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落ちこぼれの私

 私は浜野鮎。性別は女、年齢は16歳の至って何処にでもいる女子高校生だ。

 そんな私が通っている奈落高校は名に恥じないほどの底辺のなかの底辺で落ちこぼればかりが集まる。

 こんなこと言うのもあれだが底辺には底辺らしい振る舞いがあるみたいで、今も国語の授業中なのに彼等はガヤガヤと騒いでいる。しかし教師はそれを注意することもなく黙々と黒板に文字を書き連ねていく。

 どうやら底辺なのは生徒だけではないみたいだ。

 「馬鹿ばっかり.... 」

 とっくに板書が終わった私は外をボンヤリと見ながら教師が次の文字を書くのを待っていた。

 退屈な時間を繰り返すこと数十分、授業終了のチャイムが鳴ると教師は号令もかけずに教科書を手に抱えて足早に出ていく。

 これも何時もの事だ。生徒の騒ぎ声に初まり生徒の騒ぎ声で終わる。号令も挨拶もあったもんじゃない。

 やはりここに入学したのは間違いだった。しかしそんなことを嘆いても時間が巻き戻る分けではない。私も高校生だ、そんな事とっくに知っている。それでもあの頃に戻りたいと思うのは私がまだ未練を捨てきれていないからだろう。

 本来私はここを受ける予定はなかった。むしろ真逆の超エリートが集まる高校を受験する予定だったのだ。

 勿論そんなところに簡単に受かる訳がない。だから私は毎日勉強した。来る日も来る日も勉強。部活だってしなかったし友達と何処か遠くに遊びに行くこともしなかった。その為私の周りには誰もいない。友達も彼氏も

 ただそんな私にも応援してくれる両親がいた。両親は毎日エールの言葉をかけ、一時期勉強が嫌になった時も立ち直らせてくれた。

 今でも忘れはしないあの応援....

『私達の血を受け継いでいるのならこんなところ楽勝に決まっている」

 『いい鮎、友達なんて作っちゃ駄目よ。友達を作るくらいなら勉強しなさい。貴方はどの子より優秀なんだから。 決してあんな落ちこぼれになったら駄目よ!』

 『『なんたって私達の優秀な血を受け継いでいるから(な)』』

 「はい.... 分かりました。父さん、母さん」


 私の父は裁判官、母は凄腕の医者だ。そんなエリートの血を受け継いでいるから受かるのも当たり前だと私も思っていた。実際勉強はよくできた方だ。毎回成績もトップだった。

 だからあんな試験楽勝だった筈だ。きっと問題を解いてたら間違いなく一位に決まっている。

 .... そう私は問題を解けなかったのだ。もっと細かく言うと受験当日私は長年の勉強の無理がたたり寝込んでしまい、受験ができなかった。

 回復した日の夜、私は父と母に謝罪しに行った。

 「ごめんなさい父さん、母さん.... 二人の期待を裏切ってしまいました! 」

 私は誠心誠意謝った。しかし父と母は別に気にしていなかったみたいで母はテレビを見たまま、父は新聞を読んだままこちらに顔を向けずに


 『別に気にしていない。そもそもお前に期待など端からしていないからな』

 『ええ、父さんの言う通りよ.... そうだ! 貴方今度ここ受験しなさい。貴方にぴったりだから』

 そう言って母は私に奈落高校の受験案内を渡した。

 「え.... 待って母さん! ここって成績が低い人が行くところだよ。私そんなとこ行きたくない!」

 しかし父は私の反対に耳をかすこともなく、新聞紙から顔をあげずに言う。

 『何を言っている? お前にぴったりだろ。落ちこぼれのお前にな。そう思わないか母さん?』

 『ええ、ええ! そうですとも。落ちた貴方にぴったりよ』


 私は一日でエリートになる筈だったところから一気に奈落のどん底に落ちてしまった。そして何よりも辛かったのは....

「名前で呼んでよ....  父さん、母さん」

 私は最後まで反対したが結局ここに入学してしまった。

 そして私は親が来ない入学式を向かえ晴れて落ちこぼれの生徒となったのだ。


 どん底に通い続ける度にすり減る私の心。毎日死にたいと思い、気づけば自分の腕にカッターナイフを当てていた。


 そんな自殺志願者の私に救いの手を差し伸べたのは親でも友達でも親戚でもなく 一匹の三毛猫だった。

  

 

 

 

 

 

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