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老婆



ケライノ=ハルピュイアは、鹿の暴走に巻き込まれてしまった人間の老婆に、治癒魔法を施し地下迷宮へ連れて来てしまった事をセシリアに報告した


「陛下、申し訳ございませんですわ。放っておく事が出来ませんですわ。」


「状況的に致し方無いと思います。老婆に関しては、治療を続けて気が付いたら、ここで生活して貰うしかありませんね。」


-------


満子は硬いベットの上で意識を取り戻すと周りには先ほど、自分を天へ召し上げてくれた天使4人が心地良い光を自分に当てていた


起き上がると天使達は、笑顔で何か言っているが全然解らない・・・


「ここは天国かの?あと私は仏教徒なんだけど間違っておらんかの?」


天使達も何やら喋っているが、まったく通じていない


暫くすると、背が高く耳が尖っている金髪の男と、鳥のような帽子を被った少女が入ってきた


金髪の男が頭を下げて、何かを言っているが何だろうか?


帽子を被った少女が額を合わせると謝罪と安心して欲しい、体調を心配していると言う念のような物が頭に入って来た


驚いた満子だが、その表情を見て帽子を被った少女が満足げな笑顔をみせ、また額を合わせると、休んで下さい、また来ますと念が送られてきた



-------


テイマーは、言葉の通じない動物や魔物に対し自身の意思を伝え信頼関係を築き、従属させて行く能力を持っている。


意思と言っても共通の定義しか伝える事が出来ない為、魔物には単純な攻撃や退避、進め止まれは通じるが、善・悪や愛・憎などは通じなかったりする場合もある


ヨエル=エルフが鹿を暴走させた為、瀕死の重傷を負わせケライノ=ハルピュイアが治癒し連れてきた老婆にセシリアは、謝罪と安全の保証及び体調を心配している事が、通じた事に安堵した


この世界ケデシュの人達も共通の感情は、問題無く伝わるようだ。


老婆には申し訳ないが当面ここに居て貰う必要があるので、現地の言葉やこの世界の事など教えて頂く為にどうしたら良いか考えた末


ゆっくり自分自身でこの老婆と向き合い、心を開いて貰うよう努力して行こうと決意した



-------


しばらくすると満子は、豪華なベットのある大きな部屋に移された


死んだと思ったが、どうやら死んでないらしい、鹿に襲われたあと、天使のような人に助けられ時間がくればお腹は空くし、食事は一日一回だされる


いつでも飲めるお茶のような飲み物があり美味しく頂いて、時間が経てば眠くなる、自分が死んで唯一心配だった飼い猫のベルまでここに連れて来てくれた


満子はこの状況が理解出来ていない


「あの世」でも「夢」でもないとしたら、ここは何処なのだろう


背中に羽の生えた天使と帽子だと思っていたら髪の毛が小鳥の産毛の少女、金髪で耳が尖った美青年に、クレオパトラでも住んでいるような部屋とそれに釣り合わない質素な食事、命を助けて貰ったので不満はないが、部屋から出る事だけは許されていない


しかし満子は深く考えていなかった、昨日まで人里離れた小さな小屋で残り短い人生の終わりをゆっくり待っていただけだったので、ここが何処であろうが違いはない


産毛の少女が毎日来て、日本語を覚えようとしている


不思議な事に少女の考えは、直接「気持ちに」伝わるので、身振り手振りも合わせて意思の疎通を行っていくと、少女はどんどん日本語を覚えていったので、先生にでもなった気分で嬉しかった


一週間程度で、物覚えの早い少女と片言で会話が可能になってきたので、満子は飼い猫のベルを抱いて聞いてみた


「ところでセシリアちゃん、ここは何処なんじゃ?」


「満子さんの家のした」


「した?地下かい?、セシリアちゃん達は何処から来たんじゃ?」


「カバラ皇国って、遠いとこ」


「満子さん、戻してあげれない、ごめんなさい」


「それはいいんじゃが、家の荷物を少し持って来てくれんかね?」


「今夜に取りに行かせる」


「じゃな、位牌と遺影・・・」


「イハイ?」


「それはな・・・・」


と身振り手振りや絵を書いたりして、家から持って来て欲しい物を伝えた


そもそも天使に抱きかかえられ、天に昇った所までは覚えてたのに、それが何で地下にいるのか?


この子達が何者で何処から来たのかは理解出来なかった、


もう少し日本語を覚えた頃に、ちゃんと聞いてみようと満子は思った





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