表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
87/209

その14 裏切りの凶弾

 P6指令室。

「先程の爆発は敵のSCの何台かが爆発した様子です。」と柳沢。

「司令!先程の爆発で、キーンさんらが負傷してます!」と我妻。


「えっ・・・?」松井がキーンの名前にいち早く反応した。

「死傷者多数!特にキーンさんは重症!!」

「そうか・・・すぐ救助隊をあてろ!」


「そんな・・・嘘です・・・キーンさん・・・」松井は混乱した。

「キーン・・・」嘆く弘士。

「司令!第14車両シャフト!間もなく地上です!」と柳沢。

「地上部隊!!いいか!奴等を逃がすなよ!!」



 シャフト内のヒデと兵士たち。シャフト内のエレベーターが止まり前方の扉が上に開き始めた。

「行くぞ!」とヒデ。

「腹はくくったぜ!」と他の兵たち。


 すると、前方に見えて来たのは銃を構える、15名程のポリス兵だった。ヒデは驚いて周りを確認するが、建物の上や左右の道路すら銃を構えた兵で一杯だった。

「くそっ!!」

 後部座席の兵士たちは、銃を構えた。

「抵抗するな!蜂の巣だぜ・・・」

 するとヒデらは観念してSC内で両手を上げた。ポリスの兵らは銃を構えながら、ヒデの乗るSCに恐る恐る近寄った。



 P6指令室。

「シャフト内、敵兵3名確保!」と我妻。

「うん・・・しかし数が合わんぞ!館内どうした!?松井?」

「・・・は、はい・・・ロク、ダブル隊共に連絡ありません!」

「バズー隊同じく連絡なし!」と我妻。

「松井?地上部隊の半分と地下護衛隊を地下3階に導入する!」

「了解!」

「敵が侵入した!?地下にか!?」とある兵。

「こちらのも同じ報告です!詳細は不明!地下から迎撃に出た兵が全滅!!」と我妻。

「柳沢?前司令と曽根参謀らは?」

「地下3階の非常口近辺で負傷者の手当てをしてます。」

「そうか。地下のモニター監視怠るなよ!まだ館内に敵兵が潜んでいるぞ!!この階の指令室のドアにも電流を流せ!」気を引き締め直す弘士たち。弘士は左手で腰の銃を抜くと席を立ち、ドア付近に狙いを定める。



 地下3階SC倉庫内。タケシが、無防備な直美に銃口を向けて関根と対峙している。

「逃がすと約束したじゃない!」

「たった今、事情が変わったのさ・・・」ニヤリとするタケシ。

「くそ!」


 関根は、捨て身で直美をかばってタケシに体当たりを掛けた。しかし、タケシは関根に発砲し、関根は腹を押さえてその場で蹲った。

「いやっー!!」関根が倒れたのを見て、直美は叫んだ。



 ロクはその時、微かな銃声を聞いた。すぐロクはインカムを使い指令室に無線を飛ばした。

「こちらロク、倉庫内で銃声。そちらに向かう!至急応援を!」

『了解!』と我妻の声。

「23ブロックの備蓄倉庫に桑田が負傷!誰かまわしてくれないか?」

『桑田無事でしたか・・・分かりました!』安堵に変わる我妻の声。

「頼むぞ・・・」


『そ、それとロクさん!』我妻は思い出したかのようにロクに叫ぶ。

「何だ!」

『キーンさんら地上で爆発に巻き込まれ・・・重症・・・』

「キーンが!?」

『詳しくは連絡が来てないのですが、片足が・・・』

「嘘だろ・・・キーンに限って・・・嘘だろ!なあ?嘘だろ?我妻・・・?」我妻の結末を言わない報告にロクは焦る。

『ま、また分かり次第連絡します。そちらに兵を送ります。ロクさんも気をつけて下さい・・・』

「わかった・・・」



 地下3階廊下。桑田は自力で廊下を医務室に向かって歩いていた。途中、タケシ隊とポリス隊が銃撃戦をした非常口付近を通る。

「ジプシャンの兵か?」


 そこには、銃撃戦で倒れたのであろう、ジプシャンの兵が3名程倒れていた。3名とも既に息はない。桑田はそれを見て見ぬ振りをして、そこを通り過ぎた。そこに桑田をつける黒い影があった・・・



 地下3階SC倉庫内。直美が関根をかばって、タケシから守ろうとしている。

「この子だけは、逃がして・・・約束でしょ・・・」虫の息の関根。

「こいつらは俺を裏切った!!」

「どう言う事よ!?」


 すると直美がタケシに向かって吠える。

「裏切ったんじゃないわ!もうジプシャンが嫌になっただけよ。だから父と逃げたのよ!」

「同じ事だ・・・」


 タケシが直美の頭に銃口を向けた。

「やめてぇー!」

 目を瞑る直美・・・次の瞬間、一発の銃声が倉庫内に響いた。目を開ける直美。目の前には、タケシの拳銃は床に落ち、タケシが手の甲を押さえている姿があった。

「またかよ・・・次から次へと・・・」とタケシ。


 タケシは銃声のあった方向に顔を向ける。そこにはポンチョコートにハット姿のポリス兵の姿があった。ハットに隠れ顔が見えない。タケシは先程のでかい兵かと思ったが、別人なのに逆に驚いていた。タケシについて来た、早坂がそのポリス兵に向かって慌てて銃を向けた瞬間だった。再び銃声が聞こえた。早坂はは肩口を撃たれ後ろに飛んでしまう。


「あらら、すまんな。今日は調子が悪い・・・」


「ロク・・・?」

「ロク?」直美と関根はすぐロクだと気づいた。


 ロクは、ハットを上げてタケシを睨み付ける。

「誰だ、今度は?」とタケシ。


 ロクはタケシに向かって銃口を向けた。

「ストラトスのタケシか?」

「・・・だとしたら?」即答しないで間を空けて答えるタケシ。

「なら、何度も荒野で逢ってるぜ!」

「き、貴様・・・雷獣か・・・?」余裕のロクに対して顔色が変わるタケシ。更に動揺したのかタケシの声は裏返った。


「お前が・・・あの雷獣なのか?」

「さあな・・・」

「ん?どこかで一度見たツラだな?」

「ああ、一度な。P4のお前らの司令室・・・あの時の、小火ボヤ覚えてるか?少女兵が消えたのを?」


「あの時のガキか?下手な猿芝居打ちやがるな!」

「覚えてたか?その猿芝居に騙される方もどうかと・・・?」

「で?・・・何モンだお前は!?」


「俺かい?俺が四天王・・・P6の四天王のロクだ!」


「し、四天王・・・!?」と直美。


「四天王だと?ふはははっ!やっと逢えたな?」

「何だと!?」

「ふっ・・・」

 すると、タケシは隠し持っていたサバイバルナイフを取り出し、直美の後ろに回り込んだ。


「なに!」驚くロク。

「直美!」と関根。


 タケシは左手で直美の首を絞め、右手で直美の顔にナイフを突きつけた。

「くっ・・・」

「直美・・・」

「雷獣!銃を捨てろ!さもなくばこの女を殺す!」

「野郎・・・」



 桑田は薄暗い廊下を一人歩いていた。やはり後ろには黒い影が桑田をゆっくりと後をつけていた。その影はジプシャンの使う拳銃を桑田に向けていた。桑田はそれに気づく事なく前を向いて歩いて行く。

 その時だった。一発の銃声が聞こえた。その銃声は狭い廊下に響き渡った。しかし、桑田の耳にはそれは聞こえなかった。桑田は今まで感じたことがない痛みを感じていた。周りの風景だけがスローモーションで流れ、気が付いた桑田の目に映っていたのは廊下の床の部分だった。


『う・・・撃たれた・・・のか?』

 床には大量の血が流れ出した。桑田は、倒れて初めて自分が撃たれたのに気が付いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ