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攻撃の余波


矢部ら札幌テロ関係閣僚会議のメンバーが暗闇の中、階段を使って地上へでると上空から、複数のヘリコプターが飛来してきた。


矢部は 野々村に、自衛隊による実力行使を含む米軍への撤退を指示し、自らは単独で六本木のテレビアカヒのスタジオ屋上のヘリポートへ向かうようにパイロットへ指示した。


「機長、被害の範囲は空から解ったか?」


「矢部総理、おおよそ山手線と首都高中央環状線の中間から内側が真っ暗ですね」


「そうか、十条の駐屯地に被害は無かったのか?」


「はい、PC等の電子機器の一部が壊れたようですが、ほぼ被害はなかったです」


「街の様子は何か見えたか?」


「数か所、ボヤ程度の火災が発生してましたが、周辺の消防へ連絡してますので大規模な火災にはならないと思います。」


「ありがとう感謝する。」


「いえいえ私は無線で知らせただけです・・・テレビアカヒのスタジオ上空に到着しましたので屋上へ降ります。」



テレビアカヒを封鎖していたS部隊も、屋上にヘリが着陸したことに気が付くと、局内に入り暗闇の階段を駆け登っていった。



-------


空母ロナルド・レーガン


「艦長! TOKYOが電磁パルス攻撃により都市機能が停止いたしました。」


「被害はどの程度か解るか?」


「こちらの衛星写真をご覧ください」


「中心部の10キロ程度が完全に闇だな、我が軍の被害はどうなってる」


「はい、米軍に被害はありませんが、自衛隊は市ヶ谷が沈黙しており、指示系統に支障が出ていると推測されます。」


「人的被害は少ないようだし、我が軍も早急に電磁パルス攻撃の実用化をしてほしいもんだな。」


「地下都市の攻略後には、この技術も手に入るかと思います。」


「ふっふっふ・・・そうだな、しかも国際的な世論も、カバラ皇国の危険性を認識し我々の味方するだろう、この攻撃は我が国からみれば良い事しかない。一気に地下都市の攻略を進めるぞ」



-------



セシリア達がじっと待っている薄暗いスタジオの扉が乱暴に開き、銃を構えた自衛官が突入してきた。

「全員動くなっ!」


整列しセシリア達へ銃を向ける自衛官の後ろから、ゆっくりと矢部総理が入ってくる。

「銃を降ろせ……彼女達に抵抗の意思はない。」


自衛官達が矢部の指示に従い銃を降ろすと、反対側の扉が勢いよく開き転がりながら別の自衛官達が突入して、矢部達に銃を向けた。


「園田くんも止めたまえ」

「・・・総理失礼しました。S部隊の連中の銃に弾は入ってませんので、ご安心を」


事の顛末を眺めていたセシリアであったが、状況が落ち着いたと感じ、矢部総理の元へ歩み寄り笑顔で握手を求めた。


「矢部総理、直接お会いできる事を心待ちしておりました。この度は色々とご迷惑をお掛けして申し訳ございません。」


セシリアの後ろにいる満子が

「矢部ちゃん固い話はいいから、さっさと戦争を止めるんじゃ、その為にお前の息子と話をしてきたんじゃ」


「おお満子さんお元気でなによりです。自衛隊に戦闘停止は指示してますが、米軍の方が我々の意向を汲んでくれるかどうか・・・」


「それをなんとかするのが、お前さんの仕事じゃろ」


満子の頭上で、スプライト達が宙に舞っている。

「相変わらず厳しいですな、おや? 妖精が増えてますが、どこかに隠れていたんですか?」


「この三人が東京を攻撃したんです。」


「「「そうなのにゃ~ 凄いだろ~ 」」」


「こんな可愛い妖精の攻撃で、首都機能が一瞬でマヒしたんですか・・・」


「ここは少し広すぎるので、どこか小さな場所をお借りして話し合いを始めましょう」



-------


東千歳駐屯地で、荒谷が神奈川MHKによる東京の空撮映像を見ていると、ドアが勢いよく開き、自衛官が叫ぶように言った。

「荒谷さん! 停戦命令が出されました。米軍へも停戦・撤収を伝えてくれと指示が出てます。」


「俺達の停戦はいいが米軍さんが、ハイ、ワカリマシタ と撤収してくれんのか?」


「習志野からは、市ヶ谷の機能が停止しているので、米軍との調整は現場の荒谷さんに一任すると命令が出ております」


「俺? 現場に一任って・・・ただの丸投げじゃねーか!」


文句を言いながらも荒谷は直ぐに部下を連れ、真駒内駐屯へと向かった。


そこはゲームセンターのような筐体が並べられ、大型ディスプレイに戦闘状況が映し出されていた。


現地責任者のアワードへ面会を申し込むと【手短に】と枕詞が付いたが直ぐに通された。


「S部隊隊長の荒谷です。日本政府から一任され、戦闘の停止と地下からの撤収の依頼を伝える為まいりました。」


「は? アラタニさん、命令系統を無視した指示をされても従う事は出来ません。我々は軍隊なんですよ」


「解っております。アワードさんから司令部へ、日本政府からの停戦・撤収依頼があると連絡して頂きたいのです。」


「連絡は約束しよう。しかし、それは意味がないだろう、ワシントンとは言わないが、横須賀の在日海軍司令部へ直接依頼するのが早いと思うが、まぁどちらにしても無駄だ」


「アワードさんご存じの通り、東京は、電磁パルス攻撃で機能しておりません。早急に停戦・撤収して頂けないと、第2第3の攻撃の危険性が増します。現場の判断で一時的な戦闘停止はして頂けませんか?」


「アタタニさんそれはNoだ、我々は命令系統に従った行動を取る。カバラ皇国の野蛮な攻撃でむしろ我が軍は、日本国民の為に全力で地下を攻略する」


「アワードさんそれでは我が軍も命令に従い、米軍への補給・輸送は中止し真駒内駐屯地から兵を引きます。」


「・・・脅しか? 本気か?」


「アワードさん、我々も一応軍隊なので上からの命令に従うだけです。」


「解った、真駒内駐屯地からの撤収は何時から開始するのか?」


「直ぐに命令を出し、一緒に千歳へ戻りますよ」


「アラタニさん、それでは現地作業部隊は、丸腰になってしまうではないか、せめて空母からの増援まで待って貰えないのか?」


「アワードさんそれはNoだ、我々は命令系統に従った行動を取る」


荒谷は、皮肉の笑顔を浮かべ即答していた。




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