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動乱


千歳空港の到着口で宮脇は東大の五神教授を出迎えていた


「五神教授お久しぶりです。今回はお一人ですか?」

「一人もなにも、プライベートじゃよ」


「出張扱いじゃないんですか?」

「いまどき、訳の解らん調査で税金で出張なんかしたら監査に引っかかるからな」


「それじゃ、今日はスープカレーでも食べて薄野へ繰り出しましょうよ!」

「早く見てみたい気もするが、時間もあるしいいかの」


-------


地上監視室でセシリアは地上から戻ってきた族長達とお互いの情報を交換していた。

今回10人の兵士が森へ侵入して来たが事前に連絡の取り決めをしていたので、見つかる事無く戻ってきた


今夜からの方針の話し合いを始めると、従士が慌てた様子で入室してくる

「どうしたのじゃ」

「陛下、臣民が王宮広場に集まり何やら好戦的なシュプレヒコールを上げております」


何人かの族長が目を合わせ思わせぶりな表情でセシリアを見た


「何か知っておるのか?」

「陛下、ご存じないでウッシ?」


「知りません。お話し下さい」


「最近、臣民の不満が高まっているのは、陛下もお察ししているとウッシ」

「その臣民の不満を煽っているのは、アルベルト=リリス殿下の手の者でウッシ」


「お義兄様が何を考えているのでしょう・・・」


「はっきり言えば人気取りでウッシ、最近は儂ら種族の好戦的な兵士を連れて街を闊歩してウッシ」


「陛下が直接臣民にお言葉を掛けなければ収まりが付きそうにありません」

「解りました。」



王宮から出て王宮広場へ向かうとそこには溢れんばかりの人だかりが戦争へ向かうシュプレヒコールを上げていた。


「地上を占拠せよ!」「兵士は戦を恐れるな!」「腹へったぞ~」「臆病者は引っ込んでろ!」「戦え~!」「おおおおおおお~おっおおおおおおおお~」」



セシリアと族長達が姿を見せると群衆は一瞬静まり返ったが、どこからともなくセシリアへの罵声が上がり始めた


「臆病者は帰れ!」「王宮で贅沢してるから民衆の気持ちが分からんのじゃ~」「退位しろ~」「わあああああああああああああ~」


その場を収めるべくセシリアが一歩前へ出て声を張り上げるが民衆に声は届かずエスカレートして行った民衆から、食べかけのフフがいくつも投げつけられる。


ベシッ!!!

フフがセシリアの顔面にまともに当たりその清楚な姿を汚す


従士達は青ざめ、族長達は剣を抜くがセシリアが全て制止しその汚された姿のまま民衆の前に一歩進むと民衆も静まりセシリアの声に耳を傾ける


「臣民のみなさん、ひもじい思いをさせ申し訳ございません、いつ地上へ出られるのか不安にさせて申し訳ございません」


「しかし相手を知らぬまま戦を仕掛け負けてしまえば、我々は滅亡してしまうかもしれません。仕掛けた戦は絶対に勝たねばならないのです」


罵声を上げていた民衆もセシリアの言葉に聞き入る


広場の奥で様子を全て見ていたアルベルト=リリスはタイミングを計ったように行軍の指示を出した


「父アンテロは転移直前、妾に言いました。敵を知り・・・」


セシリアの言葉の途中に後方から歓声が上がるとアルベルトを先頭に千名の戦士が行軍を始めていた。


「臣民よ静まれ!」

「セシリア陛下、これ以上ここで時間を過ごすのは臣民への負担となる、我が地上へ侵攻の礎となる。陛下は臣民と共に王宮広場で我の戦を見守って下さい。」


王宮広場中央部にアルベルトが自らの戦を民衆に見せつける為に用意してた、巨大な水晶が設置され外の様子が映し出される


「我が一軍を率いて地上の兵士を一掃してみせようぞ!」


広場のあちこちから「アルベルト様!」と歓声があがり、アルベルトは馬上から満足げに民衆に手を振り行軍し始める



「出入口で止めりゅか?千名程度なら我らドラコニュート族だけで守り切るのは簡単じゃりゅ」


「ボレリウス それでは身内の争いが臣民の目の前で繰り広げられることになります。手出しは出来ません」


行軍の様子を映す水晶が群衆の目の前に晒されている事で100万の兵を有するセシリアがたった千人の兵のしか持たぬアルベルト一派に為す術がなかった。


「我々もここで臣民と共にアルベルトの戦を見守りましょう。今はそれしか出来ません・・・」



-------


古田伸一率いる第二次夕張岳工作員捜索隊は、

荒谷による捜索での反省から無線傍受の可能性を否定できない為、

無線無し二名一組で遂行されることになり10名が20日間山に籠り工作員の捜索を行う任務を受けていた


「古田隊長、サバイバル訓練でレーション有りってのは楽でいいですね」

「まぁサバイバル訓練と言うのはあくまでも名目的なもんだからな」


「それも初夏の北海道なんですからキャンプですよキャンプ」

「任務なんだから浮かれるな、3時間つづ仮眠とするからさっさと寝ろ」

「了解!」



この時点でこれから始まる凄まじい戦闘を予感する者は誰一人いなかった。



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