる傲慢が許される。

 

「ということで……シークを捕縛しろぉ!」


 スクリームが他の1体のスクリームを空に舞うシークに向かって光速で投げ込んだ――普通のアンデットではありえないスピードだ。


「チッ!」

 

 シークは愛剣で切り落とす

 ――勝ち目はほぼ無い。一刻も早く逃げる必要がある。


「『〈クルズラ〉!』」


 間髪を入れずに新たなスクリーム、ザクズが目の前に現れる。

 ――灰と化していたスクリームと消滅寸前で入れ替わったのだ。


「死ねやぁああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ザクズはシークの裾と胸倉を掴み、背負い投げ――回避不可能の電光石火。


「がはっ……!?」


 シークは地面へと叩きつけられた――地割れするほどの威力だ。


(……い、イル・マ……ッ!?)


 激痛が走る中、何とか逃亡しようと試みたが、無理だった。

 幾百のスクリームたちが重なり、ドームを作り、シークを完全に密封で囲む。

 ――魔法の障壁も形成され、脱出不可能だ。


「「「「嫌だぁあああああああ!」」」

 

 嫌がっているスクリーム5体がシークの目の前に現れる。

 ――シークは未だ立てず、仰向けの状態。

 5体はスケルトンの骨で出来たナイフを手に持っていた。

 ――一斉にシークに襲い掛かる。


「クッ……!!!」


 シークは愛剣でスクリームたちを薙ぎ払う

 だが、スクリーム1体によって、手首を軽々と受け止められてしまう。

 ――そのまま腕を掴まれ、地面に抑えられ、愛剣が振るえなくなる。


「ぐ……ぐあぁあああああああああ!」


 他のスクリーム1体がシークの手足をメッタ刺しにする。

 ――ズサズサと入念に。

 残りの3体がシークの余った手足を押さえつける。

 ――両手両足が封殺され、激痛過ぎて悶えることすらできない。


「「『グルグルグルグル〈グール・ゴサ・ミン〉』!」」

 

 どこからともなく闇の初級契約魔法が唱えられた。

 ――『配下のアンデッドに接触している対象のMPを搾り取る』。


「あ……ぐ………………」


 シークのHP・MPは瞬く間に1となる。

 ――〈ウルトラシーク1〉が解除された。

 両手両足胴体のそれぞれをスクリームが押さえつける。

 ――シークは大の字にされる。

 スクリームドームが解かれ、1体のスクリームが傍に来た。

 ――シークを見下ろす。


「プププ! 無様……いや、良い様だなぁ! この瞬間を待ってたんだよぉ!」

 

 ザクズだ――シークの元に着くと、振り上げた右足を思いっ切り蹴り出す。




「相手のゴールに……しゅぅうううううううと! 超エキサイティングぅうううううううううう!」




「があぁ……ぁ……げ……はぁ……」


 シークに金的を喰らわせた――苦悶という表現では足りないほどに顔が歪む。




「う~ん……権力・財力・暴力……力さえあれば、何でもできるねぇええ!」




 ザクズはガシガシと股間を踏み潰す――今までの鬱憤を晴らすかのように。


(……意識だけは保て……諦めたらそこまでだ………………ッ!)


 シークはHPがマイナス値になっても気絶しない。

 ――〈スキル:ピョン根性〉のおかげだ。

 ――HPがマイナスになるのは一種の危篤状態。回復しない限り、決してプラスの領域には戻らない。一般的にHPが『最大HP×-1』になると死が確定すると言われている。仮に生き永らえても、一定の時間経過や新しいダメージを喰らう度に『現在HP状況/最大HP×-1』の確率で息絶える。『HPがマイナス値になると運次第……女神頼み』だと言われるが、精神論を唱える学者もいる。




「さて、一番、屈辱的な死に方を味合わせてやるよ……おい、そこのお前、殺れ!」


 ザクズは適当にスクリーム1体を指差す。

 ――シークを慕う者に殺させる気だ。


「……」


 しかし、『そこのお前』はピクリとも動かなかった。


「……あれ? お、おい、お前だよぉ! 早く殺せぇ!」


 ザクズは繰り返し指令したが、そのスクリームは動こうとしない。

 ――支配者の命令に抗い、堪えているようだ。……どうやって?


「何で耐えられるんだぁ……ってか、誰だよお前……仮面で誰が誰だか分からない……クソがぁ! ああ! もういいや! 大丈夫! 『解除』!」


 ザクズやグールたちはスクリームから元の姿に戻る。

 ――もちろん、能力も素に戻る。




「お、お前は……P子ッ!?」


 ザクズが指差していたのはP子だった――突き出した指がプルプルと震え出す。


「ど、どうして僕の命令に逆らえるッ!?」


「……あい」


「哀?」


 ザクズはP子の言葉を飲み込めないようだ――経験がないから。




「愛の力よッ! アンタの命令なんかには屈しないッ!」


 P子は声高に言った――確かに。こんな『愛の力』とかいうデタラメ以外、支配者に抵抗できる納得のいく理由は無いだろう。愛とは理屈では無い。そして、理屈を破綻させるのはいつだって心……愛といった生命体が持ち得る不思議。

 ザクズは意味不明を認めようとしない――気持ちは分かる。


「どうなってんだぁ……愛の力とかファンタジー過ぎるだろぉ……ええい、僕に従えぇ! うりぃぃいいいい!」


「うぐっ……ぜ、絶対に負けないんだからッ!」


「……忌々しい女めぇ! ま、まさか……おっぱいを触ろうとしたこと、まだ根に持ってるのかぁ!? 揉んだ方が大きくなるだろうがぁあああ!」


「アンタはもっとヒドいことしようとしたでしょ! シークさんが助けてくれなかったら、どうなってたことか! このクズッ! 犯罪者ッ!」


「くっ……嫌なことを思い出させる……」


 ザクズは謎のカメラ目線となる。

 ――さも被害者のような雰囲気を出している。

 誰という対象はいないが、説明を始める。


「前回、シークに負けた僕は『契約破棄=完全消滅』となる〈ギアパトラッシュ〉を結ばされた……内容は『〈ノゲラキング〉で全年齢対象以上の規制に引っ掛かるようなエロ要求は出せない』。果たして、ザクズの青春は守られるのか? 次回、ザクズ死す! ……クソッ! せめてパンチラはセーフにしろよぉ……厳しすぎるだろぉ! 某ジャンプ漫画並のエロアオハルさせろよぉ!」

 

 ザクズはジタバタと地団駄を踏み出す――エロへの執着だけは立派である。

 ――何だかP子とザクズが長々と語り出す予感がする。

 ――まあ、P子は可愛いから許す。ピンチになったら、〝私〟が助ける。




(……今のうちに)

(ラストチャンスだ……)

(コレがダメだったら……奥の手しかない)



 

 シークはトントンとモールス信号的な暗号を叩き始める――内容は2つ。

 ザクズはシークの行動に気付いていない――P子に執着している。

 そして、P子は何とかしようと必死だ――何かを守るために。



~つづく~


次回、5月7日(5月9日)の投稿予定。


ご愛読ありがとうございます。

昨日は投稿できずに申し訳ございませんでした。

GWが明けると、日常(仕事)に戻るため、今後の活動はまだ不透明です。

ただ、中途半端で終わらせるつもりは無いので、途中で放り投げないです。

拙筆ですが、これからも頑張っていきたいと思います。


では、みなさん、最後のGW休日を楽しんで……。


蛇足:

モチベーションが下がり気味ですね(仕事ぉ……)

こういう時が危ないと思います……気合いを入れないといけませんね……

気合いだ気合いだ気合(略)

ちなみ、本章はその10までの予定です。

途中で「もう10がキリ良いのでは?」と思い付いたからです。

なので、ちょびちょびと登校しています…どーんどーん派の人は、すみません。。。

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