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四天王  作者: 原善
第四章 住所のないラブレター
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その7 聖と死龍

 今から一時間前。

ポリス地下6階ポリス専用医療室にロクの姿があった。ロクは人目を気にしながら聖のベットに近づいた。

「お、お前・・・大丈夫なのか・・・?」ロクの姿に驚く聖。

「ああ・・・頼まれてくれないか?」

「あたい?」

「そう・・・ゆっくり俺の後ろを見ろ・・・」

 ロクの目線の先には、警戒で兵一人が警備する隔離房があった。


「ああ、さっき仮面の女が兵に入れられていたね?」

「しっ!」ロクは人差し指を口元に出す。

「えっ・・・?」


 2人は更に小声で話し始めた。

「今、戦闘配備中だ。だからエレベーターは使えない。兵士の交代は階段での移動となる・・・」

「はいはい・・・」

「こういう場合、兵の交代が曖昧になり、ここの見張りの兵は3分程ここを離れる。」

「あたいに脱走の片棒を担がせるき?冗談はやめて!無理よ、無理無理、絶対無理!」

 聖はロクの話を聞かないように、両手で耳を塞いだ。


「ドアのロックを開けるだけだ。後は死龍の好きなようにさせるんだ。」

「し、死龍ってあの女支店してん王の!」

 大声になった聖に対してロクが再び静かにのポーズ。

「支店王じゃない。四天王な・・・」呆れ顔のロク。

「見つかったら?」

「ここ?お風呂ですか?とかとか?ってかわいく演技したら大丈夫だと思うの・・・?」

 ロクは指を自分の頬に当て、可愛く演技してみせた。


「きもっ・・・私、銃で撃たれるの嫌よ!」

「なんとか・・・して?」

「して・・・って!私メリットないじゃん!」

「逃げたきゃ、ここ逃げていいしー!」

「うーん・・・ここのベット気に入ったのよねぇ・・・」

「頼むよ・・・」

「じゃあ、今度添い寝してもらおうかな?」

「なんとかする。」少し照れて答えるロク。

「ほんと?」

「ほんと・・・」ロクは目を潤ませ聖を見つめる。

「もーう、ほんとだからね!?」

「ほんとだ!」困るロク。


「もう・・・はいはい!するよ!すればいいんでしょ?・・・で?私はどうするればいいの?」

「これIDカード。」

「わかったわ!」

「頼むな。次の見張りの交代は5時だ。」

「もし見つかりそうになったら、あんたの名前とこのIDカード出すからね!」

「いいぜ。」

 ロクはそう言うと急ぎ聖の部屋から出て行った。



 ポリス地下3階通路。T字の通路に聖と死龍が身を潜めていた。周りには誰もいない様子。

「誰もいない・・・行くぞ!」と死龍。

「ええ・・・」

「で?どうしてお前も連いて来たんだ?」

「わかんないわよ!」

「ふっ・・・」

 死龍は呆れていた。その顔が聖の勘に障る。


「あのっ・・・!?」

「何?今は大声出すな・・・」

「その仮面被んないとまずいの?」

「なんで?」

「逃げるのにその格好じゃ・・・凄く目立つよね?」聖の口調が変わった。

「そう言うあんたに、言われたくないわ。」

「どういう事?」

「ピンクの医療着に顔面包帯姿。あんたの方が倍も目立ってるわよ。」

「あの・・・さっきからあんた、あんたって・・・顔見えないけど、あんたこそそもそもいくつよ?」

「は、はたちですが・・・何か?」躊躇する死龍。

「えっ?年下じゃない!」

「だから何!じゃああんたいくつよ!?」

「21です~!」

「大して変わんないわね・・・」呆れる死龍。

「1つ違えば大違い~!」

「もーう!イチイチ勘に障るわね。ロクもなんでこんな奴に脱走を手伝わせたのかしら?」


「あら、妬いてるの?私たちの事?じゃあ、また地下に戻る?」

「うるさいわね。じゃあ連いて来ないで!」

「じゃあ、ここでぇ~!」

「ああ!もう!」聖の態度に床を踏みつける死龍。

「最後に・・・」死龍を呼び止める聖。

「何よ!まだ用?」

「ヒデって小さい時、どんな奴だった?」

「あんた、ヒデを知ってるの?」

「まあ・・・」不安そうな聖。



 P6北ゲート付近の荒野。キーンが自分の三輪バイクから敵SCに飛び移り、ソードライフルで敵ドライバーを刺す。なにかリモコンのようなものにスイッチを入れると離れたバイクが近づいてきて再び自らのバイクに飛び移った。その様子をジャガーストームから見ているダブル。

「おうおう・・・キーンよ・・・もう若くないんだからさぁ。無茶するなよ・・・」


 しかし、キーンの顔は戦場で誰よりも輝いていた。キーんはバイクで近づいては、敵のジープタイプの後部機銃兵を叩き切っている。

「戦闘はやっぱ、こうでないと・・・」



 ポリス地下3階から地上に続く非常階段。死龍と聖が登る。

「逃げてどうするのよ?」と聖。

「さあね?ロクに聞いてよ。」と警戒してる死龍。

「ポリスに居られなくなちゃうでしょ?」

「私の心配しないで、自分の心配しなさい。」

「へいへい・・・」

「砲撃が止んだのか?」地上が近づいたのか、死龍は階段上の様子を耳で伺う。

「街、また攻撃されてるの?」

「ヒデは、危険な奴よ・・・」

「えっ?」

「ここでいいわ。この先は危険よ。地下に戻りなさい。」

「なぜ、ヒデはここを脱走したの?」

「さあね。もう語りたくないの・・・ごめん。」

「うっ・・・四天王に頭下げられた・・・」死龍の突然の行動に戸惑う聖。

「ロクに伝えて。ありがとうって・・・」

「わかったわ!」

「じゃあ行くわ・・・」

 死龍は走ってポリスの住居街を走って行く。



 P6指令室。

「敵SC隊の何台かは北ゲートに侵入!」と柳沢。

「何してるんだ!?」

「数18台。街の四方に展開!ストラトスはこれに入ってません!」

「住居街に入れさせるなよ!道路封鎖だ!」

「山猫もポリス内に入りました!」と松井。

「後退した敵艦は?」と弘士。

「妙です!既に射程距離外に離れつつあります!」

「桑田!地下の出入口、エレベーターを全て封鎖しろ!」と久弥。

「す、全てですか!?了解!しかし地下を攻めるには数が少な過ぎませんか?」

「ならなぜ敵は街に入った?」

「それは・・・」答えが出ない桑田。

「北ゲート!ストラトスです!」柳沢が叫ぶ。

「何っ!」

「来たか・・・?タケシ・・・」顔をしかめる久弥。


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