異世界で目覚める
「ん・・・。」
ゼラは起きる。
次第に意識ははっきりしてくる。
そして違和感を覚える。
「あれ?。ここどこ?。」
辺り一面には緑豊かな草原。
背に持たれているのはただの木。
さっきまで背中を預けていた巨大樹とは明らか小さすぎる。
「え?。マップは?。」
と言っても画面が現れない。
「え?。ログアウト。」
ログアウトも出来ない。
「・・・。ほう・・・。うん・・・。」
ゼラは何かを悟った様に諦め、木に登り辺りを更に見渡す。
「町とか村は近くになさそうだなぁ~。」
そのまま地面に着地し、
「よし探索しよう。怖いからシスも呼ぼう。」
そう言ってシスを召喚する。
魔法陣が現れ光りシスが跪いて現れる。
「っほ・・・。これは出来るんだ。これ出来なかったら俺詰んでたなうん。」
と安心しているところに、
「マスター。命令を。」
「ん!?。」
聞き覚えのない物静かで透き通るような声がシスから聞こえた。
「?。マスター?。」
「シス・・・。喋れたの?。」
ゼラは質問すると
「・・・。本当だ。」
シスは嬉しそうに笑った。
(おう・・・。今まで無表情だったのにこんな笑顔見せられたら惚れる・・・。かわいい・・・。抱きしめたい・・・。)
と思いつつ気持ちを押し付け。
「とりあえず。意思疎通が言葉で出来るようになった事を嬉しく思う。早速で悪いがいつも通り護衛頼めるか?。」
「うん。いいよ。」
「じゃ行こうか。」
ゼラはそう言って方向は分からないがとりあえず前に進むことにした。
シスは急ぎ足でゼラの少し前に出ていつもの戦闘体制に入る。
白銀色の鎧に蒼白く輝く大剣。
大剣はオリハルコンと月光鉱石の混合金でできており攻撃力を筋力の他に魔力で上昇させる陽月の大剣。
その為シスのひと振りは大抵の敵であれば倒せる。
(そうだ。今のうちにシスの能力見ておくか。)
そう言って神眼でシスをみる。
名前:シス
種族:ヴァルキリー
レベル:99
筋力:9800
俊敏:10000
耐久:9200
魔力:10000
幸運:10000
装備:陽月の大剣・白銀龍一式
スキル:聖剣術10・聖魔術10・不屈の闘志10・見切り10
ステータスの値は最低は1で最大が10000
(うん。大丈夫だな。)
ゼラは前のステータスと変わりないことに安堵する。
(そういやアウラとスィーナはどうなんだろ?。)
と思い。
「シス。暫く周囲を警戒しといてくれ。」
「ん。」
シスは立ち止まり警戒し始める。
ゼラはアウラとスィーナを呼んでみると魔法陣が目の前に2つ現れシスと同じように跪いて現れる。
「お呼びでしょうか。主よ。」
「なんなりと命令を。」
アウラはおっとりとした口調でスィーナは少年の様な声をしている。
「ってアウラ!!。僕たち喋れるよ!!。」
「あら~!!。これで主ともお話も可能ですね!!。」
と二人ともかなり興奮し二人で喜びを分かち合うかのように抱きついて跳ねている。
その間に神眼で能力を確認する。
名前:アウラ
種族:ウィンディーネ
レベル:97
筋力:5020
俊敏:9000
耐久:10000
魔力:10000
幸運:9000
装備:水龍神の杖・精霊女王の服
スキル:海魔術10・自己再生10・不屈の闘志10・魔眼10
名前:スィーナ
種族:シルフィード
レベル:97
筋力:7540
俊敏:10000
耐久:8200
魔力:10000
幸運:9300
装備:暴風神の杖・精霊女王の服
スキル・嵐魔術10・自己再生10・不屈の闘志10・魔眼10
(異常無し。う~ん。そんなに俺とお喋りできるのが嬉しいのか。可愛いな~。)
「「っは!?。」」
とゼラの視線に気が付き直ぐに跪く。
「「失礼いたしました。」」
「気にしてないから面を上げて立って。」
「「っは。」」
立ち上がりアウラは前で手を組みスィーナは後ろで手を組む。
「異常はなさそうだね。じゃ君達にも護衛頼めるかな?。」
「「はい。ご命令のままに。」」
そう言ってゼラの斜め後ろに向かう。
「アウラ。スィーナ。」
その途中シスが二人に声をかける。
「あ。シス様。」
「シス様も喋れるように。」
「うん。後でゆっくり話そ?。」
「そうですね。」
「命令後ゆっくりと。」
そう言って二人も戦闘体制に入る。
「じゃ行くか。」
そのまま前に向かって歩く。
暫く歩いていると、
「ん?。」
「敵。数12。来る。」
ゼラとシスが敵を見つけシスは直ぐに情報を出す。
出てきたの頭に角がついた兎。
ゼラは調べるとラビットホーンとでてステータスも900以下が多く俊敏だけ1000以上で高くて1300という貧弱さ。
「あ~。本気ださ「はぁ!!。」あ・・・。」
シスが思いっきりなぎ払い兎達は一瞬で肉の欠片も残らない酷い事になった。
「うん?。弱い?。」
「シス様容赦ありませんね。」
「まぁシス様なので。」
「仕方ないか。今まで手加減って教えた事ないし。」
「う~・・・。無いよ・・・。」
シスはいつも通りアイテムを採取しようとするが無くて涙目になっている。
(やっぱりか。ゲームと違って高威力で敵を倒したら消えるんだな。)
ドロップ品が消えるという事態に陥ったがこれからは手加減を覚える事になり道中会う兎を原型を保ったまま角を残し脳だけをぶち抜くという訳の分からない手加減の仕方になった。
そしてかれこれ一時間歩いた。
道中兎を狩りどうしよう持っていくかか最初は悩んだが腰の袋がアイテムを大量に収納できる事を知り詰めていく。
神眼であとどれぐらい収納できるか見えるので問題はない。
そしてようやく道らしき物が見えた。
今度はそれに沿って左側に歩いていく。
道中は特に何事もなく遂に門が見えた。
「とりあえずアウラとスィーナは一旦戻ってくれるか?。」
「「はい。」」
と一言だけ言い消える。
「私は?。」
「シスはそのまま付いて来て。」
「ん。」
そして街らしき大きさの門の近くまで来ると、
「すいませんが通行証の提示を。」
門番に止められ提示をしてくれと頼まれる。
シスは警戒こそしているが攻撃を仕掛けようとはしなかった。
どうやら敵ではないと認識しているらしい。
「すいません。私たちは遠方の旅の者でして通行証どころか身分証明できる物がないんですよ。」
「あ~。では通行料に銀貨1枚になりますが・・・。」
「すいません。ですがこれを売ればなんとかなりませんか?。」
そう言ってアイテム袋から兎の死体を10匹取り出す。
神眼で売値は確認済みで一匹大体10銅貨前後。
銀貨は100銅貨なので10匹渡し売れば払える。
「なるほど。では10銅貨で買い取らせていいただきます。よろしいですか?。」
「はい。」
「ではこちらに触れてください。」
そう言って門番に水晶を触ってくれと言われるのでシスも触らせる。
神眼で見たところ犯罪鑑定の水晶で人を殺めたり物を盗んだりしたら赤く光る物らしい。
その後何事もなく門番はゼラとシスを通す。
「ようこそアルトバへ。歓迎します。」
(よかった。いい門番さんで。)
とほっとしアルトバの中へ。