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四天王  作者: 原善
第三章 死龍覚醒
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その12 元・恋人

 笑っていた死龍だが、口調は少し怒っていた。そして、ジャガーに乗る桑田を横目で見た。死龍は小声でロクに語る。

「なぜ、彼女を・・・?」

「連れて来たくはなかったけどな・・・」と頭を掻くロク。

「ここは戦場だぞ?デートなら他でしなさい!」叱ってみせる死龍。

「こんな状態とは思わなかったさ・・・」

「偶然なの?」

「予定は知ってた。ポリス道を北に向かえば“虹”に当たると思っていた・・・」

「それで300キロ離れた所までわざわざ・・・?相変わらず、無謀ね・・・?」

「彼女を戦場に連れてきたのは反省しているさ!それは謝る・・・」

「なら助けてもらった事、礼は言わないわよ!」再び笑顔に戻る死龍。


 ロクはジャガーに乗っている桑田に目を移すと、ロクと死龍を不安そうに見ている桑田がいた。

「彼女をP6まで死龍の虹の三角に乗せてくれないか?」

「その選択は正しい!どうせ彼女の同行は許可取ってないでしょ?いいわよ!」腕を組みロクに威厳をみせる死龍。

「頼む!」

 ロクは、ジャガーに近づくと車内の桑田に一言二言話すと、桑田はジャガーから出てきた。

「相変わらず・・・無謀な男ね、ロク・・・」


 

 ジプシャン軍古川基地指令室。あるメカニックとタケシらが話をしている。

「エンジン系が・・・」

「言い訳はいい!」と一喝するタケシ。

「あと1時間欲しいとエンジニアより・・・」

「今日中にP5は無理のようだな?」

「すいません。タケシ様・・・」

「使えないメカニックどもだ。嶋!再び待機だと皆に伝えろ!」

「ははっ!」

「時間まで、また酒でも飲もうぞ!」



 古川基地の大きなドックに巨大な船が待機している。核戦争前のどこぞやの国の戦艦が荒野に浮かんで見える。船の波の下になる部分がなく、それ以外は船の形のままだ。ジプシャン軍ではこのタイプの船をサンドシップと呼ぶ。船底にはポリスの技術を盗み、エアーブースターを取り付け荒野を移動するタイプである。主砲は改造してる物を積み、荒野を移動する様子はまさに砂漠の船であった。そのドックのそばにタケシと嶋がこの新型の船を見つめていた。


「この船さえあればP6など・・・」と嶋。

「俺も同じ事を考えていた・・・」とタケシ。

「ならばタケシ様・・・」

「姉貴の事だ。それも想定内だろ?」

「と、言いますと・・・?」

「ツヨシだよ!」

「あの馬鹿をどうしようと?」

「軍の中では、ツヨシを総帥に押す者もいる。」

「しかし、所詮は側室の子では?」

「俺も敵が多いという事だ・・・立場は同じだよ!」

「まさか・・・」

「なぜ、P5に死神を付けたか?俺を監視するために他の幹部が送って来た。そう考えてもおかしくはない。」

「死神が・・・監視ですか?そのような事・・・」

「まあ、松島の敗戦でツヨシ派が勢いを増して来るのは間違いないようだな?」



 同基地内。ヒデと丸田が外をウロウロしていた。

「なぜあいつは死なないといけなかったんだ!!」

「ミキの事は、しょうがないじゃないか・・・それよりいつまでもここにいるんだ?」

「おい!?」


 2人の先には、3台のランチャーストラトスが停車している。タケシらの姿はない。二人は何気にその3台に近づく。すると嶋のストラトスのボンネット部分を見てヒデは驚いた。

「こ、これは?」

 何本かだが、栗色の長い髪の毛がSCに付着していたのだ。

「やはり・・・嶋じゃないのか?」

「確かにこの車両も黄色だ。それにこの髪の毛・・・」

 ヒデは周りを確認すると、嶋のSCの前輪をいじり始めた。

「どうする気だ、ヒデ?」

「まあ見てろ・・・ミキの仇だ・・・」



 虹の三角1番機ブリッチ。死龍が座っている指揮官席の横から桑田が入って来る。

「入ります!」

「桑田と言ったな?ロクから聞いた。間もなく出発する。そこの席にでも腰掛けてくれ!ここは高い分、相当揺れるぞ!」

「はい・・・意外と高いですね?」

「初めてか?虹の三角は?」

「はい。メカニックとは言えSCが専門で、P6にこいつが入る際も近寄らせてはくれませんから・・・」

「ロク専属のメカニックと聞いた。ロクが認めるくらいだ。いい腕なんだろうな?」

「とんでもないです。高橋技師長が全てやっているようなもんで、私なんかはとてもとても・・・」

「高橋技師長・・・懐かしいな。昔はP6の優秀なドライバーだった。私の先輩でな・・・」

「技師長が先輩ですか?」


「各機出ます!」クルーが叫ぶ。

「任せる!揺れるぞ。桑田そこに座るんだ!」

「はい・・・死龍さんお怪我を?」

 桑田は死龍の制服に血の痕があるのを確認する。虹の三角は再び走りだした。桑田はその揺れに慣れないのか慌てて席に座り始める。

「口の中を切った。大した怪我ではない・・・」

「そうですか・・・し、死龍さん?」真顔の桑田。

「どうした?」

「変な質問をしても、怒らないですか?」

「何だ?」


 桑田は死龍の方に体を向け、他の兵に聞こえない程度の小声で話し始めた。

「皆から聞いたのですが、死龍さんはロクさんの元彼女なんですか?」

 死龍はその質問に一瞬、面を喰らったがすぐ笑顔になりこう答えた。

「桑田?プロジェクトソルジャー第7条は?」

「は、はい・・・ソルジャーは恋愛、結婚を禁止する。これを守れなければ禁固。」

「そうだな。それを知っててなぜそのような質問が出る?」

「す、すいません・・・ただ・・・」言い訳しようとする桑田。

「ロクとは・・・恋人だった・・・」

「えっ?」

「ふふふ・・・そんな時もあったのかな?いつも一緒だったからな。そう皆に言われても仕方ない。」

「そ、そうなんですか・・・」

「当時、私は1期生トップ。同じ1期の男たちは自分らの評価を恐れて、誰も私とペアを組みたがらない・・・そんな時に私の相棒に手を上げたのは、唯一ロクひとりだった。」

「ロクさんが?」

「奴が10歳の時だ。心配するな。私にとってロクは、弟みたいなものだ。」

「弟・・・ですか・・・?」

 桑田は少し安堵の顔を見せる。


「2期生のトップ連中がある作戦で全滅してしまい、頼るのは3期トップの奴しかいなかったのが正直なとこだ。」

「P3の戦い・・・ですか?」

「そういえばロクの後ろにくっ付いて、ロクの背中でいつも泣いていた女の子がいたな?口癖は“ロクにぃのお嫁さんになる”って・・・」

「それ・・・私です・・・」

「ふふふ。だと思った。面影はある。」

「じゃあ、小さい頃に私は、P6で死龍さんに逢っていたんですか?」

「無理もない。私も昔はこんな仮面じゃなかったし・・・当時はみんな“数字”だったしな。」

「どうして死龍さん、仮面を被っているのですか?」

「失礼だな?これでもうら若き女性なんだが・・・」声のトーンが変わる死龍。

「し、失礼しました・・・」

「まあいい、P5の男たちは私が恐くて、理由すら聞けないようだが・・・」

「すいません・・・」

「ロクから、何も聞いてないのか?」

「はい・・・」

「あいつ・・・そういうとこは、仲間思いだよな・・・?」ひとり呟く死龍。

「はあ・・・?」

「顔を撃たれたんだ。左目から入り、幸いにも脳には入らなかった。左耳を抜けた。なので左耳は聞こえない。目も失明。当然ながらSCは降りた。目はもちろん片耳が聞こえないと、SCは降ろされるんだ。それからは、戦略や教育専門でな・・・」

「そ、そうなんですか・・・」気まずい桑田。


 死龍は桑田の腰の拳銃を見つける。桑田の拳銃はやや小型でグリップの所が白い拳銃だった。

「ワイルドマーガレット?ロクの拳銃?お前が持っていたのか?」

「はい?指令室勤務になる時にロクさんから貰いました。この拳銃をご存知ですか?」

「知ってるもなにも・・・私を撃ったのは、まさにその銃だよ。」

「えっ?こ、これですか?」

「その銃で、ロクに撃たれたのさ・・・」

「えっ・・・!?」驚く桑田。

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