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弔いの炎


札幌郊外から進軍を始めた各部隊は、セシリアの事前調査に基づき主要幹線道路と警察署や官公庁の建物を占拠し札幌駅付近で合流した。


合流した各方面部隊とセシリア達は占拠した北海道大学敷地を駐屯地とし陣を張ることにした。


セシリアは族長達と今後の方針を話し合っていた


「皆さま、ご苦労様でした。皆様のおかげでこの街の制圧する事が出来ました。これから自衛隊の反撃があると思いますが・・・」


セシリアは兵士への労いの言葉と共に今後の方針を説明した。


・負傷した兵士達は地下迷宮都市へ移送する


・札幌市民への暴力・略奪の禁止を徹底させ、負傷した市民の治療も積極的に行う


・捕虜とした自衛官は駅近くの建物に収容し監視を付ける


・敵味方関係無く兵士の亡骸は焼却し弔う


・一般市民は市外への移動制限と自動車の利用、武器の所持は禁止とするがそれ以外は自由とする



「族長の皆様よろしいでしょうか?」


「「「異論なし」」」


「それでは自衛隊からの反撃を警戒しながら早速負傷者の移送と兵士の亡骸を集めに取り掛かって下さい」


-------


真駒内駐屯地には自衛官約3千人、カバラ皇国軍約千人の兵士の亡骸が山積みにされていた。


それをセシリアを筆頭にリリス族40人エルフ族30人ハルピュイア族20人で囲み祈るように膝を付き弔いの炎を放ち亡骸を焼却していた。



「「「「「勇敢な戦士達よに天に召され安らかに眠るがよい」」」」」



弔いの炎は30mの高さに達し夜の札幌をゆらゆらとした明かりで照らしていた。


フローラはボロボロと涙を流しながら魔法を放っていた。


「フローラ大丈夫ですか?」


「陛下、申し訳ございません。涙が止まらないのです・・・」


「謝る必要はありません。貴方の気持ちは亡くなった兵士達の安らぎになるでしょう」



フローラを慰めるセシリア自身もたまらないほどの無力感に支配されていった。もうどんなにあがいてみたところで平和な未来など来る事はもうないのかと・・・



-----


国家緊急事態対処会議


真駒内駐屯地を含めた札幌市内の自衛隊は全滅し札幌は完全に制圧されている。死傷者は3千人以上とされそのほとんどが自衛官や警察官であるが一般市民も少なからず犠牲となっている


札幌市内は一部を除き電気・ガス・水道はもちろん、電話やインターネットも通じており市民は比較的落ち着いている


「矢部総理が決断した結果がこれですよ。少々の犠牲とおっしゃってましたが、ほぼ全滅ですよ全滅」


国家公安委員長の渋谷が矢部総理を問い詰める


「過ぎた事を今更問い詰めてしょうがないではないか、それより国民への説明と今後の方針を決めようではないか」


「渋谷さん、申し訳ないと思っているが、今はこれからの方針を考える時だ、全てが終わったら責任は取るつもりだ」



犠牲者への哀悼の意を表し国民へはテロには屈しないメッセージを発信


札幌市民へは絶対に救出する事を表明し自衛隊は千歳駐屯地へ終結し毒ガスや生物兵器などへ十分な対策を取り待機させる


米軍に対しては直接的な行動は自粛して貰い、装備弾薬などの協力を依頼する


現地の外務省の田中を通しカバラ皇国との会談を秘密裏に行うなど珍しく建設的な内容で次々方針を決定した



「自衛隊は勝てるのか?」


「現在までの記録からは、火炎、落雷、水や気流の操作などの魔法と神経ガスと思われる攻撃が確認されてますが、戦車や装甲車などの装甲を貫く攻撃はないようです」


「毒ガスはどうするんだ?」


「今回使用された毒ガスはガスと言うより毒霧で、真駒内駐屯地の司令部でもエアコンのフィルターだけで室内の安全が確保されています。水溶性の毒物なので簡易的なゴーグルとマスクが十分な対策になります」


「それは安心した」


「では現在の札幌の映像を観て下さい」


市民やTV局が撮影した現在の札幌市内の様子が映し出される


敵が境界線と定めている地点は自動車が積み重ねられ数百の兵が警戒を行い


市内各所の交差点も十名程度の兵が駐留しビルやマンションの屋上にも兵士が配置されている


動いている自動車はないが、周辺を歩く市民の姿も確認できる



「現在まで、テロリストによる無抵抗の市民への虐待や略奪に関しては確認されておりません、スーパーやショッピングセンターにも一切手を付けてないようです」


「それはひとまず安心だな」


「こちらがグローバルホークの画像をデータ化した札幌全域の状態です」


グローバルホークからの画像データを札幌の地図に重ね、敵兵と住民を色分けした地図が映し出される


「このように住民と敵兵士が非常に近い場所にいる為、本格的な奪還作戦の開始前には住民に知らせる必要があります。住民への告知後に戦闘を開始するしかありません」


「住民の被害をゼロにしろとは言わないが、限りなく最小限にして欲しい、戦闘はリアルタイムでネットに流れる可能性があるなか、例え流れ弾だとしても自衛隊の銃弾で札幌市民が倒れる姿は見たくない・・・」


「市民に被害が出ない、いや少ない有効な攻撃手段を研究してくれ」


「了解いたしました」




ようやく日本とカバラ皇国の長い一日が終わりました

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