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全種族調査


「今日から全種族による地上の調査を始めるとするわ」


「当面は、夜間のみとしますが、各種族の特性に合わせた調査をお願いします」


「リリス族は、森と山でテイム可能な動物をテイムすることとします」


「ウンディーネ族は川へ入り、川からの調査をお願い」


「セシリア陛下、ウンディーネ族は水中であれば人間に見つかることはあませんわ」


「危険がなければそのまま川に入っていてよろしいですか?」


「サンドラ=ウンディーネ、それで構わないがスプライト族と合流地点を決めて毎日報告して貰えるか?」


「承知ですわ」


「ハルピュイア族は、空から調査をお願いしますが、当面は森の上からだけにしてください」


「かしこまりザンス、でも雲が多い時は雲の中に隠れて遠くへ行ってもいいザンスか?」


「ケライノ=ハルピュイア、貴方の名の通りの真っ黒な雲なら構わないわ」


「ザンス、ザンス」


「ドワーフ族は、洞窟と鉱物資源の調査をお願い、この地に新たな洞窟拠点の目星を付けてもよろしいわよ」


「感謝するぜよ」


「エルフ族、ライカンスロープ族はその健脚を生かして遠くの山々や森まで調査の範囲を広げて下さい」


「解った」「承知したウォー」


「ラミア族、ゴブリン族、スプライト族は、今まで通りで」


「ミノタウロス族、ケンタウロス族、ドラコニュート族は、調査と言うより外の世界の空気に触れて慣れて欲しいので、兵士を順番に出して森の周辺を警戒してください」


「ワシらの出番はまだと言うことウッシな」


「戦の時には頼りにしております」


「それより陛下、肝心の平地や街の調査がおろそかになっておるウマー」


「アッサール=ケンタウロス、街に関してはリリス族がテイムした黒鳥で行う予定ですので大丈夫ですよ」


「なるほど、あの黒鳥は朝になると街へ行き夜森に戻っていると報告があったので怪しまれることなく調査出来るってことだウマー」


「初めて地上に出る人は、十分に警戒しつつ楽しんで来てください、それでは各自出発!」


ウッシ、ウマー、りゅりゅ、ウォ、ジャ、アル、にゃ!!!!



------


王宮執務室


「コニー!黒鳥をテイムして安全が確保されたらお前も外に出て貰うからね」

「キューキュー」と激しく頷く


「サロモン、例の文字の解析は出来ましたか?」


「陛下申し訳ございません。まだ、解っておりませんが、街道の看板に同じ文字がありますのでいずれ解明してみます」


「街道の看板も全て調査する必要がありますわね・・・」


「ゴブリン族には看板を書き写して来るように指示は出しております」


「サロモンさすがですね」


「陛下、もったいないお言葉です」


・・・


初回と言うこともあり各種族共に無理することなく地上の調査を終え、各自反省と成果を話し合い、翌日調査に向けての準備を行うことにした


リリス族は黒鳥のテイムに成功した者が複数人おり翌日は早速街の調査を行うこととなった



-------


宮脇研究室


宮脇は檻の中に落ちていた梟の羽毛をまじまじと見てみる


「羽軸があり得ないほど、片側に偏っているな、進化の方向性としては正しいのだが、こんな羽毛見たことないぞ・・・」


今度は、羽毛の毛根部分の細胞を薄く切り取り顕微鏡をのぞき込む


「細胞は普通か・・・・いや・・・これは・・・他も見てみよう・・・」


数か所の毛根部分を薄切りにして次々と顕微鏡をのぞき込む


「ありえない・・・・」

「ミトコンドリアが見当たらないぞ・・・・・」

「あの梟はいったい・・・・・・・・・・・・・」



------


山小屋 満子の家



地上調査二日目、ヨエル=エルフは迷宮出入口へ戻る途中、鹿の群れを見つけた。


地下迷宮生活であまり肉を食べる事がなかったので、二、三頭鹿を狩ってお土産にする事にした。


ヨエルの思惑察した上空のハルピュイア族達も、弓を引くゼスチャーをしておこぼれをねだるようにはしゃいていた


無防備な鹿を一弓で仕留め、一斉に逃げ出した他の鹿二頭も瞬く間に仕留めた。


他の鹿たちは狂ったように駆けて行ったが三頭仕留めたヨエルは気にすることはなかった



夜が明けあたりがうっすらと明るくなり始めると満子は、川から小屋の外まで引いてきた水場の冷たい水で顔を洗っていた。


ドドドドドドドドーードドド


森の茂みから五、六頭の鹿が顔を洗っている満子に向かって走ってきたが、一歩も動くことが出来ない満子の脇腹に鹿の角が突き刺さる


その場に倒れる満子だが、鹿は何事もなかったように駆けて行った


不思議と痛みを感じない満子であったが、大量の出血により意識が薄れていく中で70年前に亡くなった夫の顔を思い出しながら、人生を振り返り自らの死を受け入れていた


暖かな光を感じ一瞬意識を取り戻すと、羽の生えた天使に抱きかかえられ、天に昇って行く自身の体を認識する事が出来た


仏教徒なのに三途の川じゃなく、天使様が迎えに来るなんて不思議なもんだね~、と思いながらついにその意識は消えていった



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