味噌ラーメン
満子がせっかく街に出てきたので食事をして行こうと近くのラーメン屋入る事にした
「大将、味噌ラーメン3つじゃ」
アツアツの味噌ラーメンが三人の目の前に出される
「満子さんこれどうやって食べるんですか?」
「好きに食えばいいんじゃが、わしのマネして食ってみなさい」
満子はレンゲでスープ飲みもやしを一口ほおばってから麺をすすった。
セシリアとヨエルも満子と同じ仕草で味噌ラーメンを食べる
「うまいな」
「美味しいです」
二人の箸は止まる事無く、チャーシュー・メンマ・もやしと麺を食べ続けスープも全部飲み干した。
至福の時から急に我に返ったようにセシリアの表情は曇り涙をこぼす
「どうしたんじゃ?泣くほど旨かったのかね?」
「いえ臣民がひもじい食事を毎日しているなかで私たちだけがこんなに美味しい物を頂いて申し訳なく思いました、皆に食べさせてあげる事ができたら・・・・」
「セシリアは女王様なんじゃろ?たまに贅沢したって誰も恨まんしラーメンは高級品じゃなくて庶民の食べ物じゃよ」
「そうなんですか、こんなに美味しい物が・・・皇国もいつか皆がお腹いっぱい美味しい物を食べられるようにいたします」
「そういえば、もやしは口に合ったか?」
「白い野菜の芽でしたらシャキッとして美味しかったですよ」
「そうかこれなら地下で大量に作れるのじゃ」
「そうなのですか!」
「緑豆の種を買って無限の泉から畑へ向かう水路の中で育てれば5日くらいで収穫できるのじゃ」
「そんなに早く収穫できるのですね。種を買って栽培しましょう」
ホームセンターで緑豆の種を持てるだけ購入しシラハタヤマ出入口へと三人は歩き出した
「セシリアちゃん街の雰囲気はどうじゃったかの?」
「はい、お店には商品が溢れ食事も美味しく子供達は元気ですし、何よりも皆さん親切で良い国ですね」
「そうかいそうかい、でもおぬしらはこの国と争うんじゃろ?」
「は、はい・・・」
「おぬしらが生きる為に戦を始める事に、とやかく言うつもりはないんじゃが、ここにも何の罪もない弱い人々がたくさん住んでる事は忘れんで欲しいんじゃ」
満子の言葉にセシリアは何も言えず、ただ頷くだけであった
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宮脇の研究室で五神教授が写真や書類を小さな鞄に詰めていた
「それじゃ宮脇くん東京へ戻るとするわ」
「空港までお送りしますよ」
「一人で大丈夫じゃ、それより繁殖の方は頑張ってくれよ。楽しみにしちょるわ、コニーも元気に子作りするんじゃよ(笑い)」
「キューーーー」
五神教授はコニーと宮脇に見送られ研究室をあとにした
「さてお前どんな男がいいんだ?」
「シマフクロウが一番似ているんだが、天然記念物だからな・・・・・」
宮脇がひとり研究室に残りコニーと戯れているとコンコンコンコンとドアがノックされる
「どうぞ~!」
ドアが開けられ「失礼します!」と見知らぬスーツ姿の屈強な男が入室してきた。
荒谷と名乗った男は自衛官であり夕張岳でとある任務中に宮脇を見かけ事情を聴くために訪れたと言う
「山で何か不審な点はありませんでしたか?」
宮脇は一瞬コニーに目をやるが
「特になかったですよ、ところで任務って警察官殺しの熊の捜索ですか?」
「そんな所ですね」
「何故自衛隊が?まぁいいや、でも熊が犯人じゃないですよ」
「ほう、どうして言い切れるんですか?」
「熊は臆病な動物です、不意に事故で人を襲う事はあるでしょうが、拳銃を持った警察官三人を次々襲うなんて動物行動学的にありえないですよ」
「さすが学者さんですな、実は私もそう思ってますよ」
「それより山で見かけただけで、名前を特定しここにこれるんですか?」
「インテリジェンスって奴ですね、一応、国家権力ですから」
「まぁ気持ちのいいもんじゃないですよ」
「すみません、じゃ最後にしますが山で何か不審な点を思い出したら、ここにご連絡下さい」
と荒谷は名刺を差し出し席を立った
「荒谷さんは山で何か見たんですか?」
「私ですか・・・妖精を見ましたよ」
コニーが一切鳴く事無く警戒するなか荒谷は退出していった。
「妖精?本気で言ってるのか?コニーも妖精みたいなもんだけどな」
「キュー?」