ランチ
中に入るとそこは落ち着いた雰囲気がある店内が広がる。
「いらっしゃいませ。4名様ですか?。」
元気で明るい少女の赤を中心とした可愛らしいウェイトレスドレスで出迎えてくれる。
「ああ。」
「当店は初めてのご利用ですね。席は個室とテーブルがございますが。」
「個室を頼めるか?。」
「はい。では案内させて頂きます。4名様。ご案内します。」
と元気良く言うと店の奥から様々な声でいらっしゃいませと聞こえた。
奥へと案内されドアを開けた先の広さは6人まで対応可能の広さになっていた。
大きな美しい茶色のテーブルが一つに同じ材質の椅子が6つ。
窓の景色は城を撮った写真のような美しい景色だった。
席にはゼラが真ん中に座り左右にアウラとスィーナで前にシスと座る。
「メニューになります。ご注文がお決まり次第こちらのベルでお呼びください。」
とテーブルの端に碧く輝く水晶でできたベルを置いて一礼をした後出て行く。
「・・・。分からない・・・。」
「大丈夫です。私も読めません。」
「う~ん・・・。う~ん?。」
「まぁそれは今度覚えるとして俺が適当に頼んでもいいかな?。」
3人は了承しシスにベルを鳴らしてもらうと5秒でノックされ先ほどの少女が入ってくる。
「失礼します。」
「注文でとりあえず全部1人前ずつ頼む。」
「え・・・。え!?。よっよろひいのでひゅか?。」
驚き少し滑舌がおかしくなっている。
なんせメニュー数は50。
3~4人前の大盛りで作られているからだ。
「ああ。飲み物はミックス果汁のジュース3つとアルゴリアの果実酒を1つ。」
「料理の方は・・・。」
「出来上がり次第持ってきてくれ。テーブルが一杯だったら空きができ次第呼ぶよ。」
「分かりました。失礼します。」
と少女が出て行った。
「ふふふ。楽しみです。」
「僕はお肉を食べたいな~。」
「まぁ全部頼んだから足りないってことは・・・多分無いと思いたい・・・。」
シスを見るとよだれを垂らしている。
「ん!?。」
垂れている事に気が付き急いで手で拭き取る。
ドアがノックされ、
「失礼します。果実のジュースになります。」
と言ってグラスをシス、アウラ、スィーナの順で配り。
「こちらがアルゴリアの果実酒になります。」
そう言ってゼラの前にボトルが1本とグラスを置く。
「失礼しました。」
バタンと閉まった音と同時に、
「甘い。美味しい。」
「凄い・・・。これが人間が口にしている飲み物・・・。」
「濃厚で深く甘くて酸味も程良くあっていくらでも飲めそう。」
「そうか。」
と言ってグラスに果実酒を注ぐ。
入れた後は香りを嗅いでみる。
凄い華やかで柑橘系の香りが広がる。
その後口に入れると柑橘の味が口一杯に広がった後甘みが来る。
しつこくない甘さでいくらでも飲めるお酒だった。
「うん。いけるなこれ。」
「マスター。一口ちょうだい。」
「いいが大丈夫か?。まず匂い嗅いでみろ。」
シスはその果実酒を嗅いでみると、
「!?。駄目・・・。これ・・・。私はいらない・・・。」
すぐさま鼻から離しゼラに返す。
どうやらアルコールが駄目なようだ。
「どんな感じですか?。」
「僕にも。」
と二人も嗅いでみるとアウラもシスと同じであまり良い印象では無く、スィーナはまぁ好きかもっと言い一口飲む。
「!?。けほ・・・。けほけほ・・・。」
「あ~無理みたいだな。」
アルコールに噎せてしまい咳き込んでしまう。
「駄目みたいだな。」
「これは無理・・・。美味しいと思わない・・・。」
とジュースで口直し。
「まぁそんなもんよ。」
そう言ってグラスを返してもらい飲む。
「うん。美味しい。」
と1杯目を飲み終えたところにドアのノック音。
「失礼します。」
そしてその後ろには料理が積んであるワゴンが見えた。
「こちらが取り皿とフォークとスプーンになります。」
白い大きめの取り皿を全員に配り容器に入ったフォークやスプーンを置く。
その後、
「こちらは季節の野菜の兎サラダと焼きボアのサラダとチーズサラダと海鮮サラダと薬草のサラダになります。」
と前菜のサラダを置き終えると一礼後出て行った。
「私はこれから。」
「じゃこれを。」
「こちらを頂きます。」
3人別々の物を取り合わける。
シスはチーズがこれでもかと使ったサラダで野菜がチーズで見えていない。
アウラはボアのサラダで野菜の上にローストビーフの様なボアの肉が花の様に盛り付けられまるでお花畑である。
スィーナは薬草のサラダで様々な効果がある薬草に野菜とドレッシングで和えてあるもの。
ゼラは全部を少しずつ盛り付けてゆっくり食べる。
兎サラダはまんまササミが乗ったグリーンサラダ。
海鮮はエビもどきやマグロもどきに鯛もどきのカルパッチョだった。
「もぐもぐ・・・。」
「ん~。食べるってこんなに幸せなんですね。」
「本当にいくらでも入る。」
3人は黙々と食べ始め数分でサラダが空になる。
「失礼しま・・・。」
少女は固まってしまった。
サラダが既に完食である事に。
「っは!!。失礼しました。空いているお皿お下げします。」
皿を片付けた後ワゴンに片付け別のワゴンから料理を運び机に並べた。
「こちらはドラゴンステーキ、バルバッファローのステーキ、綿うさぎの香草焼き、バルバッファローのスタミナ焼き、ボアバーグの包焼き、グリルソーセージになります。」
机一杯に肉料理が並べられる。
「失礼いたしました。」
そう言って少女は出て行った後は戦場だった。
最初こそナイフとフォークに手こずっていた二人は数分で扱い方を習得しシスと張り合って食べている。
「「「もぐもぐもぐ・・・。」」」
(尊い・・・。)
ゼラは少しづつ盛った物をゆっくり食べ始める。
ゼラは様々なお酒を頼み3人は基本ミックスジュースを飲んでいた。
その後も次々と料理が運ばれてくる。
パスタやグラタンにスープにパンと種類も多く量も凄まじくゼラは本当に少しずつしか食べなかったが3人が全て平らげる。
3人はかなりの量を食べたが一切体型が崩れていない。
店全員が彼女達の食べっぷりに驚愕しデザートが来たと同時に会計を頼む。
ケーキを食べようとした時店のコック長が挨拶をしに来てくれ是非ともまた来てくださいっと名刺と領収書を渡された。
金額の合計は金貨30枚だった。
料金を払いゆっくりとデザートを楽しんでいると正午の鐘が鳴り響く。
「そろそろギルドに行くか。ついでにアウラとスィーナも登録してもらうが試験でくれぐれも死人を出さないでくれよ。」
「「はい。」」
「・・・。」
アウラとスィーナは元気良く返事をするがシスは少しうとうとし眠いようである。
「大丈夫か?。」
「ん・・・。大丈夫。」
背伸びをし意識を覚醒させようとしている。
「よしじゃ食べ終えた事だし店をでてギルドに行くか。」
全員が一斉に立ち上がり店を出る為出入口を目指すと、
「ありがとうござます。」
「「「「「ありがとうございます。」」」」」
と出入口前で全店員が頭を下げて見送ってくれた。