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買い物

翌日。


ゼラが目覚めると真っ先にシスの顔が映る。

鎧は収納しタンクトップとハーフパンツの姿でじーっとゼラを見つめている。


「おはよ・・・。」


「ん。早い目覚め。」


ふと外を見ると日がまだ登りかけでオレンジ色であった。


「なんか久々にゆっくり寝た気がするな。」


前は朝6時起床し7時に家を出て8時に仕事場で仕事を開始し4時半が定時だがいつも5時半近くまで残業しそこから道中で夕御飯を食べ7時前後に帰宅し明日の準備を終え汗を流した後はゲームにインし夜中0~3時までレイドボスなりギルドメンバーと会話なりし寝てまた6時に、休みは起きれるまで起きて寝るという生活を5年続けていた。


「ん。顔色少し良い。」


「そっか。時間はと・・・。」


部屋を見渡すと窓とは反対の壁に時計らしき物が見つかるが針時計ではないので、


「読めない・・・。神眼。」


神眼で情報を抜き取る。

時刻は5時半。


「まだ30分あるな。」


「どうする?。」


「顔洗う。」


「ん。私も。」


一緒に向かい洗面台で顔を洗い置いてあったタオルで顔を拭くが、


「かった・・・。」


「ごわごわ。」


使い古したタオルのような肌触り。

とりあえず拭き取り椅子に座るとシスが膝に座った。


「~♪。」


機嫌が良く鼻歌を歌い始める。

ゼラは黙ってその鼻歌を聞く。

暫く喋りもせずただただシスの鼻歌を聞き時間が過ぎていく。

鼻歌はゼラにはとても心地よくいつまでも聞いていたいぐらいだったがいつの間にか6時まで5分前になっていた。


「おおう・・・。シス。そろそろ鎧着てくれ。」


「ん。」


膝から降りて体が光鎧を一瞬で装備し終える。


「さてご飯食べて街を一通り見てまわろう。その後ローブ買って全員で服を買う。」


「ご飯~♪。ご飯~♪。ふ~んふんふん♪。」


「本当に機嫌が良いな。」


「一晩中マスターの側にいられたらこうなる。」


無表情の顔から突然の笑みに変わりゼラはドキッとする。


(まじで天使。ああ・・・。マジ天使ってこんな感じなんだろうな。)


と思いながら階段を下り食堂に着くと客は居ない。


「一番乗りだな。」


「ん。」


そう言って厨房の人に赤の食券を渡すと昨日と同じようにトレイに今日はフランスパンを縦に切ってチーズと兎のソーセージを挟んだ物とポタージュスープみたいな物を渡される。

それを持って適当に座り食べ始める。


10分で食べ終わり食器類を全て厨房に返し受付に行き鍵を返し宿を出る。


「さて店が開店するまでゆっくりと探索しようか。」


「・・・。ん?。」


シスは後ろを向いて違和感を感じる。


「どうした?。」


ゼラも同じように後ろを確認するが神眼には反応なし。

人気も感じない。


「気のせい。行こマスター。」


そう言ってゼラの手を握り引っ張る。

ゼラは笑いながら引かれるがままに連れて行かれる。


「・・・。あぶないあぶない。シスちゃん鋭すぎだよ・・・。」


少し離れた建物の物影からキャリーが出てくる。


「これ以上は近付けないか・・・。困ったな・・・。」








それからゼラとシスは色々な場所に行き頭の中にマッピングしていく。

重要な服屋やローブが置いてあるとこは最優先で見つけ飲食店も決め。

あとは噴水が公園だったり広場だったりとにかく広い。

治安に衛生面も良い事が分かった。

スラムも無くホームレスと言える人は数えるぐらい。


「はぁ・・・。かなり行き届いてるなぁ~。この街を仕切ってる人はかなり優秀だな。」


公園のベンチに座り見た感想をそのまま言う。


「これ美味しい。」


シスはゼラの膝の上に座り朝早くからやっていた出店で買ったピロシキもどき左手で食べ、空いた右手にはリンゴジュースを持っている。

何かとシスは食べ物に興味を示す。


「そうか。しかしさっき朝食食べたとこなんだがな。」


「私はいくらでも食べれる。はむ・・・。もぐもぐ。」


「ほれ付いてるぞ。」


と言って頬に付いた具を指で取り舐める。


「辛?!。」


ピロキシは激辛であった。


「大丈夫?。はい。」


とジュースを差し出してくれる。

それを半分ぐらい飲み。


「ありがとう。てか辛くない?。」


「ピリピリしてるけど美味しい。」


「まぁうん・・・。ほどほどにな。」


「うん。」


そして店が開店しだす時間帯が訪れた。

人通りはまだ少ない為スムーズに移動ができた。


真っ先にローブを置いている装備屋に向かい緑色のローブと水色のローブを購入。

値段は両方とも名前はリーザローブ金貨1枚で耐熱耐性がついていて素材はリザードマンの革。

カード対応していた。


その後は裏路地に入り人気がない場所で周囲を警戒。

シスも完全に警戒態勢に入る。

これにより人やエネミーはシスを中心に半径10mはスキルで気配や姿を消していても物陰に隠れていなければ見つけ出す事ができる。


「よしそのまま頼むな。」


「ん。」


そしてアウラとスィーナを呼び出す。

魔法陣が展開し二人が跪いて現れる。


「よし。周囲に人無し。」


「こっちも大丈夫。」


「早速だが羽って消せるか?。」


「問題ありません。」


「ご覧のとおり。」


羽が消え人と全く一緒の状態になる。


「じゃこれ着けて。」


アウラに水色。スィーナに緑のローブを渡すとすぐさま着けてくれた。


「じゃシスそのまま警戒しつつ離れないように。アウラとスィーナは俺の手を握ってくれ。」


「「はい!!。」」


二人はすぐさまゼラの左右に分かれ両手で握り締めた。

その後シスが警戒をして近付いてくる男は片っ端から殺気を放ち気絶もしくはその場で動けなくなり漏らしていた。


5分ぐらいで目的の一軒である大型店舗のアパレルショップに入る。

セレブ御用達のようなゴージャスで清潔な店ではある。

早速中に入ると高そうなドレスやスーツがずらっと並んでいる。


「いらっしゃいませ。当店は始めてですね。」


紳士服の渋い男性が出迎えてくれる。


「ああ。すまないが3人にそれぞれ似合う服を頼みたい。」


「承りました。」


と言って手を3回叩くとメイドの服を着た女性3人が奥から出てくる。

前に立つと3人は片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を軽く曲げ、背筋は伸ばしたまま挨拶をする。

そして真ん中の女性が、


「本日。担当をさせていただくアビナととうします。ではお嬢様方はこちらに。」


と案内を始めようとしてくれるがシス、アウラ、スィーナはゼラの傍から全く動こうとはしない。


「どうした?。」


「約束。」


「ああ。選ぶにも着てこないと駄目だろ。俺は男でお前達は女。だから自分が良さそうなの見つけて着て評価してやるから。」


渋々アビナに付いて行く。


「愛されておりますね。」


「まぁうん。なんていうかすまない。」


「気にしてはおりません。では自己紹介を。私はセジャスティ。セジャとお呼びください。」


軽くお辞儀をする。


「それで何をお求めで?。」


「スーツを三着欲しいな。」


「色は?。」


「どれぐらいある?。」


「当店には色はこの10種になります。」


何時何処から出したか分からないカタログを渡され見てみる。

現代とさほど変わらず黒や紺で若干黒が強かったり青みが強かったりする程度。


「じゃ黒を3セットで。」


「承りました。寸法の方は既に計測済みです。」


「アビナを呼ぶ時に俺。アビナが3人のをだろ?。」


ゼラはセジャやアビナの目の様子が変わるのを見ていたのと神眼でスキル項目にサイズ鑑定っというスキルを見つけていた。

ゲームの世界では無かったスキルでただ大きさの情報を見れるスキル。


「お気づきでしたか。貴方様は只者ではなさそうです。では整えてまいります。この場所であればご自由に見学ください。ただ大きな赤の扉の奥は女性専用となっていますのでご了承ください。」


セジャはどこかへ向かいゼラは服を見て回る。

スーツの他にも寝巻きに普段着にと幅広く取り揃えてあった。


10分程度ぶらぶらと見ていると、


「お。これ良さそう。」


肌触りの良い白のTシャツに黒に金色で背中に龍が刺繍されたパーカー、ズボンは紺色のジーンズぽい物だった。


「ほう。それに目を付けましたか。」


セジャが後ろに現れるがゼラはあまり気にしていないようだ。


「それはつい最近出来上がった少年や青年に向けた最先端ファッションの物です。着心地、かっこよさにこだわった一品です。」


「これ何着ある?。」


「その黒と赤に白とございます。現在各色1着のみ在庫にあります。」


「じゃ全部。」


「ありがとうございます。」


「これもう着てもいいかな?。」


黒色の服装一式を着たがっているゼラ。


「では案内いたします。」


そう言われ試着室に案内されすぐさま着替え装備一式は袋に入れる。


着替え終え外に出る前に鏡を見て変じゃないか格好を確認する。

出てセジャにお似合いですと言われた後、


「マスター。」


「どうでしょうか?。」


「なかなかいい服だと思うの。」


シスは白に藍色で花や草の模様の総レースが入ったドレスワンピースに頭には藍色のニット帽。

アウラは少し青が入った清潔感溢れる白のブラウスに紺色のロングスカートに白のキャペリンを少し斜めにしている。

スィーナは胸元があいた体にフィットしている薄緑のネックニットトップスに白いハーフパンツに草色のミリタリーベレーというもの。


シスは可愛らしく、アウラは綺麗で、スィーナはセクシーな格好である。


「お嬢様方は素晴らしいです。基本なんでも似合うでしょが今回は本人の意見も取り入れた結果このような服装になりましたがいかがでしょうか?。」


アビナ達はいつの間にかセジャの後ろに並んでいる。


「ほえ・・・。やっぱり服一つで変わるな。シスは更に可愛くなるし、アウラは綺麗だし、スィーナは女の色気がやばい。似合ってる。」


三人をまじまじと見てしまう。


「ん。」


「嬉しいですね。」


「主もよく似合ってるよ。」


「ありがとう。とりあえず買います。服装はそのまま着て帰ります。」


セジャは微笑み。


「お気に召していただいて良かったです。」


「後は寝巻きとラフな格好の服を頼みたい。」


「かしこまりました。ではまたお嬢様方をお借りします。」


そう言って3人は先ほどと違いアビナの案内を直ぐに受け入れる。


「でもよろしいのですか?。」


セジャが心配そうにゼラに声をかける。


「ん?。」


「かなりの金額となりますが・・・。」


「ああ。まだまだ余裕だよ。今ので合計金貨200だろ?。」


「・・・。目利きがお有りのようで。ふふ。いらない心配をいたしました。申し訳ございません。」


「普通はそんなもんだよ。初めて買いに来た人で本当にお金があるのかを気にするのは。」


「また暫く時間がかかりますので立ち話もなんですから奥でお茶でもいかがでしょうか?。」


「おお。いいね。お願い出来る?。」


セジャがこちらへっと案内してくれたのは店の奥の部屋。

見た感じは事務所のようだ。

整理整頓され無駄という無駄は無く書類等も一切表に出ていない。

その部屋の端にあるテーブルソファーに案内されゼラは座る。

暫くするとセジャがお茶をとお菓子を持ってきてくれた。


「つまらない物ですが。」


「いや。ありがとう。いただきます。」


出されたのはスコーンと紅茶。

スコーンはサクサクでしっとりしていて甘さは控えめ。

紅茶は口に入れたとたん甘い匂いが広がり渋みが少なく飲みやすい紅茶だった。


「うん。美味しい。」


「こちらのスコーン。私の手作りなんです。」


「色々とできるんだな。」


「恐れ入ります。」


「やはりこちらでしたか。」


とお茶を楽しんでいるとアビナが入ってくる。


「お嬢様方の準備ができました。」


「ああ。見に行こうか。」


「私はついて行けませんの御用があればこの場所にお越し下さい。」


「ん?。ああ。分かった。じゃ案内を頼む。」


「かしこまりました。」


部屋をでてアビナについていくと少し離れた場所の部屋に着く。

中に入るとシスが白色、アウラが水色、スィーナは黒色で少し透けて下着がいるのネグリジェで際どい格好をしていた。


「・・・どう?。」


「これは恥ずかしいですね・・・。」


「そうだな・・・。」


シスは無表情に見えて少し頬が赤くなっている。

アウラとスィーナは完全に恥ずかしがり胸と又を手で隠している。


「ふむ。下着はここでも取り扱ってるんだな。」


「はい。」


「じゃ今彼女達がつけてる物をそれぞれ5つ欲しい。あるか?。」


「ございます。」


「じゃこのネグリジェと一緒に買う。」


「ありがとうございます。」


(っふっふ。シスは白。アウラは水色。スィーナは薄緑か。いやー目の保養だわ。)


「マスター・・・。あまり見つめられると流石に恥ずかしい・・・。」


「照れるシスは可愛いな。アウラもスィーナもふっふっふ・・・。」


「う~。恥ずかしいです・・・。」


「あまり見ないで・・・。」


「では一般服の方は三人と白の長袖のシャツと蒼のロングスカートをお選びになられましたがいかがなさいます?。」


「是非見たい。」


その後見た感じ学生服みたいなのが一般の服装となり、それを9着買うことにし計金貨が520枚。

値引きしてもらい金貨500枚となった。

ローブ等は返してもらった後袋にいれ、カード払いで支払い服装もゼラ似合ってると言った服装で店を出る。

店を出た後収納袋に全部入れる。


「さぁ次はちょっと早めだがご飯にしようか。」


「ん。」


「私達食べるの初めてなんですが大丈夫でしょうか?。」


「大丈夫。教える。後は気合。」


「そういやシスは教えなかったのに使えてたな。」


「マスターのやり方見たら分かる。」


「分かっても出来るわけじゃないんだが・・・。」


それから街を歩く。

シスがゼラの右斜め前を歩き、アウラが左でスィーナが右に並び歩く。

すれ違う男性達どころか女性も3人に見惚れる。


「なんだあの美人達!?。」


「あの子も可愛いぞ。」


「綺麗・・・。」


「あの子可愛い・・・。」


などの声が聞こえてくる。


(分かる分かる。)


心の中で頷きながら歩いていると、


「あの子格好良い。」


「格好良いけど可愛いとも思う。」


「あれサスペガンの最先端ファンションじゃなかったかな?。」


「私見たことあるけどあそこまで似合ってる子知らないかな~。」


(よかった。似合ってて。てかあの店の名前サスペガンっていうか。)


その言葉に安心を覚えたゼラであった。


そして次の目的の場所である飲食店に入る。


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