初登校
そうだ、学校へ行こう
今日は五月二十五日。
この日は昨日まで、特別な日でもなんでもなかった。
それが、ジジィのせいで……!!
『あきらめて、学校行くよろし』
思い出しただけでムカつく……!!
別に俺が不登校な奴ってわけじゃない。それどころか、卒業までしてる。
なのに、なのに……!!
「ジジィ……!!マジでぶっ殺す……!!」
「あの人、何言ってんのかしら?怖いわ……」
ヒソヒソ……
俺の発言を聞いた周囲がなんか言ってる。
俺は、宇條学園へ向けて登校途中だったことを忘れていた。
「はぁ……」
こんなんじゃ、先が思いやられる……。
side 佳澄
私は今日も、うるさい人に付きまとわれている。
「佳澄さん!!今日も変わらず美しい!!」
「……ありがとうございます」
うるさい人っていうのは、本永 慎二さん。
本永建設会社っていう、大企業の御曹司らしい。
「どうでしょう?今週末、一緒に遊びませんか?」
「いえ、今週末は……」
ホント、毎回同じ話ばかりでつまらない。
「そうですか……残念です」
「すいません」
「いえ、いいんです!!それより、今日は転校生が来るらしいですよ?」
「そうなんですか」
そう言っているうちに、自分の教室に着いた。
本永さんも同じクラス。こんなこと思ったらいけないんだろうけど、違うクラスがよかった。
「しかも、このクラスらしいですよ」
「そうなんですか」
基本、この人の話は聞き流してる。
私に近づく男の人は、全員私じゃなくて、会社の財産目当て。
そんな人達の話はホントにつまらない。
キーンコーンカーンコーン
「おぉ、ホームルームですな。それでは、また後ほど」
「……はい」
担任の先生が入ってこられた。
「お前ら席につけ。今日は転校生がいる。入ってこい」
ガラッ
「失礼します」
そう言って入ってきた長身の男の人。
一瞬私と目が合ったような……?
side out
俺は今、担任になる先生の後ろを歩いている。
「ここが、君のクラスだ」
「二の四ですか」
「あぁ。呼んだら入って来てくれ」
「分かりました」
はぁ、ついに戻れなくなってしまった……。
どうして、また面倒な授業を受けにゃならんのだ。
「入って来てくれ」
早いな。
「失礼します」
ドアを開け、教室の中に入ると誰にも気付かれないように、辺りを素早く見渡した。
教室の一番後ろの窓際に座っているのが、戸部佳澄か……。
「自己紹介を」
「はい」
俺は、黒板に自分の名前を書いた。
「遠城 秋良だ。よろしく」
「では、あそこの席に」
「はい」
俺の席は戸部の隣だった。
ジジィ、こんなとこまで手を回してやがったか……。
「よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
なんだか、丁寧な奴だな……。
「それでは、連絡をしようか」
ホームルームが終わり、一時限目まで十分程休憩がある。
「あんた、名前は?」
とりあえず、名前を聞いておこう。初対面なんだし。
「戸部佳澄です」
「戸部佳澄ね、覚えた。佳澄と呼んでも?」
「え、えっと、いいですけど」
「俺の事は秋良と呼んでくれ。名字は嫌いでな」
「そうなんですか?」
「あぁ」
そんなことを言ってると、突然俺は後ろに引っ張られた。
「私の佳澄さんに、貴様みたいな平民が気安く話しかけるでない!!」
「うお!!うるせぇな……。つか、平民って」
「別に本永さんの物ではありませんが」
「佳澄さん!!大丈夫ですか!?」
「あの、ちょっと、近いです」
「おい、あんた。佳澄が嫌がってんだろ?」
とりあえず止めに入ったものの、本永とかいう奴がホントめんどくさい。
俺を睨み付けてるし。ケンカ売ってんのかなぁ?
「貴様、平民の分際で邪魔をするなら容赦はしないぞ?」
「つか、さっきから平民、平民うっせんだよ」
「なんだと?」
「うざいんだよ、そういう家柄にとらわれてる奴はよ」
「おのれ!!貴様!!」
「めんどいな、ホント」
「ならば、決闘だ!!」
そう言って、本永は校章を取り出し、机の上に置いてきた。
「決闘システムを知らんとは、言わせんぞ」
「わぁってるよ」
俺は校章を重ねて置いた。
某マジ〇!!の決闘システムをいただきましたw