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ミノタウロスの怪力


ペリスコープを覗いていた操縦手が


「戦車長、化け物の攻撃で周辺の自衛官の体は既に丸焦げです。機銃が通じない盾を持って化け物が近寄って来てますのでもう轢き殺してやりましょう!」


「解った。但し遺体でも自衛官を踏みつける冒涜は最小限にしたい、十分に引き付けてから化け物のど真ん中に突撃するぞ!」


「化け物は全部ミンチにしてやりますよ!」



-------


機銃掃射を受けながらドラコニュートを中心にアダマンタイトの大楯で身を隠し身を寄せ合い塊になって一歩一歩戦車へ近づくと


「あと10mだりゅ! 上に登ってしまえば奴は何も出来んはずだりゅ」



しかし戦車は突然動き出す。



「「「うあああああああああ! おあああああああ! ぐあああああああああ!」」」


戦車の正面に固まっていたドラコニュート達は、まとめて轢かれ全身固い鱗に覆われたその体も悲鳴と共に操縦手の言う通りミンチと化した。



筒からの攻撃だけではなくその鋼鉄の巨体で次々と兵士を踏み潰す姿は、伝説の凶悪地竜をも凌ぐ恐ろしさである


間一髪、キャタピラから逃れたドラコニュートが戦車に捕り付き車上で剣を振りぬく



ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!



しかし、かすり傷程度の攻撃でしかなくドラコニュートを載せたまま戦車は止まる事無く次々とその巨体で襲い掛かりその通り道にいる者を全て屍へと変えていった



車体への攻撃が意味をなさないと悟ったドラコニュートが小さな筒にミスリルの剣を振りぬくと筒の攻撃は止んだ


「筒の攻撃は止んだウオ! 周り込んで戦車を囲めウオ!」


ライカンスロープが全速力で疾走し回り込んで戦車に捕り付き大筒にしがみつく


しかしただ大筒に振り回されているだけで何の意味もないが、ラミアもスルスルっと車上へ昇り大筒に巻き付く


それに続き次々と車上へ登り剣や槍を振るが効いていない


「剣や槍など意味がないウッシ! 蓋を開けて中に入るウッシ!」


車上のミノタウロスがその怪力を活かし戦車のハッチを渾身の力で引くと


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっウッシ!」




ドターーーン!




ミノタウロスはハッチと共に地面へ落下した。



ハッチが開かれた戦車にラミアが入り中の自衛官を噛み殺し戦車の攻撃はようやく止まった


手強い大筒の戦車を倒した頃には地上に反撃する者は一兵もおらず


中央の司令部のあるビルに立て籠もっている部隊を除き真駒内駐屯地の自衛隊は壊滅した


「もう反撃してくる兵士はおりません! 戦闘は中止しなさい!」


「陛下、まだ砦の中に兵士が立て籠もっております!」



「これ以上の戦闘は意味がありません。降伏勧告を出します!」


セシリアはビルに立て籠もっている自衛官へ降伏勧告を出す為に外務省の田中を建物の中へ向かわせた




皆、戦闘を終え安堵の表情を見せているがフローラだけはうずくまりむせび泣きしていた



「フローラ大丈夫ですか?」


「陛下、昨日まで楽しく接してくれた人達が今こんな姿になってしまっていて、どうしたら良いか解りません」


「落ち着いたら敵味方関係なく遺体を丁寧に弔いましょう。死んで行った勇敢な戦士達に妾達がしてやれる事はそれだけです」



-----


外務省の田中は銃口を向ける自衛隊員に両手を挙げながら司令部のビルに入りバリケードの前で降伏勧告の使者として来た事を告げると中に通された。


防衛省情報本部と繋がっているTV会議室へ入ると席に着くように促され


「何しに来たんだ?」


「はい、セシリア様から身の安全は保証するので降伏を説得して来るように言われまして・・・・」


「そもそもはお前らの対応でこうなったんだろうが!」


荒谷が机を叩き恫喝する


「おい荒谷!今更そんな事言ってもしょうがない、情報整理したら降伏しろ」


「言われなくても降伏するわ」


「田中お前はお嬢ちゃん所へ戻って一時間したら武装解除して降伏すると伝えてくれ」


「はい・・・解りました」


「ちょっと待って下さい。田中さん、外の自衛官の生存者はどれ位ですか?」


「無傷の者はほとんどいませんが、二百名以上は生存してます。」


「生存率は一割未満ですか・・・私達は一時間ほど対策を検討して荒谷さん達も降伏して貰いますので、田中さんは戻って下さい」


「一点注意が・・・たぶんここも魔法で盗聴されてます」



盗聴の件を伝えると田中は戻って行った


「じゃ話を元に戻すぞ、戦車への攻撃方法は無いに等しい、一台だと捕り付かれてしまうので護衛の装甲車とセットでの運用が有効だ」


「航空機はどう思いますか?」


「見当も付かんな、ただ奴らには常識は通用しないし手の内も全て明かしてないだろうから、あらゆる攻撃は想定する必要がある。特に毒ガスや生物兵器類は普通に使ってくるぞ」


「しかしNBC対策装備は、それ程充実してません・・・」


「NBC対策してない兵士は丸腰同然だぞ」


「米軍からの貸与など含め出来る限り用意します」


「後は歩兵装備だが、耐火服と絶縁用にゴムスーツが必要かもしれん」


「可能な限り耐火装備と落雷対策は用意します」


「じゃ頼んだぞ」


「はい、必ず救出へ向かいますので荒谷さんも気を付けて下さい」


「俺らの対応を見てあいつらの捕虜の扱いを確認するんだ!救出は不要だ」


「荒谷さん!」


「まだ何か言いたいのか?」


「今、入った情報では札幌市街地に侵攻が始まっているようです・・・」



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