その2 隔離房
P6指令室の中央スクリーンに映し出されたのは赤外線映像で撮影された巨大な砂埃だった。
「何だこれは!?」
「15分前の静止画です。距離不明。敵古川基地方面と思われます。」
「レーダーは!?」
「まだ何も映ってません!」
「どういうことだ?竜巻ではないのか?」
「気象レーダーには何も・・・この映像から計算しますと、砂埃は500メートル以上。恐らく200メートル級の敵サンドシップのいやそれ以上かと・・・」
「こいつの進路方向を計算しろ!」
「はい!」
「我妻、司令を呼び出せ!」
「はい!」
「んー、桑田、松井を呼び戻せ!それと黒豹の山口を偵察に出るように伝えろ。」
「はい!」
「第1次警戒警報発令だ!」
虹の三角1番機が入る大型ドック。高橋と桑田が打ち合わせをしている。そこへ松井がやって来た。
「我妻さんから連絡。指令室戻れって!」
「何ぃー!こんな忙しい時に・・・」
「わかったわ!やっと戻れる・・・」と桑田。
すると小さいながら警報が鳴る。
「第1次警戒警報・・・?」不安な顔を見せる桑田。
「こんな時に敵かよ!」呆れる高橋。
「恐らくタケシよ!敵も必死なんですよ!」
「おっ!言うようになったね~」
「なつみ!早く行くよ!」
「うん!技師長スイマセン!」
「おお、後は任せろ!」
P6指令室。
「黒豹出ます」我妻が叫ぶ。
「よし出せ!」
そこへ弘士と久弥が入って来る。
「どうした!?」
「敵のサンドシップと思われる映像です。」
「これは・・・竜巻の可能性は!?」
「気象レーダーには反応はなく!」
「司令、参謀!出ます。敵ルートです!」
「出せ!」
中央スクリーンにはP6周辺の地図と、この不明物体の予想進路が出てくる。
「これは?」
「P6じゃないか!?」
「1時間20分後到着予定。ちょうど夜明け前です。」
「偵察に黒豹を出した所です。」
「バズーのアシカム発進用意。」
「P7に連絡、2番から4番の3隻のレヴィアをこちらに向かわせろ!」
「はい!」
「松井と桑田は戻させましたから・・・」
「任せる!」
「赤外線がなければ夜襲をかけられた所です・・・」
「そうだな・・・山猫は待機だ!」
取調室から死龍が2名の兵によって連行されて行く。ダブルが死龍を引き取る。
「後はいい・・・俺がする!」
「いえ!我々が地下6階に護送します。」
「地下6だぁ!?どういう事だ!?」
「司令の命令ですから・・・」
「・・・ったく!何でもかんでも命令かよ!」
死龍はようやく顔を上げ、ダブルの顔を見つめた。
「死龍・・・」
「すまない・・・」
「どうしたんだ一体?」
「暫く入院さ・・・」
「入院?なんでだ!?なぜ拘束された!?」
「そ、それは・・・」
すると、別の兵の一人がダブルに近寄った。
「ダブルさん。山猫出撃準備だそうです。」
「どういう事だよ、次から次へと・・・」
「敵サンドシップがこちらに!」
「今度は船かよ!」
P6地下6階ポリス専用医療室。死龍が手錠をしたまま、3名の兵に連れられて入って来る。それを見つけるロク。
「死龍・・・」
死龍はロクの顔も見ずに、ある部屋の中に入れられる。
「特別隔離房・・・なぜあんな所へ・・・」
ロクはベットを起き上がり、その部屋に近寄った。既に兵が1名、その部屋の前に立っている。
「死龍は、なぜこの部屋なんだ?」
「お答え出来ません・・・」
「ここはミュウを保護し、隔離する場所だろ?」
「すいませんが、我々も何も聞かされておらず・・・」
「司令か!?」
「はい・・・」
ロクは腹を押さえながらそこを離れて行った。
P6指令室。既に桑田、松井が自分の席に着いていた。そこへロクが入って来る。いち早くロクに気づく桑田。
「ロクさん!?まだ寝ていてください。」
「大丈夫だ!司令は?」
「奥です・・・」
ロクは指令室の雛壇を登り、弘士、久弥のいる最上段に上がった。手摺りを使わないと苦しそうだった。
「ロク・・・平気なのか?」と久弥。
「はい・・・まだ痛みますが・・・」
「そうか・・・」
「司令!なぜ死龍を地下6の特別隔離房へ?」
「これを見ろ。」
弘士は黒いボードをロクに手渡す。それを見るロク。
「これは?死龍が・・・?」
「自分でも自覚していたようだ・・・ミュウだと・・・」
「ま、間違いないのですか?」
「残念だがな・・・しかも末期だ。」
すると指令室内のスピーカーに無線が入る。
『こちら黒豹!敵SC隊と接触!後方の未確認を確認できません。』
「山口か!?」
「あまり無理をするな。こちらに戻れ!」
『了解!』
「敵ですか?」
「お前は、重症なんだ。おとなしく寝てるんだ!」
「タケシですか?」
「残念ながらサンドシップだ!いいから病室に戻れ!」
「くっ・・・」
ロクは諦めて指令室を後にしようといていた。しかし、入口近くの桑田の席に近寄った。指令室は慌ただしくなって行く。するとロクは小声で桑田に囁いた。
「俺のジャガーは動けるのか?」
その言葉に驚いたのか桑田も小声でロクに答えた。
「冗談はやめて下さい。その体で乗れるはずがないじゃないですか?死にたいんですか?」
桑田は珍しく、ロクに凄んでみせた。
「動くんだな?」
「ゲートもエレベーターも動かしませんよ!」
「ジャガーがないなら、徒歩で陸戦だぜ!」なつみに向かって不敵に笑うロク。
「死龍さん、どうかしたんですか?」
「拘束され地下6にいる・・・」
「えっ!?」
ロクが桑田のIDを首から持っていく。
「借りるぞ!?」
「もう!傷口開いても知りませんよ!」
「なんとかする・・・」
ロクは笑顔で司令室を出て行った。




