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四天王  作者: 原善
第三章 死龍覚醒
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その11 孤立無援

「白兵戦だ!皆、銃を取れぇぇー!!」

 死龍は自らライフルを持ち、虹の三角の格納庫を走り叫んでいた。すると一人のオペを見つけると彼の上着を鷲掴んだ。

「速やかにジプシーを他の艦に移動させろ!」



 その頃、大広のバイク隊は3機の虹の三角を包囲していた。

「止めましたね・・・横転を避けるとは、往生際が悪いですよ・・・各員銃撃戦を準備させて下さい!」不敵に笑う大広。



 死龍は2番機のコクピットに戻って居た。

「包囲されます。このままでは各機も脱出すら出来なくなります!」

「3番機だけでも・・・」

 死龍はコクピットの無線を取る。

「3番機富久艦長!聞こえるか!?包囲される前に3番機だけでも脱出しろ!」

『我々だけ逃げる訳には行きません。我々も残ります!』

「武器だけでもP6に渡したい!あれがなければポリスは不利になる一方だ!行け!行くんだ!」

『残らせて下さい!』

「生きるんだ。ここで全滅する訳にはいかない!」

『死龍さん・・・』

「行けぇー!」

 死龍の命令で3番機は、その場を離れようと再び走り出した。



 その様子を見ていた、大広のバイク隊。

「逃がしはしませんよ・・・」

 包囲しようとしていたバイク隊のある部隊が3番機を襲う。


 

 死龍が乗る2番機コクピット。

「死神め・・・容赦なしか・・・」

 たくさんの手榴弾を受け被弾する3番機。

「こ、これまでか・・・」



 すると3番機を襲っていたバイク隊が乱れた。何台かは機銃を浴び転倒する。

「ん!何だ!?」

 するとコクピットのレーダー員が叫ぶ。

「援軍です。P6・・・・・・黒豹!」

「なにっ!・・・ロクか!?」



 そこに現れたのが、砂煙を巻き上げ猛スピードで虹の三角に近づく、ロクのジャガーカストリーだった。ロクのジャガーは、即効で3番機の周りにいるバイク隊を蹴散らした。

「大広様!ら、雷獣です!」

「ば、馬鹿な!なぜ、ここへ?」



「こちらP6黒豹!そこの指揮官は誰だ!?」

 ロクはバルカンを撃ちながら無線を飛ばした。


 2番機コクピット。

「黒豹より無線!」

「こっちに回して!」

 死龍は急ぎ無線を掴んだ。

「こちらP5、虹の三角。死龍だ!」

『死龍?死龍なのか!?なぜ補給艦に?』

「こっちのセリフよ!出迎えにしては早過ぎるわよ!」

『遠出のテスト走行だよ!まさか死龍とはな・・・』

「わざわざ300キロも!?正気なの?」

『でも来て良かった。死龍にしては苦戦してるな?』

「馬鹿言わないで!見てて!これから反撃するのよ!」

『そうですか?それにしては派手にやられたな・・・』

 するとロクの無線に女性の声が聞こえる。


『ロクさん!左ぃぃぃぃ!!』

「!?女?」

 声の持ち主は桑田だった。

「耳障りな声・・・?ロクさん?勤務中に女性とドライブかしら?」

『ち、違う!俺のメカニックだよ!』慌てるロク。



 ロクのジャガー。ロクはガトリングバルカンで大広のバイク隊を蹴散らす中、助手席に桑田がキャーキャー言いながら乗り込んでいる。

「キャー!ロクさん!?後ろ!後ろです!!」

「分かってる!伏せてろ桑田!気が散る!!」

「は、はい・・・」赤くなりながら、取り合えずロクの体を抱き締めてみる恍惚の桑田。

「い、いや・・・お前・・・そうじゃなくてなぁ・・・」困惑のロク。



 2番機コクピット。

「白兵戦は中止!このままここを脱出する!各員持ち場に戻れ!動くぞ!」



 大広のバイク隊は、雷獣出現に足並みが乱れた。

「何をしてるんです。相手は1台ですよ!?」

「相手は方向を変えられるバルカンを撃ちまくり・・・」

「兵が弱腰になっていますね・・・退散します。」

「はぁ?しかし・・・こちらが優勢ですが・・・」

「ある程度のダメージは与えました。無理をする事はありませんね。被害が大きくなります。退散させます・・・」冷静に指揮を取る大広。

「わ、分かりました・・・」



 2番機コクピット。

「敵が撤退して行きます!」

「死神め・・・」死龍が唇を噛み締める。

「と、取り合えず、助かりましたよ・・・」と操縦士。

「ロクが来なかったら・・・」

 3機の虹の三角はその戦場を脱出して行く。



 日は真上に来ていた。ここは旧岩手の盛岡市付近。P5から百キロ離れた所に3機の虹の三角が停車している。2番機のすぐそばには、ロクと死龍、山中、富久他4名が2番機を見つめていた。

「修理しなければならないか?」

「中央のタイヤを外側に移動するだけで走れますが、次同じ所を狙われたら、今度は修理どころでは済みませんよ!」

 あるメカニックスタッフが、感情的にロクの質問に答えていた。

「予備のタイヤは?」

「ありますが、取り付ければ半日は掛かります・・・」

「P6まであと二百キロある。このままでは、夕方までは着けないぞ!この人数だ!キャンプは無理だぞ!」とロク。

「これからの道程の方が厳しい。万全に行きたい。予備のタイヤを取り付けてくれ!」死龍が決定を下した。

「なぜ護衛のSCを付けなかった?」ロクが死龍に詰め寄る。

「バイク隊ごときに、護衛は必要はない!」

「おいおい、死龍らしくないぞ・・・」

「P5のSC隊は既に壊滅に近い。これ以上犠牲を出すのはP5壊滅を意味する!」

「そんな状況なのかP5は・・・」

 ロクが死龍の説明を聞き落胆する。


「ロクさん。敵バイク隊250台ですよ!死龍さんもボブの事を思い・・・」と山中が死龍をかばう。

「この隊が、そして五百人のジプシーが全滅するとこだったんだぞ!?」

「すまない・・・」みんなの前で頭を下げる死龍。

「まあ犠牲者が出なかっただけでも良かった。俺は前者を選ぶが・・・?死龍は!?」

「ロク・・・!?」

「タイヤ移動する時間は?」戸惑う死龍を飛ばし、メカニックに問うロク。

「30分下さい!」

「でなければ、ジプシーを1と3に分けて走行する。ここは敵のど真ん中だ!半日も居れない。俺なら2番機をここに捨てていくぞ!どうする死龍!?」

「そ、そうね・・・ロクの言う通りね。ただ2番機は捨てないわ。ジプシーを他二台に移し変えましょう!最悪の事を想定して2番機は空で走らせるわ。いいわね、山中艦長?富久艦長?」

「はい・・・」

「でしたら、自分が2番機で指揮を取ります!」と山中。

「頼む。メカニック!急いでタイヤを!各員警戒体制よ!」

「了解!」走り去る数名のメカニックやクルーたち。


「こんな所にいたら、ケツを赤サソリに差されちまうぞ・・・」死龍を見つめるロク。

「そうね・・・」口元がニコリとする死龍。


 ロクと死龍が2人だけになる。死龍の顔からこの日初めて笑顔がこぼれた。桑田はその2人の様子をジャガーの助手席から見ていた。

「あ、あの人、笑うんだ・・・?元・恋人か・・・?」


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