その23 死龍の謀反
P6ポリス大会議室。久弥、弘士、曽根に加え、高橋、バズー、ダブル、キーンの姿がある。そこに死龍、山中、富久が遅れて入って来る。死龍は真っ先に高橋のそばに近寄った。
「高橋さん!」
「手榴・・・いや今は死龍だったな?」高橋も死龍に近寄る。
「手榴でいいです!お元気そうで何よりです・・・」
「相変わらず足だけはしんどいがな・・・」
高橋は自らの左足を2、3度叩いて見せた。
「後で作業を見に行こうと思ってました・・・ソーラーキャノンは命懸けで運びましたからね!」
「おお、手伝ってもらおうか?」
「ロクとダブルの新しいジャガー見ました!凄いですねSCにエアーブースターを取り付けるなんて・・・」
「ダブルが、ロクのカストリーよりも速いSCを作れって毎日うるさくてな。」
「うふふ・・・まあこの2人ですもの・・・しょうがないですね。それで虹にあの砲台を取り付けるのですか?」
「レヴィア用の5門は取り出せるんだが、虹の格納庫の扉が、ここに来るまでの戦闘で開かなくなってな。来る途中、派手にやってくれたようだし?」
「すいません、私の指揮が至らず・・・」
「構わんよ。それで、このまま虹に取り付けたらどうかと、親父さんに相談したんだ。どうだ?」
「虹は両軍のものです。是非使って下さい!」
「そう言ってくれるとありがたい・・・」
「・・・そろそろ、みんな集まったようだな?」と弘士。
「では会議を始める。席に着いてくれ・・・」
死龍たちも久弥の向かいのテーブルに腰掛け始めた。
「では高橋技師長!」と久弥。
「はい・・・今、P5の死龍にも了解を得たのですが、虹の三角の1番機の不具合により、せっかく運んで頂いた新兵器を下ろすことが出来なくなってしまいました。」
死龍は黙ったまま一礼をした。
「よってこのまま虹を利用をし、虹を移動砲台とする事を提案しました。」
「異議はないか?」と弘士。
「・・・」
「異議なしという事で、早速これについては技師長にやってもらおうか?」
「了解しました。それで・・・現段階ではこれをソーラーキャノンと呼んでますが・・・」
「ん?」
会議に無関心だったバズーの目が高橋に向けられた。
「この新兵器の新しい愛称があれば、何かいい名称がありますでしょうか?」
「おっ!」バズーが身を乗り出す。
ダブルが挙手をし、席を立ち上がると皆に意見をする。
「はい!太陽熱を利用するんだろ?なら太陽砲はどうでしょうか?」
「ソーラーをそのまま残してソーラー砲では?」とキーンも続いた。
「開発段階のソーラーキャノンも捨てがたいな・・・?私たちはその方が愛着ある・・・」と死龍。
「じゃあ二つを足して太陽ソーラー砲!どうでしょう?司令?」
「んー、意味一緒だろ?」とダブルに突っ込む弘士。
その時だった・・・バズーが初めて口を開いた。
「お前らさ!」
「うっ・・・」目を細めるダブル。
「センスが足りないんだよな・・・」
「ちっ・・・」渋い顔のキーン。
「どうでしょう司令!?一発射撃砲はどうでしょう?」
「えっ・・・???」バズーを見て驚くダブルとキーン。
「ん・・・いいゴロだなそれ!」と弘士。
「えっ!?」今度は弘士を見て驚くダブルとキーン。
「どうだよ!お前ら!」黙る他の者に対して弘士が問う。
「いや・・・司令・・・それはどうかと・・・」とダブル。
「そうそう、みんなの期待を乗せる新兵器ですよ司令!?もっと検討を・・・」とキーン。
「なんかおかしいか?」とキーンを睨む弘士。
「おかしいと言うか・・・ゴロがいいってどうなんでしょうか?どうだいキーン?」ダブルも説得にあたる。
「そ、そうだな・・・」
「異議ある方は、挙手をお願いします!」とバズー。
誰も手をあげない会議室。キーンたちは一度挙げた手を引っ込める。
「ではこの新兵器の名は一発射撃砲に決定しました!」勝手に会議を進行するバズー。
「おいおい・・・」呆れるダブル
「またかよ・・・」絶句するキーン。
「うふふ。ロクがいたら、あららね・・・」苦笑いする死龍。
会議室を出て廊下に出るダブルとキーン。2人とも会議の内容が気に入らなかったのか、不機嫌な顔で出て来る。
「一発射撃砲発射!とか言うのかなみんな・・・良かった。俺、陸戦兵で・・・海兵の奴等可哀想だよ。特にレヴィアに乗る艦長は、ちょっと恥ずかしくないか?」とダブル。
「会議の時だけはあの2人、妙に気が合うというか。」
「そう言えば、バズーの“アシカム”の名前を付けた時の会議って・・・」
「ああ!あの2人だ・・・」顔を見合わすダブルとキーン。
すると、遅れて会議室からバズーが出て来た。2人を見つけるとすぐ後ろを追いかけて来た。
「あれ~お二人さん?なんか俺のネーミングに不服みたいですが・・・?」
「そんな事ねぇよ・・・」と不機嫌なダブル。
「司令のセンスの問題かな?」と冷静なキーン。
「あれ?俺のセンスが悪いみたいじゃん!」
「悪い!!」二人は声を大にしてバズーに叫んだ。
「な、なんだよ!2人して!」
会議室から出ようとしている弘士と久弥。
「司令!親父さん!少しいいですか?」
「ああ!」
「どうした死龍?」久弥が一度立った席に座り直す。
「先に行っててくれないか?」
死龍は山中と富久に声を掛けると、2人は先に会議室から出て行った。会議室は3人だけとなる。弘士も久弥も死龍の様子を見て、一度立ち上がった席を座り始めた。
「ここなら、いや司令達なら知っていると思いまして?」
「ん?」
「何をだ?」
「まず、私がP5に移動した時・・・私の医療カルテがなかったんですが、こちらに保存されてますか?」
「カルテか?そっちに持って行ってないのか?」
「私のだけではありません。ボブもトリプル、ダンのもです。なぜP6組のカルテがないのでしょう?」
「どういう事だ?」と弘士。
「向こうの司令に聞いても、こちらに置き忘れたのではないかと・・・」
「そうかもしれないな・・・関根にでも探させよう!」
「なぜ移籍した我々だけ?偶然ですか?」
「関根の所にでも混ざったんじゃないか?ポリス組ではなくジプシーだからな。」
「そう・・・ですか・・・?」
「至急確認をさせよう・・・」と久弥。
「それと・・・」と死龍。
「ん?」
「教えて欲しいのです・・・」
突然、死龍は腰の拳銃を久弥に向けた。
「死龍・・・」
「私の・・・残された時間を・・・」
「時間・・・?」久弥は死龍を見つめる。
「・・・」黙ったまま二人を見つめる弘士。
四天王 第三章 【死龍覚醒】完
第四章 予告
【物語は前半戦最大の山場に突入!】
【ポリスゲートに、激突するジプシャン軍サンドシップ!】
久弥「特攻か!?」
【ポリス最大・最悪の白兵戦!】
タケシ「俺は総帥の座はいらない!欲しいのはただ一つ!雷獣の首だ!!」
【全てを捨てたタケシ!捨て身の作戦!タケシVSロク遂に決着!】
タケシ「本当の四天王に逢いに来た・・・」
【タケシがロープでエレベーターシャフトを降下する。】
弘士「地下に侵入されたのか!?」
【タケシと直美の過去が・・・】
直美を羽交い絞めして直美のコメカミに銃を付けるタケシ。
タケシ「動くな、この女を殺す。」
【遂に明かされる女スパイ瑠南花の正体・・・】
桑田「銃を置きなさい!女スパイ!そしてヘルメットを取りなさい・・・」
ヘルメットを脱ぐ瑠南花。
桑田「やっぱりあなたが・・・」
【囚われた死龍・・・】
手錠を掛けられ投獄させられる死龍。
【そして、次々に傷ついていく仲間たち。キーンが・・・】
炎上爆発するキーンのバイク。吹っ飛ぶキーン。
ロク「キーン!!」
ロク「人前で泣くんじゃねぇ!」
バズーを殴り倒すロク。
【死龍が・・・】
ロク「死龍!!」
爆発に飲まれる死龍。
ロク「お前の、未来と銃は俺が引き継ぐ・・・」
【そして桑田も・・・】
桑田に銃を突きつけるタケシ。
【桑田死す・・・!?】
タケシの銃弾に倒れる桑田・・・
塀の上で泣き叫ぶロク。
ロク「うわーっ!!」
【逮捕されるロク】
ダブル「ロク・・・お前を逮捕する・・・」
ロク「・・・」
ロク「俺が四天王・・・P6の四天王のロクだ!!」
タケシに銃を向けるロク。
【未来は誰が引き継ぐ?】
直美「誰も死なないでー!!」
次回 四天王 第四章『住所のないラブレター』