不幸から始まる町作り(上)
……出来た
「これが…俺……あれ?町?村?」
目の前に広がるのは、俺が!、全て建てた…いや、全て創った特殊な木製の家々
しかし、周りには先すらも見えない多数の巨大樹林
俺がリィジから貰った土地、
迷樹の森である。
そして、その中心に作った…町(予定)
「名前は…アーテンだ!」
アーテン、それが俺の、えっと……まだ村?、そう、村の名前だ……
1時間要したメリアの慰めのあと残りが少なくなったチートのポイントを使いきり、この部屋の時間を巻き戻した。
ほら?メリアがぶっ壊しまくったから……
俺のせいだしな
メリアは俺がいなくなったあと、自己嫌悪に陥りサイコキネシスが軽い暴走状態になり……って感じだ
「よし、これで大丈夫っと」
「ごめんなさい……」
「だーから、俺が全部悪いから!メリアは謝るなって」
「でも……」
うーん、ほんとに俺が逃げたのが悪いしなぁ……
立ち直ってくれないとそろそろ倒れそうなんだよ
さっきの炎の矢が結構キてるんだよな
服は勿論先に直しておいた。
メリアに普段の俺でいるように見せかけるためだったんだけど、まさかメリアがあんな状態になってるなんて思ってなかったからずっと我慢してたんだ。
正直に言うと、いつ倒れてもおかしくないぐらいにはやばい
意地でも平然を装うけどね
そのうち死ぬかもしれんな、俺
「仕方がないなぁ、じゃあ……お仕置きだね」
「……はい、どのようなことでも……」
親指と中指でわっかを作り、メリアのおでこで弾く。
まあ、デコピンである
コツンと当たる程度で、軽い音がした。
しかし、そのないにも等しい衝撃は[俺の]おでこにくる
「っ!?」
当たったはずなのに衝撃だけが来ない現象にメリアも困惑している、
しかし、バレたくないので、話を流す。
「どうした?」
「えっ?あのっ」
「お仕置きは終わったからもうメリアは謝っちゃダメだからね?」
「あぅ……はぃ」
これでよし、そろそろリィジのとこ戻んないとレジナス軍の人たちが来るかもしれないしな
「じゃあ、そろそろ帰るからおっさんに挨拶しにいこうぜ」
「わかり…ました」
まだ疑問に思ってるようだけどそのうち忘れるだろ、
それか気のせいで納得するっしょ
俺らは客間を出てメリアの案内のもと、謁見の間みたいなところへ向かった。
扉の目の前まで来たときにちょうど俺らを呼びに来たメリアと鉢合わせになりそのまま中へ入らされたけど
「いいタイミングで来たものだな」
「全くだ、で?俺らを呼びに来たってのはどったの?」
「お主もここに来たってことはそろそろ帰るってことなのだろう?」
「ああ、用事もあるしな」
「ならこちらから2つ頼みがある」
「ん?なんだ?」
「一つ目はディルオルとの同盟」
「それは、俺だけじゃ無理だからリィジに言っとく」
「頼む、二つ目はお主に頼みがある」
「俺自身?出来ることなら別にいいぞ?」
「他国がこの国に攻めいる時に手を貸して欲しい」
「ふむ…それはいいけど、連絡手段がな……」
「それなら問題ない、我が国にはあれがあるからな」
「あれ?」
そう言ってメイドに持ってこさせたのはそのメイドの手ほどの一つの蒼黒い石だった。
「……これがあれ?」
「そうだ、これがあれ…通信石だ」
……通信石……だと?
「これを砕くとその破片は他の破片全てに声が届くという我が国でしか採れなくその採取量も少ないとても希少な石である」
「なんだそりゃ…」
「まあ、砕きすぎる届く声が小さくなるのだが」
「ってことはデカイの同士だったら届く声もでかくなるってことだよな?」
「そういうことだ」
「な、なんていうことだ……これ一個でスピーカーにも通信機にもなるってことじゃないか!スゲェ!」
「ふふっ、そうだろう?だからこれでお主に連絡をとれるのだよ」
「なるほどなぁ、それの破片を俺に持たせればいつでも呼び出せるもんな」
「そういう契約ってことだ、もちろんお主に利益もある」
「ほう?」
「お主には、これを五キロ分、10個ほど差し出そう」
「マジ?いいの?」
「そして、お主が必要になったらまた融通しよう、その時はただではないがな」
「へぇ、よし、乗った!」
「そうか!ならば今すぐ持ってこさせよう!」
またしてもメイドにアイコンタクトするとメイドは一礼し離れる
「そうそう、こっちからもいいか?」
「なんだ?」
昨日言いそびれたこと、そう、本題を言わないとな
「俺がこれから作る町を今度見に来てくれよ」
「お主が作る町とな、ふっ、楽しみに待つとするか」
「その時は迎えに来るさ」
「ああ、いつでも来るがよい……と、それならちょうどよかった」
「なにが?」
「おい、入ってこい」
そして、ここに入ってきたのは見たことある二人。
というか、隊長さんと無言君だった。
なんで?
「まあ、面識はあるだろうが……」
「ムドルゴス第二王女ファノル=ムドルゴスです」
「…………」
第二王女?ファノルさんが?偵察部隊長じゃなかったっけ?
無言君はやっぱり無言か……っと、ん?
無言君は何処からか紙とペンを取りだしなにかを書き始めた。
描くスピードが超速い
なに描いてんだか知らないけど
少し経つと出来上がったようで見せつけてきた。
『フッフッフ…ボクがヘルスェルト=イノデュート…だっ!!』
と書かれた吹き出しと厨二チックなポーズを決めた2次元無言君が描かれていた。
…………え?
「うまっ!!?えっ!?なに君イラストレーターかなんか!!?」
上手すぎだろ!?なにそれっ!
興奮が押さえきれない俺
いや、だってスゲェクオリティーだぜ!?
その絵に食いるように見る俺を見たおっさんはとても可笑しそうに笑う
「ははっ!!面白いやつだろう?」
「最高だよ!なにこのギャップ!スッゲ!!」
「気に入ったのならよかった」
「よかった?なにが?」
「ファノルとヘルスェルトがお主についていきたいんだと」
「いや、まあ全然いいけど、なんで?」
ほとんど面識ないよ?
ファノルさんにおいては恐れられてると思うんだけど
「ヘルスェルトについてはわからん」
「本人に聞けばいいじゃん…えっとヘルスェルト君?どうして俺についていきたいと?」
「…………」
声は出さない。
しかし、またしても紙になにかを書いていく
どうやら今回は文字だけのようですぐ書き終わったが
『僕の理想のタイプだったからです!
あと僕は女ですよ』
まさかの急な愛の告白と男の子だと思っていたのが女の子だったという告白のダブルパンチを受ける彼螺だった。
ついでにその紙を見たファノルはまるで因縁のライバルを見つけたかのようになっていてメリアはまだ罪悪感に囚われていて彼螺に追求したいけどこんな自分がそんなことをする権利があるのか……みたいな感じで葛藤していたらしい