第四十三話 『プロジェクト・メガル』 OP
茜は崩壊していく空を物憂げに見上げていた。
「!」
ハッチを開けたまま無防備に乗り捨てられた状態の空竜王に気がつき、近づいていく。
周囲を見回してもオビィディエンサーである夕季の姿はどこにもなかった。
オープンチャンネルからの通信が、メガルの危機を訴え続ける。
ニセ空竜王の攻撃によって、メガルの壊滅も時間の問題だった。
無言でコクピットに乗り込み、感応スティックに手をかける茜。
しかし、どれだけ押しても引いても空竜王が動く気配はなかった。
『駄目か……』
*
手術台の上で茜は無防備な姿を晒していた。
「本当にいいのか」
施術者に問われ、生気のない目線だけを差し向ける。
「はい」
目を細めたのは、無影ライトの眩しさのせいばかりではなかった。
「あらかじめ説明を受けてわかってはいるだろうが、まったく効果が出ないこともある。むしろ、その可能性の方が高い」
「わかっています」
「それどころか、この処置は君の身体に重大な問題を引き起こすことにもなりかねない。それでもいいのか」
「はい。かまいません」
「今ならまだ引き返せる。もう一度よく考え直してみなさい」
茜が目を閉じ、唇を噛みしめる。
「お願いします……」
それは何かに決別するふうでもあった。
*
シートに身体をうずめ目を閉じた茜が空を仰いだ。
右腕を額に押し当て、もう片方の手の甲で目頭を押さえるようにして、かつて観た子供向け番組の主題歌を弱々しく口ずさむ。
「ゆ、くぞ、ゆくぞ……」
唇を噛みしめる口もとがゆがんだ。
悔しげなその仕草は、ほどなく嗚咽を誘い込むはずだった。
その時、コクピット内で光がはじけ、共鳴のような振動が全身を走り抜けた。
「……」
口もとを引き締め、茜が空を睨む。
頷いた視線の先には、挑むべき敵の姿があった。
「いくぞ、あかね」




