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第1話 出会いと契約

本編より5年前


「おねえさま!起きてください!朝ですよ!」

「もう少しだけ……寝かせて……」

「起・き・て・く・だ・さ・い!」

毛布をひっぺがされた……寒い 「んー……」

目を擦りながらゆっくりと体を起こしていくと、目の前には頬を膨らませた少女が居た。

黒髪のショートカット、キラキラした緋色の瞳、あどけない顔付きの少女

彼女は織嶺凪沙、私の妹である。

「やぁっと起きた!遅刻しちゃいますよ!本当、寝起きが悪いんだから……」

「起こしてくれてありがとね」

凪沙の頭を撫でてあげた、ふわふわで気持ち良い。

「んーっ……っておねえさま!こんなことしてたら遅刻しちゃいます!早くご飯食べて学校に行きましょう!」

「ええ」

手早く着替えをすませ、歯磨きをしてリビングへ向かった

「おはよう、お父さん、お母さん」

「おはようございます!」

「ああ、おはよう礼美、凪沙」

リビングへ行くとお父さんはコーヒーを啜りながら新聞を読んでいた。

「おはよう、今日はちゃんと起きれたのね」

料理をしながらお母さんがそう言った。

「むー……私だって来月で中学生なのよ!」

「ははは、さて皆揃ったわけだしご飯食べようか」

「うん!」

そう言って二人がテーブルにつくと、今日の朝食が並んでいた

カリカリのトースト、新鮮な野菜を使ったサラダ、そしてジューシーなベーコンと半熟の目玉焼き

どれも私の好物だ

「んー、美味しいです!おかあさん!」

「目玉焼きとか特に!」

「あらあら、そういってくれるとお母さんも作りがいが有るわ」

笑いながらそう言った。

「あ、そろそろ学校行かなくちゃ!行こう凪沙!」

「ええ、行ってきます」


「言ってらっしゃい、凪沙、礼美」

「道中気を付けてな」



こんな毎日が続けば良いなって思っていた。

この時はまさかあんなことになるとは思いもしなかったのよ……


「お母さん!お父さん!凪沙!」

燃え盛る屋敷、少女の悲痛な叫びが響き渡る


5歳の誕生日の時に貰った熊のぬいぐるみ、家族で取った大切な写真

燃える、燃える、全て紅蓮の中に消えていく……

そして目の前には血溜まりに立つ一人の男が居た


「お母さん……お父さん……凪沙……どうして……どうしてこんな事をしたの……貴方は誰なの?……答えなさいよ!」


「どうしてだあ?そんなの決まってるじゃねぇか、楽しいからだよ」

赤い男は薄ら笑いをながらそう言った

「ってなワケだ…てめぇも消し炭にしてやるよォ!災禍〈マガツ〉アグナッ!」


男の手から青く巨大な炎の弾が射出された。

死の恐怖が段々と近づいてくる。


(私、こんな所で死ぬの?……まだ何もしてないじゃない…まだ何も始まってないじゃない…こんなあっけなく終わってしまうの?…嫌よ…死にたくない…)

「こんな所で死にたくなんか無いッ!」

炎弾が当たる直前、礼美の耳に優しい声が聞こえてきた

「ふぅん、気に入ったわ!」

辺りに凄まじい音が響き渡る。


「ここは…どこ?」

一言で言うならば赤い部屋だった。

赤い絨毯、部屋に敷きつめられた薔薇の花弁、そしてなにより目を引くのは中央に置かれた赤い玉座だった。

そこには白い少女が座っていた。

銀に輝く髪、透き通るような白い肌、そして引き込まれるような黄金に輝く瞳、現実離れした見た目の少女だった。

「ようこそ、アタシの世界へ」

「アタシの名前はミラ、貴女の世界で言うところのヴァンパイアよ」

「ヴ、ヴァンパイア⁉︎って私はどうなったの⁉︎私の家族は⁉︎あの男は⁉︎」

「少し落ちつきなさい」

「でも!」

「一度しか言わないわよ、アタシと契約しなさい。私なら奴と戦う力をあげられるわ。」

「正直わけがわからないわよ、どうしてこんな事になっちゃったのか……私は力が欲しい、アイツと戦える力が欲しい、家族を…私の大切なものを奪ったアイツを絶対に許せないから…私は契約するわ!」

「契約成立ね」

周囲に散りばめられた薔薇の花弁が少女を包み込んで行き、収まった時には一振りの紅い剣が残されていた。


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