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四天王  作者: 原善
第三章 死龍覚醒
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その19 荒野の十字架

「こんな所で何してるんだよ・・・なつみ?」

「ロ、ロクさん!?」


 桑田はロクの声をする方へ振り返った。しかし・・・

南ゲート付近から伸びる警戒用のライトが桑田の方へ当たっていた。桑田は目を細くして南ゲートの方を見る。ライトの光は桑田を確認すると、また別の方へ伸びて行く。ライトの光が当たらなくなり、桑田はもう一度辺りを確認するが、ロクの姿はなかった。


「ロクさん・・・」

 桑田は空を見ながら塀の上に座り込んだ。



 ジプシャン軍古川基地近く。タケシと石森らが荒野に十字架を建てていた。その中にはヒデや丸田の姿もあった。陽は沈み、西の空がやや明るい程度だった。砂をかけたタケシが作業を終えていた。

「いい戦士だった・・・」とタケシ。

「あいつが切り込むと、戦況は一気に変わっていた・・・」

「このままP5に行かなければならないのは無念であろう、嶋・・・」

「あのサンドシップがあれば・・・」と石森。

「俺もそう考えていた。しかしSCの数が少ない!」

「火力なら、あの一隻でも・・・」

「俺らには俺らの戦い方がある・・・」

「それと、あの戦艦を出した際に、次の入庫戦艦をここの整備士たちに何気に聞いたのですが・・・」

「何だ?」

「サンドスコーピオンです!」

「ん?ツヨシの船か!?」

「はい、数日後にはここで大幅改造の予定だとか・・・その際、ツヨシもここに来る事を聞きました。」

「P4を粗方平定して、P5に参戦させるのか?」

「その可能性はあります!」

「あの・・・」

 タケシと石森の会話にヒデが首を突っ込んできた。


「何だ?」

「さっきから聞いてたんですが、ツヨシって誰のことでしょうか?」

「一応、俺の弟らしいがな!」

「はい?」

「腹違いの弟なんだよ。しかも誰も証明出来ない!」とタケシ。

「頭は切れるんで、次期後継者をツヨシで押す連中もいる。まあ所詮は側室の子なんだがな・・・」

「そいつがなぜ古川基地に?」

「P5に投入するか、P6の警戒用なのか、それは分からん。P4を陥落させ、暫くは南方の担当だったが・・・」

「馬鹿で臆病。戦場では早死にするタイプさ!」と石森。

「そうですか・・・」



 直美や弟、妹がいるP6地下3階特別保護室。山口が警護を任される中、キーンが部屋の前にやってくる。

「失礼!」

「なんでしょうか?」

 キーンは唐突に部屋に入って来た。

「君ら家族の話をしに来た・・・」

「いつまでここに押し込められるの?」

「命が狙われてるんだ。もう少しの辛抱だ。」

「息苦しいの・・・ここ・・・」


 直美は弟と妹を気遣った

「これからの事だ。弟と妹は訓練校に入ってもらう。」

「弟らは兵にはさせないわ!」

「親を亡くした子供は原則的に訓練校に入るのが規則だ。君も一緒に入るのも構わない。兵を育成するのではない。勘違いしないでほしい。街のジプシーからも隔離出来る。身辺警備も楽なのが本音だ。」

「保護って言ったて、兵の育成目的じゃない。保護?そんなに大変なら街から追い出せば!?」

「ここの規則には従ってくれ!?方針は変えれないんだ!」

「あんたも、あのロクって言うのも訓練校出でしょ?弟をあんたらみたいにしたくないだけ・・・」

「銃くらい・・・銃くらい撃てる男じゃなきゃ、この世界は生き残れないぜ・・・」

「私たちは生まれた時から拳銃を扱っていた。今更教わる必要はないわ!」

「一理ある!だが・・・うーん、あの父親にこの子だな?強情なとこまでそっくりだ・・・」

「父親の事は言わないで。早く父を殺した犯人を捕まえてよ!」

「今、捜査してる。取り合えず訓練校の件は考えてくれ?あなたは護衛の事も考え、ポリス専用の食堂の仕事を用意している。」

「私はなんだってやる!だから早くここから出して!」

「もうしばらくの辛抱だ!」

 キーンはそう言うと、部屋から出て行った。

「もう!だからポリスって嫌いよ!」怒る直美。



 レヴィア1番艦ブリッチ。久弥が指令室に座っている。外は海上、波が高くブリッチの窓に波飛沫が飛んでくる。

「間もなく陸に上がります。」と桜井。

「15分後には南ゲートだ。P6に報告!」

「了解!今日は波が荒いです!ロクさんが乗っていたら死んでましたよ・・・」

「ふふふ、そうだな・・・・・・死龍か・・・?」窓の遠くを見る久弥。



 P6地下6階ポリス専用医療室。死龍があるスタッフに右腕から血を取られている。


 同じく医療室。聖のベットから隣のベットのロクを心配そうに見ている。



 P6地下3階SC格納庫。高橋がロクのジャガーカストリーを整備している。そこへ桑田が入って来る。

「どこに行ってた!?このくそ忙しい時に!?」と高橋。

「す、すいません・・・」

「ロクは?」

「まだ意識が戻らず・・・」涙声の桑田。

「俺は虹の方に行く。こいつのフロントガラスを交換してくれ!それとバルカンの弾の補充だ!」

「はい・・・」

「P5まで行ったと聞いたが?」

「近くまでです・・・」

「距離の問題ではない!指令室を外れた今は俺の部下だ!勝手に動くな!」

「すいません・・・」

「それが終わったら、上の格納庫に来い!今夜は徹夜になる!P5から持ってきたソーラーキャノンを至急降ろす。」

「ソーラーキャノン?」

「レヴィアに取り付けるものだ。いいな?早くしろよ!」

「はい・・・」



 P6地下6階ポリス専用医療室。

意識不明で寝ているロクのベット。指先が微かに動き、ロクの意識が戻った。それに気づいたのか、隣の部屋にいた聖が窓際まで近づいた。

「誰か来てー!!」

 聖は慌ててスタッフを呼びつけた。



 P6指令室。我妻が無線を受けていた。

「医務室から連絡。ロクさんの意識が戻りました!」

「そうか・・・」ほっとする弘士。



 P6ポリス専用食堂。バズー、ダブル、死龍が食事をしていた。そこに内線が入る。

「そうか・・・わかった・・・みんな!ロクの意識が戻ったそうだ。」

「よし!行こう!」

「ロク・・・」と死龍だけが浮かない顔をしている。



 P6地下6階ポリス専用医療室。ロクが目を開けてベットに横になっている。隣の部屋からは聖が来てすぐ側に座ってロクを見つめていた。

「お目覚め?」と聖。

「ここは・・・?」目が虚ろのロク。

「それも覚えてないの?私も知らないわよ!」

「ふふ・・・どうやら地下6(ろく)みたいだな・・・?」


 ロクはようやく自分の状況を把握した。

「撃たれたの?」

「ああ・・・撃たれたんだろうな・・・」

「へえーあのあんたがねぇ・・・」

「体調はどうだ?」

「その姿のあんたに言われたくないわよ!」

「そうか・・・」

「もう歩けるようにはなったわ。後はこの顔の包帯だけ・・・」

「誰があの子の父親なんだ?」ロクの急な質問だった。、

「あの子の父親は・・・」躊躇う聖。

「・・・ヒデか?」

「えっ!?」ロクの唐突の質問に驚く聖。

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