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街の様子


翌日、満子の元に家の荷物が届けられた。

位牌と遺影、ちゃぶ台と座布団、箸や食器くらいしか頼んでなかったが

半年毎に街へおり買いだめし頼んで運んで貰っていた食料とカセットコンロや鍋など・・・良く解らないので適当に持ってきたようだ


部屋が広すぎて落ち着かなかった満子は、広い部屋の角にちゃぶ台を中心に四畳半程度のパーソナルスペースを作って緑茶をすすっていた


------


各種族の夜間調査は続けられた

満子の小屋に貼ってあった「特大北海道」地図により情報の整理が加速度的に高まった。地図と偵察の報告を合わせると地下迷宮都市は、この小さな大陸の中央部分に位置しており、中央の平野を挟み東西の山脈が地下迷宮都市の東西端となっており、南北の海岸が地下迷宮都市の南北端である

各自の情報は地図を拡大模写した紙に様々な情報を独自に書き込まれていった


街に直接偵察には行ってないので、リリス族によりテイムされた黒鳥からの情報が入ってきているが、その様子は言葉では伝えるのが難しいと感じたセシリアは、コニーの視界を水晶へ映し皆に観てもらおうと各族長達を集めた


「本日は、皆に昼間のこの世界、特に近寄っていない街の様子を観て頂こうと集まって貰いました」


セシリアは直径2mの巨大な水晶に額を付けコニーの視覚を水晶に映し出す


まず映し出されたのが、麓に広がる農村地帯、夜間には農作業を見る事が出来なかったが、農民はゴーレムを使い広い農地で作業を行っている。驚くことにカバラ皇国の100名程度の集落と同じ広さの農地を四、五人の家族だけで耕している

食用と思われる家畜も100頭以上飼育しているようで、上空からでは解らないが他のテイマーからの報告ではこの家畜の乳を人間が飲んでいるとの報告があがっている


街道沿いに農村地帯を抜けると、小さな集落が点々と続きその先に大きな街が現れた、城壁はなく街への出入りは自由だが中にいくつも10m級の石の砦があり攻略の際には注意が必要となるであろう事は族長達の表情に現れていた

そしてなによりも驚いたのが、馬車ゴーレムの数である、夜間の偵察で相当数の馬車ゴーレムがある事は予想されていたが、碁盤の目のように張り巡らされた街道を全て埋め尽くす程の数の馬車ゴーレムがあり数える事すら不可能であった


「家畜の乳を飲むのはキモいにゃ~」


「皆解っておると思りゅが、馬車ゴーレムは、戦でも使われると思われりゅ対策を講じねばならりゅ」


「ゴーレム技術の進んだ豊かな国ぜよ、こんな街ドワーフ族総出で作っても1000年かかるぜよ」


「街の調査に関しては、街近くに出入口が出来てから考えましょう、今は人里離れた森と山麓で野草やキノコ、動物や昆虫などの調査と農村の調査を皆で協力して行うこととします」



------


族長会議を終えたセシリアは満子の部屋に向かう

「セシリアちゃんおぬしらは、いつもあの大きな餅を一日一枚しか食べんのかね?」

「以前は違ったのですが、今は全臣民に一日一枚【フフ】を配ることしか出来ないんです」


「大変なんじゃの、他の調理法はしないんかね?」


「はい、雑穀からは【フフ】を焼いて食べるだけです、でも色んな穀物を混ぜているので栄養満点なんですよ」


「同じものばかりじゃ飽きるじゃろ、贅沢せんでも手間を掛ければ食事は楽しくなるもんじゃ、わしがうどんを教えてやるから、雑穀を少し多めに貰って来てくれんか?」


セシリアは外にいる護衛へメモを渡し食料大臣の元へ行くよう指示する


満子は、小屋から持って来た石臼と蕎麦打ち棒と板や振るいを用意していると、食料大臣が雑穀の入った麻袋を持ってやってきた


「じゃうどん作りを始めるから見ておるんじゃよ」


雑穀を入れ石臼を廻し出て来た粉と殻を振るいにかけ分離すると殻をもう一度入れ石臼を廻す、これを何度も繰り返す


「もったいないから全部粉にするんじゃ」


カバラ皇国でも同じように粉にするが殻は捨てていたので食料大臣は何やら頷いていた

ちなみに【フフ】はこの状態に水を加えコネて焼くと出来上がる


満子は粉に水を入れある程度コネるとコンピニの袋にその塊を入れ足で踏み始める

最後に塊を棒で引き伸ばし折り畳んで包丁で均等に切って行く

カセットコンロでうどんを湯で水で絞めたあと、【徳用濃縮そばつゆ】をぶっかける


「出来たぞ、食べてみなさい」


セシリアと食料大臣はうどんを食べてみる

「!?美味しいわ・・・」

「陛下、これは・・・フフの香りはしますが初めての食感で大変美味しいです」

「麺にして配給しスープに関して各自好みで作れば臣民も喜びましょう」

「大臣、早速研究し臣民に広めて下さい」

「承知いたしました」


こうしてカバラ皇国に麺文化が始まるのであった




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