prologue
静寂と闇に包まれた静かな夜、頭上には赤い月が怪しく輝いていた。
「そろそろね…」
美しく、透き通った声が辺りに響く。
声を発したのは美しい黒髪、紅玉のような瞳、長いコートに銀の十字架のペンダントを着けた少女だった。
彼女が目を閉じ、また開いた瞬間
目の前の空間が歪み、突如として『奴ら』は現れた
獣のような体毛、鬼のような角、見ているだけで吐き気を催す姿
まさしくそれは悪魔だった。
「さてと、いくわよ…ミラ」
「OK!やっとアタシの出番ね! 」
どこからともなく声が聞こえてきたと思ったら、地響きと共に地面から紅い剣が生えてきた
紅い刀身、紅い柄、紅い宝玉
見事なまで紅かった。
紅装ブラッディストレングス
それがその剣の名前だった。
「敵は…4体ね!さくっとやっちゃいましょ!」
「ええ!」
少女は剣を持ち、一直線に悪魔に突っ込んでいく
「■■■■■■ーッ!」
悪魔は叫びながら爪を降り下ろす
少女はそれを避け背後に回り剣を降り下ろす
「やぁぁぁぁぁっ!!」
叫びと共に悪魔は一刀両断され、血を吹きながら崩れ落ちた
すかさず二体目、三体目と流れるように斬り捨てていく
「最後は貴方よ…解放〈リベレーション〉カズィクル・ベイ!」
「OK!残さず吸い付くしてあ・げ・るっ!」
その叫びに呼応してブラッディストレングスの形状が光を帯び変化していき
変形を終えた時には真っ赤な杭が付いた籠手に変化していた
「これで終わりよっ!」
一呼吸おき、悪魔に杭を突き刺し、射出した
みるみる相手が干からびていく
「ご・ち・そ・う・さ・ま・で・し・たっ!」
杭を引き抜くと同時に相手は木っ端微塵に砕け散った
「…お疲れさま!」
「ん、ありがとう」
黒髪の少女は顔に付いた血を拭きながらそう言った
「貴女、最初の頃と比べたら本当に強くなったわねぇ、アタシも魔装として誇り高いわ!」
「だって毎日戦ってるもの、強くもなるわ」
「それもそうね、そろそろ帰りましょうか」
「ええ」
そう言いながら黒衣の少女は闇の中へと消えていった