スープカレー
セシリア一行は、宮脇がデータの分析に専念
満子は人ゴミが嫌い
との理由で日本人の案内無しで街の調査を行うことになった。
宮脇からは困った時に連絡するようにスマホを渡されたが外国人旅行者のフリをしていれば皆親切にしてくれるから心配しなくていいと言われている
宮脇の車で札幌市内の主要な施設は外から案内されていたので、今日からは可能な限り施設の内部を調査することにした
特に札幌駅から薄野までは地下で繋がっていて地上のビルも地下から入れると教えられた
「陛下、これは大迷宮です!」
「そうね、地下だけでなくビルという砦も含めると複雑で今どこにいるのか解らなくなりますね」
「しかしこの地下を制圧できれば中心街を占拠できます」
「それより陛下、色んな良い匂いがするので空腹が我慢出来ません・・・」
「お前何度言ったら解るんだ、遊びに来てるんじゃないだぞ!」
「でも~・・・」
札幌ドームで貰った赤黒のユニフォームを着ているフローラに小さな男の子の手を引いた中年女性が近づいてきた
「ママ、コンサドーレだ!」
「あら、札幌ドームにいた外人さんですよね?私もゴール裏にいたんですよ」
「はい!楽しかったですね」
「今日は札幌観光ですか?」
ぐぅぅぅぅぅぅ・・・・
「お腹空いているんですね(笑)美味しいお店紹介しましょうか?」
「はい!是非!」
目を合わせるセシリアとヨエルだが仕方がないと言う表情でフローラにこの場を任せた
「お寿司食べますか?」
「オ・ス・シ?」
「知らなかったですか、一口サイズのご飯の上に生の魚が乗っている、日本特有の食べ物ですよ」
「生の魚なんて食べれないです~野蛮ですよ」
「それじゃなんか食べたい物ありますか?」
「えーと、この子が食べたい物でいいですよ、ボク何食べたい?」
「スープカレー!」
「スープカレーってどんな食べ物ですか?」
「色んなスパイスで野菜やお肉を煮た料理ですよ」
「それが食べたーい!」
「じゃ付いて来てください」
スープカレー屋さんまで案内してくれた親子がせっかくなので一緒に食べましょうと言ってくれ皆で食事をする事にした。
メニュー見ても良くわからないセシリア達に好みなど聞いて中年の女性が注文をしてくれた
「ボクは将来何になりたいの?」
「コンサドーレの選手になってJ1優勝するの」
「頑張ってね応援してあげるから」
「うん!頑張る」
大きな野菜と鶏肉などが丸ごと入っているスパイシーなスープカレーを食べ終え
「肉が柔らかくで味も染みてて旨い」
「こんな美味しい煮込み料理食べたのは初めてです。美味しかった~」
「とっても辛いけど美味しかったです」
「喜んで貰えて嬉しいですよ」
「ありがとうございました、では行きましょか?」
お会計でお金を払おうとすると
「遠い国から来てコンサドーレを応援してくれた人にお金を払わせることはできませんよ(笑)」
「会ったばかりの人にご馳走になる訳には行きません」
「本当にいいのよ、その代わり少しだけ日本と言う国を好きになってくださいね」
親子はそう言い残しエスカレーターを下っていった
「妾達は、この人達を傷つけなければならないのでしょうか・・・・」
たった一杯スープカレーをご馳走になっただけだが、この事はセシリアの決断に多いに影響する事になる
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宮脇は
MR装置で画像化されたセシリア達の骨格や臓器をひとつひとつ調べほとんど自分たち人間と同じ構造であったが、唯一違ったのがセシリアにだけ気嚢が存在していた
気嚢は鳥類の肺呼吸の効率化する臓器である、鳥類は気嚢により上空の薄い空気の中でも効率的に呼吸が可能となる
「セシリアはやはり鳥類からの進化なんだろうな、胎生の鳥なんていないからどうやって分類したらいいのかね、まぁ地球上の分類に当てはめるのは無理があるか・・・身体的に事は後でいいか、やっぱり魔法だな」
全ての魔法共通でセンサーに観測された現象は、原子・分子レベルの振動が増幅し結合・分離していた、中性分子に関しては電離しプラズマ化していることが確認できた
「もうこれは物理学だな、周波数的な原理で原子・分子レベルの振動を操作してると思うがこれ以上は俺じゃ無理か・・・」
「いや、周波数はあのミトコンドリアではない何かが発してる以外考えられないしな・・・物理学者だけでも解らんか・・・」
後に【ミヤワキ】と命名される電気振動を発生させる細胞小器官が魔力の源である