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チート転生者に最愛の妹は娶らせない!  作者: 千早一
第1部:【FATE】恋愛は運命から始まる。物語は因縁から始まる。そして兄妹は……
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第6章:シスコン兄の一番ヤバい日(仮)① ~アンデッド★ナイトフィーバー~

1章が長いため、分割しております。

今回は2000字程度になっています。(さわりという感じで)

ホモ注意報。苦手な方は心の準備を。




「アニキ……アニキ……アニキ……アッ……アニキ! アッニキ!」




 ジロウは暗闇の木々に身を潜めている。

 音も立てずにスクワットで自主トレに励んでいる――何故か全裸だ。

 〈第11回・エルシィ兄排除カップ〉の名(迷)勝負から1日が経った。

 多少の疲労感が残っているかもしれないが、男たちは日進月歩を止めない。

 



 今から『シスコン兄の一番ヤバい日(仮)』が始まる。 




「ナイスバルク……上腕筋と三頭筋の間の切れ具合が最高っすね……うっ……三角筋と大胸筋の逞しい一体感……はうっ……使う筋肉でありながら、魅せる筋肉……アッ……トドメの僧帽筋ズドーン……アッウッ……極限まで鍛えているからこその究極のカット……ビクッ……今日もアニキはキレキレっす……そして、神秘のアソコ……あううぅう……」

 

 ジロウは南西の村外れにある洋風な墓地にいる。

 〈サラマ村〉と〈起承転結の森〉の間にある閑散とした場所だ。

 その殺風景な死者のネグラで、シークは黙々と鉄刀を素振りしている。

 ひたむきな兄貴分を陰で見守りつつ、ジロウは喘ぎながら筋トレをしている。

 

 率直に言おう――コレはストーキングだ。

 

 ジロウは興奮のあまり、観衆などいないのに、シークの筋肉を解説してしまう。

 気味の悪い声を漏らすのは、あくまでもスクワットの苦痛に耐えているから。

 今後もジロウがイカがわしい言動をしても、気のせいだと思おう。




「アニキの汗が……これでもかと言わんばかりに光り、滴り、落ちる……弾ける筋肉……飛び散る我慢汁……自分も頑張って……アニキと一緒に解放させないと……ヌアッー!」


 ジロウは『自分も一層励もう』と思っている。

 ――色々と辛いので、適当に解釈する。

 今、ジロウはスキル〈ヨクミ・エール〉〈ゼンブミ・エール〉〈クラヤミ・エール〉を駆使して、シークのトレーニング姿を鑑賞している。

 ――暗闇の中でも『8kテレビの画素数を上回る鮮明さ』で見えている。















「あぁ……ラストスパートっすね……アニキ……アニキアニキアニキッ! ンハァーン! ンアッーアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!」




 ジロウは逝った――テクノブレイクで腹上死した訳ではない。

 霊圧が消えた……果てたのだ――シークが呼べば、すぐにでも起きるが。

 あくまでも筋トレを極限まで行っただけ。エロとかBLではない。本当に。


「……ハァ~勘弁してくれ……」


 シークはかつての戦友の墓標の傍に鉄刀を突き刺す。

 ――睡眠時間を2時間にまで削っていて、常に自己向上を怠らない。

 彼は「今日もサンキュー」と不在の友に剣を返し、日課の素振りを終えた。


(ジロウ、本当にホモい……『仲間にする』って選択はミスだったか……?)


 あと、シークはジロウの存在に気付いている。

 魔法やスキルを使わなくても、ジロウが居ることは容易に察せられた。

 ――コレはまったく不思議ではない

 墓地にはリビングデッドのような悶え声が響いていたのだ。

 ――『気味の悪い声』というよりは、単に気持ち悪い声だった。

 そもそもジロウはボディガードとして四六時中付きまとっている。

 ――シークが絶体絶命のピンチに陥った時の切り札でもある。


(さてと、もうすぐか……)


 時刻は深夜の2時を過ぎている。

 朝日が昇って作り出す、春らしい風情のあるあけぼのまで、あと数時間だ。

 この開けた墓地であれば、南東のヒーニ山脈が段々と照らされていく素晴らしい景色をじっくりと堪能できる――幸いなことに、空には曇1つない。




(今日は何だか嫌な予感がするが……気のせいだよな)




 ただ、シークは鍛錬や朝焼けのためだけに墓地へ足を運んだ訳ではない。

 ある野暮用を片付けなければならない。




「……ガァ」


 どこからともなく、リビングデッドの呼び声が呻かれた――ジロウではない。

 未明。夜明け前にすら至っていない。夜の支配下である時間帯。

 心許ない衛星と星々の光が点在するだけの暗黒空間。

 まるで死者の世界。


「「「……ウガァアアアオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」


 夥しい数のグールの叫び声が墓地に木霊した。

 生気の無い青白い頭やら手やら足やらが地面から湧いて出てくる。

 グールたちが海外のB級映画のようにドンドンと地面から這い出てくる。

 ――そう。夜の墓地とは、アンデットの楽園と化すのだ!





「「「やったぜ! やっと俺たちの時間帯! レッツパーリィ! フゥー!」」」




 陽気なグールたちはナレーターが作り出した雰囲気を見事にぶち壊してくれた。

 ボコボコと湧き出るや否や、ダンスパーティーが始まる。

 ――リズム良く身体をフリフリとシェイクしたり、見事な足捌きでステップを踏んでいたり、ダンスバトルしていたり、集団で『スリラー』を踊っていたり。

 死者のクセに何とも生き生きとしている。


「ちょっ!? 新人が足しか出てないっ!? 何人か手伝ってくれ!」


「「しょうがねぇな……任せろっ!!!」」


「お前ら……マジ最高だぜっ! 『せーの』で行くぞ? ……せーの!」


「「よっこいしょういちっ!!!」」


「うわっ!? し、新人の足が切断しちまった! ……グールあるあるぅ~」


「「それな! あるあるぅ~」」


 グールたちはゲラゲラと笑い出す――本当に楽しそうだ。

 この墓地〈DQの墓〉には、〈アンデッド種〉が住み着いている――〈アンデッド種〉はグール・ゴースト・スケルトン・ゾンビの4つの属がある。

 今はグールの活動時間帯であり、アンデッドの長のリッチもどこかにいる。

 ちなみに、ココのリッチは『ノーゲス・ノーライフ・キング』こと〝ノゲラキング〟の異名を持つ――〈デーモン〉のヴァンパイアの『ノーライフ・キング』とは関係ない。『ノゲラ』とも関係ない。




~つづく~




次回、4月29日23時までの投稿予定です。


ご愛読ありがとうございます。

本章から新しい展開に入ります。

今回は少しになっていますが、今後も頑張っていきたいと思います。


では、失礼します。。。


蛇足:

今回、後書きを少なめにしてみました(´・ω・`)

次回からまたうるさくなるかもです(`・ω・´)

ではでは、おやすみなさい。

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