第三話 殲滅そして窮地
今回は戦闘回です。前回日間ランキング11位に入っていました。現在は県外ですが・・・pvも300超えました感謝感謝です。
赤坂大尉は、指揮下の中隊に伏撃の命令を下して息を殺しながら敵の到着を待っていた。
秋月が言っていた騎兵は、誤認だろうそう踏んでいた。
であるからここを通過するだろう自分の放った斥候が発見した敵の歩兵中隊を撃滅する事は容易であろうと考え伏撃することにしたのである。
鉄虎兵という兵科は当時の常識である隊列を組み戦闘を行う それを行わなかった。
なぜならば鉄鎧虎を有する鉄虎兵は、隊列を組むとその強大な白兵能力を発揮できないからであった。
鉄虎兵の真価は、鉄鎧虎の嗅覚や聴覚による偵察、戦闘においては各小隊に援護し合い跳躍前進し敵の弱点に殺到しかる後人虎一体の強力な白兵戦を行う。そして敵を壊滅させるそれが鉄虎兵なのだ。これは、魔道兵による各小隊の連携がとることと鉄鎧虎を持つからできる皇国の専売特許なのである
赤坂大尉は、同数である敵の偵察中隊なら奇襲ができさらにめっぽう白兵戦に強い鉄虎兵中隊ならば敵に情報を持ち帰らすことなく殲滅できると考えたのである。
そして、敵の歩兵中隊規模の偵察中隊が視認できる位置まで接近してきたことを中隊本部付の少尉が告げる。
「大尉、敵の偵察歩兵中隊が現れました。」
「砲は引っ張ってきておらんな?」
「はっ砲は確認しておりません」
「よし、敵が横っ腹を見せた時に俺の合図で3斉射しかる後に突撃だ 全員着剣!」
「了解であります。」魔道伝令兵は各小隊に指示を伝達した。
指示が飛ぶと中隊の各員が腰の銃剣を取り出し着剣し装填動作を始めた。
紙で包まれた装薬と弾丸の端を噛み千切り装薬と弾丸を取り出し銃口に流し込み細長い杖のような装填杖と呼ばれるもので突き固めていくそして、銃の後ろ部分に取り付けられた撃鉄をおこし発火薬を腰から取出し火皿に移したあと銃床を肩にあて射撃の指示を待つ。
敵の歩兵中隊は、ゆっくりと足元の雪をかき分けながら前進している。まだ、敵は樹林の中にいる301大隊に気づいていない。
中隊の右端の秋月の小隊は、敵に一番近く赤色のきらびやかな軍服を着た帝国兵が眼前に広がっていた。
秋月は、腰の軍刀に手をかけながら射撃開始の合図である第一小隊の射撃を待っていた。
そこで、これから始まる実戦に思いを巡らせていた。
自分は正規軍それもこの世界最強である帝国軍に向けて今戦いを挑もうとしている。呼吸が乱れ動悸が激しい俺はおかしくなっちまいそうだ。
そんなことを考えていると恐怖と寒さで歯の根がかみ合わずに震えだしてしまいそうになった。兵に無様なところを見せて戦いを前に士気を下げるわけにはいかない。
秋月の顔は、歯が鳴り出すのを抑えるため食いしばっているので顔が笑っているような表情になっていた。
秋月と同じ不安を覚え助けを求めるように視線を送るすると秋月は笑っているそう見えた兵たちは、勇気づけられ視線を敵に戻した。そんな一連のことが終わったその時
雪崩を打ったように中隊の第一小隊が射撃を開始した。それを聞いた秋月も射撃指示を出す。
「一斉射、うてえええ!」
秋月の第二小隊、それに続けて左隣の第三小隊も射撃を開始した。
展開図
敵 敵 敵 敵 敵 敵 敵 敵 敵 敵 敵
林 ↑ ↑ ↑
第三小隊 第一小隊 第三小隊
(赤坂) (秋月)
引き金を引かれた小銃は、撃鉄を落とされ火花が散る火ぶたが開かれ火花が発火薬を引火させるするとその衝撃を弾丸に伝え弾丸は殺人的なスピードに加速し銃身を飛び出した。その弾丸は、まっすぐと帝国兵へと飛び込んでいった。
しかし、すべてが命中するわけではない、中隊の全力射撃つまりは150個の弾丸のうち命中したのは、半分以下である。
だが不幸にもその暴力の塊を受けた帝国兵は、ただでは済まない。
被弾した個所の皮膚を、肉を、骨を砕かれ真っ白な雪にその血しぶきぶちまける。
あるものは腹を抑えその痛みに絶叫する。あるものは首や頭といった致命的なところに被弾し一瞬でその生命を失う。
奇襲を受ける形となった帝国軍偵察歩兵中隊は、混乱に陥ったが三射撃の装填作業の合間に帝国軍の指揮官が必死に事態を収拾し帝国軍は、落ち着きを取り始めたその瞬間に皇国軍の軽快な音色の喇叭があたりに響き始めた。
「突撃合図だ!総員突進!突撃せよ!」
秋月は、小隊の兵たちに命令を飛ばすとともに軍刀を抜刀した。
そして、第1中隊は人と虎の波となって一斉に駆けだした。
「いけっ 花楓」秋月が自分の愛猫に言った。
すると花楓は場を凍りつかせるような恐ろしい雄叫びを一度あげると秋月を追い抜き速度を速め駆けていった。
他の剣鎧虎も同じように咆哮し兵たちより先に駆け出し一気に帝国兵との間合いを詰めその凶悪な野性を発揮した。
眼前に帝国兵が迫ると剣鎧虎たちは一斉に跳躍し、帝国兵に飛びかかった。
その鋭い剣鎧虎の名の由来でもある上顎から生えている長い牙を帝国兵に突き立て次々と屠っていった。
やっと体制を立て直し始めた帝国軍にとってはまさに悪夢であった。見たこともない魔物たちが現れたかと思うとこちらに向かってあっという間に距離をつめてきて化け物達に戦友たちがもとがどのような形だったかわからないほどぐちゃぐちゃに爪で切り裂かれ、頭を食いちぎられ、瞬く間に雪原は、帝国兵の血に染められて鮮やかな紅白模様になっていった。
奇襲による衝撃から落ち着きを取り戻しつつあったはずの完全に帝国軍は、恐慌状態に陥った。
完全に陣形を崩された帝国軍に第1中隊の兵が殺到する。
まさに理想の鉄虎兵の姿である。秋月もその一員として暴力のあらしの中に身を投じた。
秋月は帝国軍の一団へと突っ込むとそれに次々と兵が続いた。秋月は目の前の少年のような顔をした帝国兵の腹にその鋭い軍刀を切りつける、というよりもたたきつけた。その少年兵の腹はバターを切るかのように切り裂かれその腹に収められていたピンク色の贓物を着ている軍服よりもどす黒い大量の血とともに湯気を出しながら吐き出し足元の雪を彩った。
そしてその帝国兵は、何が起きたかわからないといった表情で自分の腹を見るとその場に倒れこみ絶命した。
「これも戦の定めだ恨むなよ」秋月は、そう少年兵の骸に一言い終えると秋月の後ろから雄叫びをあげながら着剣した小銃を手に帝国兵が突っ込んできた。
秋月は腰の拳銃を取り出し一番狙いやすい胴体に向けて放つと被弾した帝国兵は、腹を両手で押さえながら膝からその場に崩れ落ちた。その隙に秋月は、軍刀を振りおろしその帝国兵の生命を刈り取った。
敵との格闘をいったん部下たちに任せ敵情を確かめるために周りを見渡すと友軍が圧倒し、帝国軍は大混乱ちゅうだ、が20m先の帝国兵は規律を保持している。よく見ると騎乗した将校がいるため指示が行き届いているのだろう。
あれを潰さねばいかん「第三小隊注目!」秋月は、軍刀を振りかざし叫び軍刀で将校の方を指した。「総員我に続けえぇぇ」そう秋月が叫ぶと第三小隊は、新たな獲物へと襲い掛かった。
***
独立鉄虎第301大隊第1中隊と帝国の偵察中隊が激突してからおおよそ30分大勢はほとんど決していた。奇襲され帝国兵にとっては未知の生物鉄鎧虎との白兵戦どこにも帝国軍に勝利する要素はなかったのである。
偵察中隊は、文字通りの“全滅”となったのである。まだ生きている帝国兵に止めを刺す残敵処理を終えた第一中隊は、第三小隊を先頭に摩耗した弾薬や戦力を補給するために大隊へ向けて行軍しようとしているところであった。
その時赤坂大尉のもとに凶報が舞い込んだ。
「大尉後方に敵の騎兵一個中隊相当が接近中と第二小隊から通報です。」赤坂大尉を凍りつかせるには十分すぎる報告であった。
「な、なんだと本当か!?」赤坂大尉は、己の間違いに気づいた敵は一個中隊ではなく二個中隊であるということしかもタイミングが最悪だ敵にケツを向けて行軍体系である縦隊になっており相手は、分の悪い騎兵であるおまけに戦闘後どこにも救いがない。
しかし、事は迫っているやらねばならない中隊150名の命は果たしの双肩にかかっている。
展開図
進行方向← 第三小隊 第一小隊 第二小隊 敵騎兵中隊
今回は戦闘回です。結構力を入れたつもりですがいかがだったでしょうか。
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