とはいえ現状のままだとなろうの衰退は確実だと思うのですが
さて、単純に主役が強くて女にもてるというのであれば、コブラ・ゴルゴ13・バスタード・シティーハンターなどの漫画作品が昔からありますが、そういう最初から無双な主人公には必ずしも感情移入しやすいとは言えないでしょう。
そういった作品が痛快であるのは間違いないですけどね。
それを考えるとガンダムのアムロは最初はいやいやガンダムのパイロットをやらされて殴られたり逃げたりしてフラフラしていて生き残れたのは機体の性能のおかげだったりしても、中盤から最強のニュータイプと言われて周囲から称賛されてますから、それが視聴者に受けたのかもしれませんね。
そしてエヴァンゲリオンのシンジくんも周りの大人にやりたくもないことをやらされて、途中でアスカと仲良くなったと思ったら、最後はほぼ全滅エンドになった後で、二次創作で逆行転生して、使徒もネルフの大人たちも無双でザマアと言うのは気持ちいのでしょう。
で、なろうの異世界転生も社畜やニート、いじめられっ子など現実世界での扱いの酷さを最初に持ってきて読者に対してキャラクタに感情移入させ、そこからキャラクターが死んで異世界へ転生したり、召喚されて転移することでそのときにチートな力を与えられ、誰かから凄いと認められるということが、感情移入している作者や読者の精神も承認欲求を満たすような感じで受けたのでしょう。
最近の追放物の人気もこれと同様だと思います。
しかし、ここ最近は転移転生でも最初の不遇な状態そのものの描写が大雑把もしくはほぼない状態になってきていたり、転生転移でないので元々優秀な能力なんだけど長く寝ていて周りのレベルが下がっただけだったりして読者の主人公に対する、自分と同じように虐げられてる主人公というキャラクター性がなく、不遇に対する共感がうしなわれつつあるような気がします。
更に主人公が様々な理由で強すぎることであっさり勝つ戦闘やニコポ・ナデポのようなヒロインとの色恋沙汰などがただの作業になってしまっている上に、知識チート、持ち込みチートなどのネタはどんどん強力になっている上に、現代武器どころか未来武器なども使われて来て、持ち込まれるものなどが使いつくされてしまったような感じもします。
そして本来は必要な途中経過の描写などが省略されすぎて、いろいろ先鋭化しすぎていることで、暗黙の了解を知らない人が入り込めない状態になりつつあるような気がするのですよね。
これは実際はちょっと違うけどアーケードの対戦格闘ゲームの難易度がどんどん上がっていって、カイザーナックルがでてきたときにそれを対戦格闘ゲームを全くやったことのない人間が初めてやって面白いと思われるかみたいな感じかなと。
まあ、初心者でももしかしたら対応できる人もいるかも知れませんけど。
そろそろなろう作品を全く読んだことのない人が初めて読んでも本来は描写があるはずのところが省力されていて面白さがわからんし感情移入できないという作品からある程度は描写を加えて感情移入や納得できるようにしていかないと、ユーザは減るばかりになる気がします。
もちろんなろう作品を多く読んでる人にとっても面白いというものでないと駄目でしょうけど。
最近の異世界物は世界に住む人間の一員でしかない昔のファンタジーとちがって、主人公だけに優しいセカイという箱庭であり、ある意味主人公以外のキャラクターが主人公のためだけに存在し動いているゲームのようなセカイ系なのかもしれません。
昔のロードス島戦記などのファンタジーはTRPGの影響が大きかったように思いますが、最近の異世界はVRMMOというかソシャゲに近い感じなのかなという感じもします。
今後はそこらへんのモブにもちゃんと人生や感情があり世界が広がるような作品が受けるのか、それとももっと周囲の人間の数を排除していって最低限の人数の作品が受けるのか。
人気の漫画などを見るとどっちかというと後者のほうが受けそうな感じが私はしますね。