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降下

「こちらCOSMO1、間もなく目的地点に到達するので作戦高度まで下げる。どうぞ」

「こちら管制、COSMO1へ計画どおりの経路経由で承認します。」


荒谷政尾らのS部隊を乗せた戦術輸送機C-130は夕張岳上空で高度をゆっくりと下げていた


「高度が下がり始めた。4000m付近で降下開始すぞ今回はサバイバル訓練と言う事になっている、30日後国道のパーキングエリアの輸送トラックに集合だ」

隊員は装備の最終点検を行いながら全員無言で頷く


「通常の訓練と異なり現在から弾薬使用は許可する、無線は最低限の指示・連絡のみとする。気を抜くなよ、降下中発砲される可能性もある、降下開始!」


荒谷を先頭に5名のS部隊は漆黒の闇に包まれた夕張岳周辺に次々と降下していった



-----


満子はセシリアに日本の歴史から話し始めた


3000年前の神話の時代から現在の天皇陛下までの血族で統治されてきた国であり70年前の戦まで他国に侵略された事がない国であったこと


70年前の戦は、食料や油が不足し国民が生存していくと言う名目で自国の戦力を過信し良く調べもせず大国へ戦を仕掛け最後は国中を焼かれて300万人以上の犠牲者を出し降伏した


降伏後、日本は世界に戦争を行わない事を誓い、平和な国として栄えた・・・


「70年前の日本は今のセシリアちゃん達と同じような境遇だったのかも知れんね。おぬしらはこれからどうするんじゃ?」


何も言えないセシリアがうつむいていると満子は続ける


「70年前の日本は、国民の間に戦争を望む空気が出来てしまっての、誰にも戦争は止められんかった。ここの国民も今のままでいいとは思ってないじゃろ?」


「餓死はしないまでも薄暗い地下での貧しい生活を続けては我慢も限界に達します・・・」


「日本との戦は避けられんのか?」


「・・・・・」

沈黙の中、満子の部屋がノックされ従士が入室する


「陛下至急、地上監視室へご同行お願いします」


「急にどうしたのですか?」


「空から兵士らしき者達が森に侵入してきたとの事です」


地下迷宮三層に設けられた地上監視室へセシリアが足早に向かった

地上監視室の扉を開けると目の前の水晶に人間が数人、大きな布を広げて空から森に降下していく姿が映しだされている。


明らかに兵士と思われる者達は地上に降り立つと手際よく大きな布を折りたたみ物陰で息を潜め周囲を警戒している


「地上のスプライト達へ急ぎ戻るよう連絡し、皆はここでこの者達から目を離さぬよう警戒して下さい」



-----


荒谷は自分が目にした光景が信じられなかった。降下中に一瞬だが妖精としか表現出来ない生き物が宙を舞っていたのだ。


「各自、異常ないか?オクレ」

「異常無し!異常無し!異常無し!異常無し!」


俺だけか・・・

妖精が宙を舞っていた周辺を探ってみるが特に異常はない、荒谷は妖精が向かって行った方向へ歩き出した


一晩中探し回ったが何も見つからなかった、常に誰かに見られている気配がして仮眠すら取れていないなか、早朝に部下から無線が入った。


「登山の民間人らしき者が尾根を越え北東へ進んでおります。指示オクレ」

「下山するまで接触する事無く見張れ。オクレ」

「了解」



-----


宮脇は森の中スマホを片手に梟のGPSが消えた地点に向かっていた

「キューキュー」

と空から聞き覚えのある鳴き声と共に梟が降りて来た


「お前、生きてたのか~よかったよかった」

「キュ」

「俺が解るのか、本当に賢いな」


リックからひまわりの種を取り出すと梟は嬉しそうに啄む、心の中で(ごめん)と呟くと、宮脇は用意してた網で梟を捕獲した


「キュッキュッキュッキュッキュー」

と網の中で暴れる梟だが暫くすると諦めて静かになった


「ごめんな、お前のこと調べさせてくれ、食べたりしないから安心しろ」

「キューーーー」


コニーはタオルでグルグル巻きにされリックサックの中に入れられ連れ去られて行った


-----


明るくなってからセシリアに呼び出され従士と共に満子が地上監視室に入ってきた


「満子さんこの者達は何者か解りますか?」

「自衛隊さんじゃの」


「ジエイタイ?」

「日本の兵隊さんじゃよ」


「やはり兵士ですか、この世界では空を飛べる人間がいるのですか?」

「いや落下傘部隊じゃろ、上から落ちて来ただけじゃ」


「大きな傘を使ってゆっくり落ちてるんですか?」

「簡単に言えばそうじゃな、わしも詳しい事はわからんのじゃ」


水晶に一人だけ違う服装をしている人間が映っていた


「おや?これは宮脇くんじゃな」

「以前この人間にコニーが助けられたんですが、満子さんお知り合いですか?」


「この子はよく山に入ってくるようでな、たまにわしの家でお茶飲んで行く程度じゃが、この子は有名な大学の学者じゃよ」

「有名な学者さんでしたか」

「コニーが捕まったようじゃが心配せんのか?」


「一度、捕まって放して頂いてますから心配してませんし、コニーを通して様子もみれます」

「まぁ悪い子じゃないが、学者と言うのは何するか分からんよ、食われはせんがバラバラに解剖されちまうかも知れん」



-----


「民間人は野鳥を捕らえたあと、下山しましたオクレ」

「写真は撮ったか?オクレ」

「はい、鮮明に撮影いたしましたオクレ」


「それじゃ終わりだ、森の調査任務へ戻れオクレ」

「了解」




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