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四天王  作者: 原善
第三章 死龍覚醒
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その14 包囲網を突破せよ!

 死龍はロクの無線に慌てた。

「桑田!?なぜ報告しなかった!?」後ろにいた桑田を叱る死龍。

「は、はい、て、てっきり、ロクさんが報告したのかと・・・」

『死龍、桑田を責めるな!』ロクは無線から桑田をかばった。

「ったく・・・!桑田!機銃くらいは出来るわね?」

「で、出来ます!」

「敵が来たら、そこの階段を上がって!第一機銃に配置!」

「は、はい!分かりました!」近くにあったヘルメットを被ろうとする桑田。


「ロク?ジプシャンを本気で怒らせたようね?」

『そうか~?』自覚がないロクの返事。

「なにも、こんな日に・・・ならこっちもこっちよ!やるしかないようね!」

『すまん・・・』

「この先の古川基地の方を用心しないと・・・あそこはジプシャンのプラントがあるって噂だし・・・」

『まあ、ここは任せろ!』

「頼りにしてるわよ!」

『なんとかする!』


「出た出た・・・」小声でロクの無線を楽しむ桑田。敬礼をするとコクピットを出て銃座に掛け上がる。


 無線が切れると、死龍は立ち上がり、他のオペに声を上げた。

「私も機銃にまわるわ!ここを頼むわよ!」

「了解!」


 ロクのジャガー。

「ふう・・・バルカンの弾が3割ってとこか・・・ここは温存しますか?」

 左右に展開してくる敵SC隊。ロクは運転席の窓ガラスを5センチ程開けると、拳銃を抜き出した。するとエアーブースターのスイッチを入れる。

「さぁーて・・・行きますか・・・?」

 ロクのジャガーは砂煙を巻き上げると敵のSC隊に突っ込んでいく。ロクは車の窓から敵のSCのタイヤだけを狙い始めた。タイヤを撃たれバランスを崩し横転していくジープタイプの敵SC。しかし何台かは、後方の虹の三角に近づき、手榴弾攻撃を仕掛ける。

「くそっ!させるかぁー!」

 ロクは虹の三角に近寄る敵SCにガトリングバルカンを浴びせる。その中、1番機の機銃から、死龍と桑田が機銃で応戦しているのが見えた。

「やるな・・・桑田まで・・・?しかし死龍の弾道?な、何だ?前の死龍とは別人じゃないか?敵を寄せ付けない・・・まるで鬼だな・・・?」

 数ある機銃の中では、死龍の機銃だけが的確に敵SCを破壊していく。

「ま、まさか?これを覚醒と言うのか!?」

 


 ジプシャン軍古川基地。タケシの残存部隊がゲート前に並べられてる。タケシが残った手勢を並べている。ヒデや丸田の顔もある。

「雷獣発見の報告があった。我々は、ポリス道の岩出山に出撃をする。死んで行った仲間たちの仇を取る!全機出撃!」

「おおっー!」

「作戦は、隊を分け前と後ろからの挟み撃ちにする。前方にミサイル隊、後方はストラトスを中心としたバギー隊だ。ミサイル隊は先回りしてポリス道の狭い箇所に地雷を埋める。古臭い作戦だがあのでかいのを沈ますには効果的だ。」


 タケシの作戦途中に、ヒデと丸田は小声で話し始めた。

「補給艦だろ?あの馬鹿でかい船みたいのを地雷だけでやるのか?」

「確かに犠牲は少ないが・・・」とヒデ。

「タイヤだけで3メートルはある。手榴弾じゃなきゃ無理じゃないか?あの分厚いタイヤ・・・地雷だけでどうだよ?パンクだって難しいぞ!?」不服な丸田。

「ここにはここのルールがあるらしいな・・・ここは長いもんに巻かれよう・・・」


 そこに、二番隊隊長の早坂が二人に近寄る。

「これが手製の地雷だ。埋めてからここを解除だ。」

「こんなもんで、あの補給艦が本当に止めれるんですか?」と丸田。

「手榴弾で仕留めれるのは、外側だけだ。それでは中側のタイヤは破壊出来ない。」

「た、確かに・・・」関心する丸田。

「それに爆破音だけでも敵に恐怖を与える!」黙々と作業を続ける早坂。


「あの・・・?タケシさんの隊は長いんですか?」丸田が早坂に語りかける。

「俺かい?もう6年かな?ここは・・・?」

「年下の上司ってどうなんですか?」と丸田。

「気にしてないさ。彼が一番、前総帥に似ているかな?だからこうやって、一緒に戦っている。まあ無茶なとこまでそっくりさ!」

「ふーん・・・前総帥にねぇ・・・」



 虹の三角1番機。桑田の機銃。死龍が後ろからやって来た。

「よく耐えたな!敵も粗方片付いた。もうコクピットに戻れ桑田!」

「は、はい!」と桑田。

「ロクもバルカンの弾を使い果たしたようだ。」

「12ミリ弾ってここに積んでないですか?」

「ここにはないな・・・」

「弾が尽きたのか・・・?」

 間もなく3機の虹の三角は、ポリス道最大の難所、旧岩出山近辺に差し掛かろうとしていた。ここはジプシャン軍古川基地よりもっとも近く、道幅も狭い山道だった。



 虹の三角1番機コクピット。

『俺が先にP6へ行き、援軍を頼む!』

「しかし・・・」

『無線の届く所まで行き、すぐ戻る。』

「ロクさん・・・」

「岩出山をすんなり通れるとは思えない・・・それは最悪のシナリオの時だ。」

『往復で30分も掛からない!』

「ロクの足なら30分かもしれないが、援軍は1時間掛かる。ここは突破しよう!」

『死龍・・・』


 死龍は今後の作戦をロクと無線で話していた。その時あるオペが口を挟んできた。

「間もなく岩出山に入ります。」

「隊、縦一文字態勢!2番機は最後尾を!」

『2番機了解!』

 虹の三角3機は、逆V字態勢の走行から、縦一文字態勢に切り替えて走行し始めた。




 ロクのジャガー。

「静かだな・・・P6まであと50キロか・・・夕方までには到着したい・・・」

『敵だ!』

 ジャガーに虹の三角から無線が入る。


 虹の三角1番機コクピット。

『2番機です!後方から、SC確認。ストラトスです!』

『ストラトスか?あいつ生きてたか!?』無線に割り込むロク。

「タケシなのか!?」死龍がその無線に慌てる。

『2番機です。我々が引き付けます。死龍さんらは先にP6へ・・・』と、山中。

「馬鹿言うな!!ロク?後方を支援を!」

『了解!山中さん?数は?』

『およそ20台!』と山中の無線。

『なんとかする!』とロク。

「主力がいない?奴のミサイル隊が・・・妙だ?」

「前方!ミサイルです!」

「かわせ!」と死龍。



 虹の三角の進路方向から数十発のミサイルが虹の三角に向けて飛来してくる。かろうじて避ける虹の三角。

「タケシめ・・・前後を囲まれたか!?」

 その時、走行中の1番機の真下から大きな爆発音が聞こえ激しく揺れるコクピット。

「じ、地雷か・・・?こしゃくな真似を・・・」

「中央のタイヤが大破!」

「被害は?」

「コンテナ内は無事です!走行可能!!」

「ロク!?前方を突破する!援護してくれ!」

『後方のストラトスは?どうする!?』

「・・・」黙る死龍。

『死龍!?どうした!?答えろ!』

 死龍はロクの無線に答えなかった。


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