初依頼
東門に着いた後ギルドカードを見せ外に出る。
時刻的に昼間近。
「さてある程度離れたらアウラとスィーナ呼んで空飛んで行こうか。」
「ん。」
暫く歩き門が見えなくなったところで、
「アウラ。スィーナ。」
「「お呼びでしょうか?。」」
「すまないが俺をこの先にある鉱山まで運んでくれないか?。」
「「喜んでお受けします!!。」」
二人はテンションが大幅に上がりアウラが左。スィーナが左腕を腕を組む。
「では行きますよ。」
「出発します。シス様は大丈夫ですよね?。」
「ん。大丈夫。私はいつでもいいよ。」
そうして二人はゼラと一緒に空を飛び鉱山の方角へと向かう。
速さ的には100キロ前後だろう。
スィーナの魔術で風はまったく感じなく寒さも感じない。
時々アウラがお水飲みますかと聞いてくるぐらいで景色を楽しみながら二人の感触も楽しみ何事もなく荒野の鉱山に着く。
近くには村があった。
シスも降りる頃には下にいた。
「ここかぁ~。」
ゼラは二人から離れ鉱山の村の方を見た。
「周囲に敵や人無し。誰にも見つかってない。」
「そうか。ありがとう。」
頭を撫でる。
「ん・・・。」
「「じー。」」
アウラとスィーナもして欲しそうに見ている。
「ほらアウラとスィーナも。助かったよ。」
「はい・・・。」
「いえ・・・。」
撫で終わると二人を戻し鉱山の方へ向かって歩く。
道中何も襲ってこなく村に着いた。
「見ない顔だな。もしかしてギルドの者か?。」
と門番をしている男性に声をかけられた。
「ああ。ワイバーンを討伐しに来た。居場所は分かるか?。」
ギルドカードを見せて言うと、
「分かった。隊長の場所に案内する。ついて来てくれ。」
村の中の大きな建物に案内され、
「隊長!!。ギルドの方がいらっしゃいました。」
「おう。来たか。」
ヒゲを生やしたダンディーな男性がこちらを向く。
「自己紹介だな。俺はドン・バガガン。この鉱山を仕切っている隊長よ。」
「俺はゼラ。こっちはシス。共にCランクだ。」
と言ってギルドカードを見せる。
「ほう。若いのに凄いな。」
「でだ。早速だけど居場所は分かるか?。」
「ここから更に東に進んだ場所に巣があった。数は4。今後増える可能性があるので依頼をした。」
「殲滅でいいか?。」
「構わん。やり方は任せるが鉱山が崩れるのだけはやめてくれ。」
「分かった。早速行ってくる。」
「おう。話が早くて助かるよ。気をつけろよ。」
外に行き言われたとおり東に向かう。
山を超えた先にワイバーンが飛んでいるのが見えその先に巣が見えた。
「あれだな。」
「どうする?。」
「簡単。いつも通り俺が止めて、「私が止め。」そうだ。じゃ行こうか。」
巣に近づくとワイバーンが3匹だけ。
卵は全部で4つあった。
「うし。じゃ始めるぞ。」
速攻でスリープを唱え一匹を眠らせ一匹をパララサスで動きを止め最後の一匹をシスが首を刎ねた。
その後は麻痺っているワイバーンの首を刎ねて、眠っているワイバーンも止めを刺す。
死骸はアイテムボックスの袋に全部入れ卵も入れる。
それから暫く待っていると一匹も帰ってきたので飛ばれない様に麻痺状態にしシスが首を刎ねる。
わずか一時間ちょっとでワイバーンの討伐を終える。
「さて村に帰って報告して帰るか。」
「・・・。何か大きなの来てる?。」
「ん?。来てるってかあれレッドドラゴンじゃん。おほ。いい金策になりそう。」
「やるの?。」
「ああ。アウラ。スィーナ。」
二人も呼び出す。
「出番ですね。」
「やる気はありますよ。」
「すまんな何回も呼び出したり戻したり。」
「気にしないでください。」
「そうです。僕達は既に主の物。主の喜びこそ僕達の幸せですから。」
「じゃちゃっちゃと倒してしまいましょうか。強さ的には俺の支援無しでも大丈夫そうだけど時間が惜しいからね。」
飛んでいるレッドドラゴンはこちらに気付いたのか向かってくる。
神眼には
種族:レッドドラゴン
レベル:80
筋力:9000
俊敏:8000
耐久:10000
魔力:7500
幸運:7000
スキル:ブレス9・飛行10・不屈の闘志7・逆鱗10
「オールブースト、エンチャントフリーズ、リミットガード、リザレクション。」
全員に支援をし終えた後、
「パララサス。」
ドラゴンは全身が動かなくなりそのままゼラ達がいる方へ落ちてくる。
ドーンっという音と共に、
「ハイドロバスター。」
「ストームバスター。」
アウラとスィーナはそれぞれドラゴンの羽に攻撃し飛べないようにする。
「ぐぉ・・・ガァアアアアアアアアア!!。」
咆哮をしブレスを吐こうとする。
「がぁ・・・Zzz・・・。」
がゼラは直ぐにスリープをかけ眠り状態になり、
「ふん!!。」
シスが思いっきり斬り上げる。
するとドラゴンの首が吹き飛び地面に落ちる。
「よーし。討伐完了だな。」
「う~ん。あまり強くなかったですね。」
「そらレベル80で耐久も10000だからね。とりあえず入るかな?。」
ゼラが普段倒していたレイドボスや天界の都のモンスターは耐久が20000オーバーに特殊耐性や回復スキルを持っている奴ばかりで一撃で部位を破壊したり大ダメージを与えそのまま葬るのは不可能だった為にレッドドラゴンが脆く感じている。
ゼラは袋に入れてみようとすると入ってしまった。
まるで飲み込むように。
「まじで凄いなこの袋。まだ容量半分あるぞ。」
「ではまた後ほどお呼びください。」
「次は帰りですね。」
と二人は消える。
「うん。よく分かってるじゃないか。」
「帰ろ?。」
「そうだな。」
村の方へ帰る。
道中は物静かで何事もなく村に到着。
村に着くと何やら慌てた門番が出迎えてくれた。
「あ!!。よかった・・・。無事だったんだな。」
「何かあったのか?。」
「ええ。レッドドラゴンがこの鉱山の方へ降りたので心配したのです。一応ギルドに応援を依頼しガンガオさんが来ることに。」
「え~。すまない。レッドドラゴンならついでに狩っちゃった。」
「はい?。」
その後隊長が居た建物の前にレッドドラゴンの死体を出して見ると辺りの人達は呆然とし隊長のドンもポカーンっとしていたが、
「本当に狩っちまってたんだな・・・。お前さんCランクじゃなかったか?。」
「Cだよ。今日試験合格したばかりの。」
「ふむ・・・。このレッドドラゴン。普通ならAランクが束になって倒すレベルなんだ。それを倒したって事はお前さん実力的にSランクって事になんだが・・・。」
「まぁそうなるな。まぁ依頼達成回数が全然足りてないから上がれないけどな。」
「ふむ・・・。」
と話をしていると、
「失礼する。」
とガンガオにキャリーとナサリーも来ていた。
「これはどうゆう事?。レッドドラゴンがもう倒されてるんだけど?。」
ナサリーが状況を詳しく教えるようにと言う。
「見たまんま。俺達がワイバーン討伐のついでに狩った。」
「へー。うん。酷いね。羽を攻撃して飛べなくして首を落としてる。たった二人でなんてね。」
「一体どうしたらこんな事出来るんだ?。」
関心しているキャリーと疑問に感じるガンガオ。
「俺があの男達にやった事と一緒。麻痺させて羽をシスが攻撃眠らして首をシスに落としてもらった。」
とさらりと嘘をつく。
「・・・。お前やっぱりやばいわ。」
「理解できているじゃん。っま俺自身敵は作る気はないが襲って来るなら別。」
「ああ。それは理解した。このドラゴンもお前を襲ったんだろ?。」
「まぁ襲ってこなくてもこいつは狩ったかな。お金欲しかったし。」
「そうか・・・。」
「とりあえず全部買取ってなったらどのぐらい?。」
「ナサリー。後は頼むわ。」
ナサリーが目利きが終わり近付いてくる
「はい。ではまずレッドドラゴンの討伐報酬が金貨500。素材全買取で更に金貨1000の計金貨1500になりますね。」
「ふむ・・・。じゃ肉少し分けてくれないか?。」
「それぐらいでしたら値段も引かずに構いませんよ。なんせこんだけの大きさです。しかも鱗もかなり固く牙もかなりの上物。肉ぐらいいくらでも持って行ってもらっても構いませんよ。」
「じゃ解体後分けてくれ。」
「はい。今後も活躍を期待しますね。ゼラさんとシスさん。」
ナサリーはとても嬉しそうにドラゴンの方へ戻っていく。
「いやー。しかしなんだ。お前をCに止めておくのは勿体無いな。」
と頭をかきながら近付いてくるガンガオ。
「仕方ないだろ。とりあえず後何回かCランクの依頼受けたらにBを受けるよ。」
「正直お前らSランクでも十分な強さなんだがな。」
「気にするな。一月経たないうちにSにはなるさ。」
「まぁお前ならなれるさ。慢心はないし油断もしないみたいだからな。」
「慢心はしないが油断はするぞ。」
「っはっは。面白いな。とりあえず帰るがどうだ?。乗っていくか?。」
と後ろに馬車が見える。
ガレナスは乗り込んだ。
「そうだな。せっかくだから乗って帰るか。シスもそれでいいか?。」
「ん。でも・・・。」
「大丈夫。今伝えておいたから。」
「わかった。」
ゼラとシスも馬車に乗り込む。
中はシスとゼラに正面にガンガオだけでいっぱいになった。
「しかしいいのか?。キャリーさんやナサリーさんが乗れないぞ?。」
「あいつらは前で運転する。荷物もナサリーがアイテムボックスを持ってるから問題ない。」
「ならありがたく同行させて貰うわ。」
それから暫くして、
「3人共。準備はいい?。」
キャリーさんの声が聞こえた。
「いいぞ。出してくれ。」
とガンガオが言うと馬車は動き出す。
「てかここに来るまで5時間かかる上情報の伝達ってどうなってんの?。」
「ああ。それは普通の馬の話な。この馬車が引いている馬はナサリーの使い魔で普通の馬の5倍以上の速さで走るんだよ。それでいて持久力も凄ましく3時間ぐらいなら全力疾走出来るんだ。あとこの馬車もマジックアイテムで乗っているモノと馬車の重さは0になる代物。だから馬に負担をかけることなく走れる。自情報は緊急時にこの村にはマジックアイテムで作られた警報が置かれていて押すとギルドの方に情報が瞬時に伝わるんだ。」
「いいアイテムだなぁ~。ふぁ・・・。」
欠伸をするゼラ。
「マスター。眠い?。」
「まぁ少し。」
「いいよ。」
と膝をぽんぽんとするシス。
「ありがたく。」
「ん。」
と膝枕をしてもらう。
シスの鎧はできる限り動きを干渉しないように作ってある為太ももと二の腕は露出している。
ゼラは太ももに頭を乗せると柔らかさと安心感で直ぐに寝てしまう。
「なぁ。嬢ちゃんはそいつの従者なんだよな?。」
「ん。」
「もしの話だがそいつが殺されたらどうする。」
「その時は関係者やその者に繋がりがあるもの全部壊す。大切なマスターを殺されたら誰だってそう思う。そうでしょ?。」
「そうだな。悪かった。」
ガンガオは背筋が凍った。
シスの殺気とその憎しみに沈んだ顔に。
「気にしてない。私はマスターに害なす者以外殺さない。貴方はいい人な気がする。」
殺気が収まり顔も無表情に戻る。
「気がするだけか。」
「まだ深く知らないから仕方ない。」
「だな。なるべるいい関係を築ける様にしようか。お互いの為にも。」
「ん。」
シスもゼラの頭を撫でながら目を閉じる。
「こうして見ると絵になるな。」
ガンガオの趣味は絵描き。
次に描くのを決めたようだ。