第二話 接敵
時間ができましたので、早いですが投稿いたしました。
鉛色の空の下真っ白な絵の具をぶちまけたような味気ない大地、すべてが雪に覆われた世界の中そこに細い街道が走っていた。
その道の左右の針葉樹の林の左側に白い貫頭衣のようなものに身を包んだ一団があった。
その中の2メートル半ほどあろうか一際大きな動物が人間達とともに息をひそめていた。
サーベルタイガー(剣鎧虎)それは、そうこの世界において呼ばれる動物たちである。
ロニア帝国が存在する大陸や他大陸では、はるか昔に絶滅してしまっているこの種は、皇国の存在する四州列島においては数多く生息しているのである。
それを皇国軍は、兵器として軍に組み込んで誕生した兵科が鉄虎兵なのである。
サーベルタイガー鉄鎧虎は、非常に感覚器官が優秀であり訓練すればその獲物を捕らえるための強力な肉体で、白兵戦までしてくれるのだそれを見込んで皇国軍は鉄虎兵を採用したのであった。
その新兵科で、編成された鉄虎兵大隊第301大隊は友軍主力を南の撤退地点に撤退させるために殿として戦場であった多治見平原の南に流れる秋田川に架かる小野寺大橋の防御をしていた。
そのうちの第一中隊は追撃してくるであろう帝国軍の先鋒を見つけるために、斥候として大隊の前面30km地点に存在していた。
秋月中尉は、その第一中隊の一員として愛猫(皇国では愛称としてサーベルタイガーを猫と呼ぶ)である“花楓”とともに街道をじっと見つめ伏せた状態でいた。
同じような姿勢をした剣鎧虎や兵たちが秋月の両隣幾人もいた。
すると花楓が突然その大きな頭を持ち上げしきりに鼻を鳴らし始めたかと思うとある一点を見つめグルルルと小さく唸りだした。
「花楓敵を見つけたのか」秋月は、自分の剣鎧虎に話しかけた。
そして、自分の懐にある望遠鏡取り出しその位置を見るがただ雪原が広がるだけで何も見つからない。
おそらく視認できない位置から花楓が反応するってことは、獣の匂いを放つ馬を多く連れている騎兵だろうなと思っていると後ろの伝令兵から声をかけられた
「秋月中尉殿、中隊長の赤坂大尉がお呼びです。」
「わかったすぐ向かう案内しろ 誰か花楓を見といてくれ」
そう秋月が言うとその伝令兵とともに赤坂大尉のもとへと向かった。
要件はおそらく偵察状況のことだろうあの花楓の様子から敵は近いなそんなことを考え自分の持っている地図に花楓が見ていた方向にしるしをつけた。
大隊本部の軍議で聞いた敵の配置や状況から考えてまず帝国軍の先鋒が接近していることは間違いないだろうと秋月は思っていた。
秋月は、中隊長である赤坂大尉のもとへと到着すると事の次第を報告した。
「自分の剣鎧虎が敵を察知しました。北北東に敵騎兵です。」
「確かかそれは?」赤坂大尉は少し疑ったような顔で尋ねた。
「うちの花楓は、優秀です。大尉殿も剣鎧虎の優秀さはご存知でしょう?」
と秋月は、答えた。
「ふん、親ばかというわけか第一俺は、歩兵科出身だ それほど剣鎧虎の事は知らんが索敵が買われて採用されたのだからな無視するわけにもいかんか」
不機嫌な顔で答えた。
「おい、魔道通信兵をよべ大隊に報告だ」そう大尉が言いかけた時と同時に伝令の兵士が駆けこんできた。
「た、大尉殿、大変です。敵の歩兵一個中隊を確認しました!」伝令兵は、よほど急いだのか息を切らせながら赤坂大尉に伝えた。
「なんだと?敵は、まだ遠くじゃなかったのか!?秋月どういうことだ」赤坂大尉は秋月を問い詰めた。
「おい敵の方角はどこからだ」伝令兵に秋月は、尋ねる
「北北西からです」
なるほど秋月は、心の中で納得した。 今の風上は北北東だ強いにおいを放つ騎兵の歩兵の匂いがかき消されていたのだろう。騎兵も接近している以上後退して大隊主力と合流すべきだと言おうとすると
「言い訳は、後にしろ ここを通すわけにはいかん全小隊に、合戦用を伝達しろ。秋月貴様も自分の小隊に戻れ」
赤坂大尉は、秋月の言葉を聞かずに言った。それを聞いた伝令兵が各小隊に伝えに三方に分かれ走って行った。
壮絶を極める独立鉄虎兵第301大隊の戦いは始まった。
次回は戦闘回です。感想・アドバイス等々お待ちしております。