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四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
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その9 なつみVS女スパイ

 P6指令室。

「西住居街で爆発確認!」と柳沢。

「確認させろ!松井?ダブルは?」と弘士。

「はい!敵を追って北ブロックに向かってます!」

「街から奴らを出すなよ!」

「こいつら、やはりポリス内の侵入を狙ってないか?」と久弥。

「そのための車だけの突撃・・・しかしここを押さえるにしては数が少なすぎます!」

「各員、銃を携帯!曽根!銃を持て!上の88に行くぞ!」と久弥が曽根に声を掛ける。

「は、はい・・・」

「艦内の兵にも告ぐ!敵の地下侵入もありうる!各員戦闘配備!白兵戦用意だ!」



 P6北ブロック軍事施設。タケシらは、発炎筒の煙が昇るある場所に到着した。ポリスの兵も集まり始め、銃撃戦となっていた。タケシらはSCを盾に応戦する。しかし、ポリス軍は続々と応援が集まってくる。

「キリがない・・・おい!」タケシは石森に合図を送る。

「はい!」


 石森は味方のSC1台を無人とすると、手榴弾を4、5個のせ自動で走らせた。SCは建物に隠れて応戦しているポリス兵に突っ込んでいく。SCは巨大な爆音と共に爆発炎上した。ほとんどのポリス兵が吹き飛んでしまう。

「丸田!お前の装甲車で大きい道を塞げ!こっちの道はSCを当てろ。この区域を封鎖せよ!」とタケシ。

「はい!」

「ヒデ!お前らはここを死守せよ!」

「はい!?」驚くヒデと丸田。

「15分でいい。ここを頼む!」

「タケシ様は?」と丸田。

「ポリス内に入る。」

「はぁ?」

「15分耐えたら、装甲車で脱出するんだ。いいな古川に戻れ!」


「案内はいりますか?」突然ヒデがタケシに詰め寄る。

「どういう事だ?」

「こいつ、ここ(P6)の出なんですよ。」と丸田。

「中にも入った事はありますよ。どこに行くのか知りませんが道案内くらいは・・・」


「いいだろう!ヒデ、一緒に来い!」

「分かりました・・・丸田後は頼むぞ!」

「お前こそ死ぬなよ!」

「女、子供を頼む!」

 ヒデと丸田は固い握手を交わした。


「おい!ここからはSCを捨てて行くぞ!」

 タケシは自ら武器を掴むとその発炎筒の煙が上がる建物に近づいた。煙が出てる建物は人が乗るエレベーター。扉が壊れていて左右に開いている所から煙が立ち込めていた。


「ヒデ!ここは深いのか!?」とタケシ。

「地下3階ですが、50メートルはあります。」

「エレベーター用のワイヤーを使って降りる。」



 桑田は階段を走っていた。地下3階の廊下まで上がると、薄暗い廊下を走り出していた。すると地上から繋がる第88エレベーターの附室にいた。附室内は暗く、奥のエレべーターで発炎筒の光だけが炎の光で照らされているだけだった。桑田は直感で思った。


『この暗いエレベーター附室内に誰かいる・・・』

 桑田は腰の拳銃に手を掛け、ロクの言葉を思い出していた。



 ポリス内室内射撃場。ロクが桑田の銃の腕前を見ている。

「遅い、遅い!」とロク。

「狙いは、いいでしょ?」


 的の中心寄りに弾痕があったが、言い訳気味のなつみの言葉。そして諦めを感じたなつみの口癖だった。

「正確に撃つんじゃない!今日はそんな訓練じゃない!あれじゃ遅いんだよ・・・今のタイミングじゃお前撃たれてるよ・・・」

「だって・・・」

「目で撃つんじゃないんだ・・・なんて言うか・・・体や肌で撃つって言うか・・・」


「肌?」

「頭で考えてたら駄目だ。遅い!撃たれてる。もっと頭を空っぽにしてみろ!」

「無理ですよ。ロクさんらのレベルなんて・・・」

「ならこうならどうだ?」


 ロクは射撃場の照明を切ってしまい、真っ暗にしてしまう。

「何にも見えないじゃないですか!」

「的だけをこっちに近寄せる。それを耳で聞き分け、動く的を撃ってみろ。いいか?耳をよく澄まして体で感じるんだ!」


「耳で・・・?ですか・・・?」

「いいか?行くぞ!」

「・・・は、はい!」


 暗い中、的がこちらに向かって来る音が聞こえてくる。桑田は拳銃を構え、音のする方に拳銃を3発程発砲した。ロクは射撃場の照明を付け直す。すると、こちらに戻って来た的には3つの穴が開いていた。的のほぼ真ん中だった。

「おおっ!見ないで真ん中じゃないが、お前凄いじゃないか!」

「ま、まぐれですよ・・・」

「お前、銃のセンスあるんだよ。」

「そんな・・・」


 珍しくロクが褒めてきたので照れる桑田。

「よし!もう一回だ!」

「お願いします!」

 練習を繰り返す2人。



「肌で感じる・・・敵と呼吸を合わせる・・・自分が空気になる・・・練習を思い出せ・・・」

 桑田は附室の入口で、ロクに教わった事を声に出して確かめていた。すると桑田は、拳銃を抜くこともなく気配を消すように一人暗い附室内に入っていく。


『呼吸、呼吸、呼吸・・・』

 桑田は暗い附室の中央で立ち止まった。発炎筒の炎が消えようとしていた。微かに照らす炎の明かりが桑田の顔を闇に映し出していた。桑田は目を瞑っていた。桑田は何かを悟ったように目を開ける。


「そこ!手を上げなさい!」

 桑田は附室の一番暗い部分に、初めて拳銃を向けた。そこに人の気配はない。



 第88エレベーター地上部分。丸田とタカが乗った装甲車の20ミリ機銃がポリス兵やバイク隊に火を噴く。現場に一番最初に到着したのは、キーンだった。キーンはバイクでこの装甲車に近寄ろうと試みるが、自分のバイクに銃撃を喰らってしまう。エンジン部分を貫通したのか、キーンのバイクは爆破してしまう。キーンはバイクから転げ落ちる。

「くそっ!!」


 するとキーンの後方にバズーのアシカムが停車する。バズーはすぐキーンの傍に近寄った。

「キーン!大丈夫か!?」


 両足に怪我を負ったキーン。出血している。

「声でかいんだよ!足を少しやられただけだ。歩ける!気にするな!それよりあの装甲車を・・・」


「なら、俺のバズーカで・・・」

「20世紀の骨董品だが、装甲の厚さでは定評はある!お前の火器じゃ効きやしないぞ!」

「じゃあどうする?」

「・・・」キーンは黙ってしまった。



 その頃、ロクとダブルはキーンの反対側の封鎖された道路にいた。

「ロク?」とロクに合流するダブル。

「よう!様子は?」とロク。

「88を押さえられた。敵は約20名。お前・・・撃たれたのか?」


 ダブルはロクの脇腹から出血しているのを見つけた。

「傷口が開いただけだ・・・それより敵の狙いは何だ?地下にでも入ろうっていうのか?」

「さあな・・・?俺が囮になる、お前の銃なら・・・俺があの上の建物から乱射する。そこを狙え!」


「問題は、装甲車だな・・・」とダブル。

「上の20ミリ弾は厄介だな・・・なんせ建物の壁を貫通しやがる・・・」

 互いに言葉が続かない二人。



 桑田は、人気のない闇に向かって拳銃を構えていた。

「隠れても無駄よ。出てきなさい!」


 すると暗闇の中から、人一人が歩み寄ってくる。徐々にその姿が見え始める。黒ヘルメットに、黒の皮のライダースーツ。明らかに女性のスタイル、右手には拳銃を握り、桑田を狙っていた。桑田も距離を取り暗闇へと身を潜める。


「銃を置きなさい!そしてヘルメットを脱ぎなさい!」

 観念したのか、ヘルメットを脱ぐ女。

「他の兵なら撃ち殺していたわよ・・・なつみ・・・」

「やっぱり、あなたが・・・」驚くなつみ。



 第88エレベーター地上部分。タケシがエレベーターのワイヤーを掴み下に降りようとしている。先程までではないが、煙も少なくなりやや視界が良くなったが、未だ一番下が見えない状態だった。早坂らが心配そうに見ている。

「煙で底が見えないじゃないか・・・」

「ここは隊長らしく、俺が行くぜ!」

 するとタケシはワイヤーを持ち下へ勢いよく降りていく。



 P6指令室。

「シャフト内、敵兵確認!」と柳沢。

「地下に侵入されたのか!?」 と慌てる弘士。


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