モアイ像
セシリア達は満子に買って貰った服を着て都市中心部へ向かうためにとシラハタヤマの下山を始めた。
カツラやニット帽を被り日本で売っている服を来ていれば普通の外国人観光客にしか見えない。
今回の調査は奇襲の際の戦略や占領時に抑えるべき施設等視察が主な目的である。
満子には街や人々の生活を知る為と伝えているが、色々と察している様子だ
当初、セシリアとヨエルと満子の三人で向かう予定だったが、フローラ=エルフがどうしても付いて行くと嘆願したので
日本語も習得済みで社交的な性格である事から現地の人との交流もありえるため同行する事になった
フローラは単にセシリアとヨエルが二人でデートのような調査をしていることが気になっているだけである
満子によるととりあえず滝野霊園へ行けばタクシーと言う乗り物があるのでそれに乗って中心街へ行けると言う事であった
滝野霊園の門をくぐるとそこには巨大な像(モアイ像の模倣)が街道沿いに無数に並んでいた
「満子さんこれはなんですか?」
「モアイ像と言うて外国の石造を真似た飾りじゃ」
「装飾ですか・・・王様か貴族のお墓があるんですか?」
「いや、庶民の墓じゃよ、わしの友達も何人か眠っておるわ」
ヨエルは地面から肩口から上だけ露出しているモアイ像の地面の下を確認し胴体がない事が解ると安堵した
「巨大ゴーレム部隊ではないようだな」
一行は滝野霊園管理事務所前で客待ちしていたタクシーに乗り札幌の中心部へと向かう
コニーや黒鳥の目を通して上空から何度も見た風景であったがタクシーに乗り人間の目線で間近に見る巨大な橋や石の砦のような建物の迫力に圧倒されていた。
「この強大な国に妾達は、勝つことが出来るのでしょうか・・・・」
ヨエルもフローラも同じ思いだったので何も言えなかった
事前に満子から街の案内は宮脇に頼んだ方が良いと提案されコニーを迎えに行く必要がある事から北海道大学へと向かった。
北海道大学は札幌駅徒歩圏内であるにもかかわらず、木が生い茂り自然の川まで流れていて森の中のようでありセシリア達も落ち着きを感じる事が出来た
「このような大きな街の中心に森があるのは良い事ですね」
「先に大学が出来ていて、街は後から勝手に大きくなったからの~」
大学構内では留学生も多数在籍しているので外国人も珍しくないが、フローラの美貌に学生たちの目は釘づけになっている
「なんか私だけジロジロ見られてる感じですが何か変なとこあります?」
「お前さんが美人過ぎるからじゃの~」
「そーなーんですか!!!ヨエル~私この国でもモテるみたいよ!?!?」
「任務中に浮かれるなフローラ、それなら女の武器を使って情報集める手段でも考えてろ」
「女の武器を使えって・・・どう言うことさ!」
「そういう事だ、今我々は手段を選べる状態じゃないんだ」
「それにしても酷い言い方じゃないの!」
「なにを!俺はな・・・」
「二人とも止めて下さい。皆が見ております」
ケンカを止めて学生に宮脇の事を聞くと牧草地の手前の建物に宮脇研究室があると言うことで四人はむかった。
乳牛が寝そべっているのどかな雰囲気の牧草地に面している建物の一階に【宮脇研究室】とラベルが張っているドアの前についた
「ここじゃの」
コンコン! コンコン!
「どうぞ~空いてますよ」