SATの戦い 前半
北海道警察特殊急襲部隊(通称:SAT)は、国家緊急事態対処会議後に千歳市柏台にある北海道警察総合訓練センターに召集されていた
未知の知的生命体への対応などと言う、訳の解らない説明をたちの悪いドッキリかと疑っていた隊長の名塚は、TV映像を見て考えを改め各班の班長を呼び早速出動の準備を指示した
指揮班の古川班長へは陸自との情報共有体制の構築
技術班の大森班長へは大量のプラスチック爆弾の準備
狙撃班の森班長と制圧班の佐藤班長には銃火器の準備と銃弾は持てるだけ用意するようにと
各班へ2時間以内に準備を整えるように指示を出した
名塚自身も秘密裏に合同訓練を行っている陸自とのパイプを使い情報収集と道警との連絡が途絶えてしまったため、警視庁に直接連絡し独自判断での出動の許可を得ていた
各班の準備が整うと2時間を待たずに隊員輸送車3台に分乗し北広島まで開通していると言う高速道路に乗り札幌へと向かった
名塚は車内で無線を使い作戦要綱を隊員へ説明した。
最終判断は現場確認後と枕詞が付けられたが1時間で立案できるとは思えない詳細な作戦が説明された
化け物達は、札幌ドーム前の交差点を境界線として封鎖している事から、近くにある日糧パンの工場を砦として立て籠もり殲滅する作戦であった
狙撃手6名は5階3名、3階3名に別れ路上の化け物を狙撃
技術班は、工場の周辺と工場内の侵入経路にプラスチック爆弾を設置し近づいてきた化け物を爆破
制圧班20名は、狙撃手の護衛と工場内での化け物の侵入阻止を担う事と指示した
「陸自からの情報として化け物は、火、雷、毒、弓矢と剣による攻撃をしてくるらしい。雷は室内なら問題なく、屋外でも避雷針があれば防げるとの見解だ。毒に関して言えば我々のNBC装備で十分に防げる。火と弓と剣は、お前らなら防げるはずだ!」
「「「おおうーーーーーーーーーー!」」」
北広島のインターを降り国道沿いを走ると、大型ショッピングセンターの駐車場に札幌から避難して来た住民が集まっていた
「この避難民の情報は伝わっているのか?」
「はい、陸自の方でも避難民対応に関しては直ぐに動きそうです。」
「まぁ陸自さんは色々と制約が多いから本格出動に関しては迅速な対応は望めんからな、今頃は指示待ちでイライラしてる隊員が多いんだろう」
札幌市街地に入ると隊員輸送車は36号線から旧道へと入り日糧パン工場の裏手に駐車した
「各自、指示通り準備を行う事、プラスチック爆弾の仕掛けが終了しだい狙撃を開始するぞ!」
狙撃班は室内からの狙撃ポイントを構築し、制圧班は工場内にバリケードを構築、指揮班は防衛庁との画像回線を開いた
一番手間取っていた技術班は、工場周辺の予想進路上に放置してある自動車の底面や工場前の道路、工場内の要所要所にプラスチック爆弾を設置し最終報告を行う
「技術班、爆弾設置完了しました」
「よし準備はいいな!10分後に狙撃を開始する。今回俺達の任務は威力偵察のようなもんだ無理はするな、各自常に退路を確認しろ撤収時は装備を投げ捨てて隊員輸送車へ飛び乗れ!」
SAT隊員全員のヘルメットにはCCDカメラが付けられ、その映像は隊員輸送車のビデオサーバを経由してリアルタイムで警視庁と防衛庁に流される