第一章 第二話 発見!!
白神は眠い目を擦りながら登校していた。
周りにも白神と同じ制服の生徒がポツポツといた。
白神は男子生徒達の熱い愛の視線をチクチクと受け、
「はぁ、またか」
とうつむきがちに歩いていた。
彼女はまるで人形の様に可愛かった。
顔が小さく目がぱっちりと大きく、子犬の様な瞳をしていた。
さらに、彼女の薄い唇は桜色でゼリーの様にプルプルとしていて、髪も肌は陶器の様に白くすべすべしていた。
視線を下に移すとスタイルも抜群ですらりと綺麗な足をしていた。
また、ミディアムロングの彼女の黄金色の髪も絹の様に滑らかで太陽の光をいっぱいに受けて風に揺れる金色畑の様に輝いていた。
男子生徒はそんな彼女に恋(憧れなのかもしれない)をしていた。
なので、白神は昼休みや放課後に呼び出されて告白されるのが日常になっており、それが今彼女を苦しめている要因の1つでもあった。
白神は教室に行く階段の壁のこじんまりとした所に、「冒険部募集中!最近刺激が無いな。なんか部活や勉強にやる気が出ないなという方は是非B館の三階の化学室へ‼︎やる気の出し方教えます♪」と怪しい匂いがぷんぷん漂う貼り紙を見つけた。
「何これ?変な募集の紙ね。でも、行ってみようかな」
白神は立ち止まって拳を桜色の唇に当てて、
「うーん。まぁ、今考えてもしょうがないか」
白神は教室のドアを開けた瞬間、牧野陶子が白神の胸に飛び込んできた。
牧野の絹の様な黒髪が白神の肩に少しかかる。
「さくちゃんなんか嬉しい事があったでしょ?」
白神はびっくりして、
「どうして分かったの?陶子ちゃん」
牧野はぱっと顔を上げる。
「だってうちら友達じゃん!それで、なんかあった?」
「なんかね、冒険部っていう部活があってね、私それに入ろうかなって思うの」
牧野はそれを聞いて目を見開いた。
「さくちゃん、辞めときなよ。そんな胡散臭い部活。たしかそれって森下君が入っている部活じゃん。」
「森下ってあのいつも化学、数学、物理が学年一位の理科オタクの森下君?」
「そうそう!その森下君!森下君に放課後冒険部について聞いてみたら?」
白神は少しふくれっ面をして
「えー、森下君なんか取っ付きづらいっていうか近付きづらいもん。聞きにくいよ」
牧野はふーむと少し考え込んで、
「そうだよね」
「うん。だから放課後に直接部室に行く事にする」
牧野はこめかみに人差し指を当ててしばらく考える。
「そうだね。それが良いよ。」
放課後になり、白神はミディアムロングの髪をふわふわと揺らしながらB館の化学室に向かった。
白神は少し緊張していた。
白神は、自分の心臓の鼓動がドクドクと鳴っているのが分かった。
階段をコツコツと上がった。
白神は緊張しながらもウキウキして自然と顔の筋肉が緩んでしまう。
そして、三階まで上がり、化学室の前の扉まで来た。白神は大きく息を吸ってゆっくりと吐いた。
「よしっ!行くぞ!」
白神は両手で自分の頬をパンパンと叩いて気合を入れる。。そして、右足をゆっくりと踏み出し、扉に手をかけた。