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四天王  作者: 原善
第三章 死龍覚醒
51/209

その1 ひとり歩きした噂

「聞いたか?」

「聞いた・・・」

「奴はたった1台で、50台を撃破したって言うぞ!」

「いや、100台って聞いてるぜ。」

「俺は、タケシ隊を全滅させたって聞いてるぞ!」

「タケシは、何も出来なかったらしい・・・」

「人は撃たないんだろ?」

「なぜ?」

「神・・・?」

「本当に神なのか!?」


「橋と橋の30メートルを飛び越えたらしい・・・」

「本当に空を飛ぶんだ・・・?」

「基地2つは奴が襲ったらしい・・・」

「SCだけを壊して、死傷者を出してないらしいぞ・・・」

「ポリスが流したデマじゃないのか?」

「奴のためにサンドシップはP6に向かったらしい。」

「神の町で生まれた申し子とも聞く。」

「神の子なのか化け物なのか?」

「さあな、覚醒したミュウの子じゃないか?」

「そんな奴相手に・・・どうやって俺たちは戦うんだ?」



 タケシ敗戦の知らせは、ジプシャン軍の全ての基地に伝えられた。ロクの噂と共に・・・

既にロク、いや“砂漠の雷獣”の噂は一人歩きを始めたのだ。

もちろんP5の前線基地の“死神”の耳にも・・・



 ジプシャン軍P5歳前線基地指令室。

「どういう事ですか?」と大広。

「はあ、伝令の話ですがタケシ隊が全滅と聞いてます・・・」とある兵。

「で?タケシはどうしたのですか?」

「ストラトスの3台は生きて本部に到着との事です。」

「くっ・・・くたばってなかったのですね。しかしタケシを追い込んだ、あの雷獣は何でしょうかね?」



 ジプシャン軍松島基地指令室。

「はあ、タケシ様はここに居られます。はあ・・・30台程ですが・・・はい・・・分かりました伝えますが・・・」


 基地の指揮官は無線を切ると、傍のタケシに伝言を伝えた。

「タケシ様。すぐ、残存部隊を連れ本部に戻るようにとの事です。」

「くそっ!ポリスめ!海からとは考えたな!どうでもいいんだがなぜ松島基地は、湾の船を攻撃しなかった?」

「お言葉ですが、タケシ様。ここ数年ポリスからの攻撃がないからといい、武器を北に持っていかれたのは、あなたではないでしょうか?」

「ああっ?」

 タケシはいきなり拳銃を抜くと、基地の指令の額を撃ち殺した。これには嶋や石森も驚いた。


「おいおい・・・」遠目でその様子を見ているヒデ。

「人のせいにするんじゃねぇ!おい!副司令はいるか?」

「は、はい・・・」恐縮する副司令。

「前司令は責任を取って自害された。後任はお前だ!」

「は、はぁ・・・」目を合わせない副司令。

「取り合えず、本部に戻る。各員準備しろ!」

「はい!」暗い声の各員。



 ヒデと丸田が基地のある建物から出てくる。そこへヒデの仲間の羽生らが集まってくる。

「ミキが見つかった・・・」ある女性がヒデに近寄る。

「そうか・・・良かったじゃないか!」ホッとした様子のヒデ。

「死んでいたんだわ・・・」泣き崩れる女性。

「はあ?」驚くヒデ。


 基地の地べたに毛布を掛けられた遺体が一つ。ヒデと丸田はその遺体に近寄った。毛布の一部を捲るヒデ。

「何かに跳ねられたわ・・・」

「黄色の塗装が付いていたのよ・・・」女性たちが呟く。

「黄色だと・・・?」

「それどころか、顔は何かに殴られたような跡ばかりだ・・・」

「着ている服も不自然すぎる。男に襲われたんじゃないか?」と丸田。

「黄色の塗装って、雷獣か?」とヒデ。

「いや、ストアトスも黄色だぜ・・・」と丸田。

「ストラトスな・・・」

「まさか・・・」


 そこへ、嶋と石森がヒデらのとこにやって来る。

「どうした?ヒデ?」


 嶋はミキの顔を見ると、顔をしかめた。

「死んだのか?こいつ?こちらの基地の者が雷獣が轢いたのを見たらしいぞ!」と嶋。

「本当か?」

「間違いない!」

「・・・」

 ヒデは不服な顔をして、ミキの死体を見つめていた。



 レヴィア2番艦ブリッチ。ロクは蒼い顔をして、無線機を握り締めていた。

『それでそれで?』無線の桜井。

「橋を飛び越えたんだよ・・・」しゃべるのも辛そうなロク。

『それでそれで?』

「ブースターがあったから飛べたようなもんで・・・」

『それでそれで?』

「あとは・・・いいだろ?P6に帰ってから話す・・・」

『船酔いでしょ?ロクさん?』

「ああ・・・」

『レヴィアは揺れんですよ!船の構造上仕方ないですね!』

「なんで逆さに作ったか・・・?まあ文句言っても仕方ないし・・・訓練校時代、船酔いの訓練なんてなかった。しかも俺らは陸戦専門だぞ・・・」

『まあ向こうに着いたら武勇伝、詳しく聞かせてください!』

「まあその時、生きてたらな・・・」


 ロクは1番艦との無線を切ると、再びハンドル式のマンホールに入ろうと、ハンドルの蓋を開け始めた。気分が悪いのか蒼い顔をしていた。その様子を弘士と佐々木艦長は見ていた。

「どうされましたか?」と佐々木。

「寝る・・・というか横になります・・・」

「下のベットを使ってください!」

「ジャガーで寝るよ。車内ならまだ落ち着く。司令?いいですよね?」

「許可する!」と弘士。



 P6指令室。我妻の無線に4、5名が集まっていた。バズーやキーンの姿もある。

「・・・・・・了解です!皆に伝います!」と我妻。

「ロクはどうしたって?」とバズー。

「無事だそうです。現在、レヴィア2番艦にいるそうです。」

「時間になっても戻らないから心配して損したな!」怒るバズー。

「殺して死ぬタイプでもあるまい・・・」とキーン。

「間もなくP7に到着します!」と後ろの席の柳沢。



 ポリス地下3階ジプシー専用医務室。未だ患者は増えスタッフは休むことも出来ない状態だった。そんな中、桑田が治療の手伝い中、松井が入って来る。

「ロクさんが?」

「無事よ。今、P7らしい。」

「良かった・・・」

 松井と桑田の会話を見て、関根が怒り始めた。

「ねぇ!口より手を動かして!まだ患者は来るわよ!」

「す、すいません。」



 ポリス地下6階ポリス専用医療室。隔離されたカプセルのようなベットで聖が横になっている。それをガラス越しに見つめるダブル。聖の周りには3人の女性スタッフが動いていた。ダブルの横に女医が近づく。

「知り合い?」と女医。

「いえ・・・」

「美人だもんね。ダブルにしてはもったいないわね。」

「包帯してるのに、よく分かりますね?どうして分かるんですか?」

「うふっ。ほら、否定しないじゃない!」

「はぁ・・・」



 P7指令室。久弥、弘士、楠本、曽根、桜井などのメインのメンバーが顔を揃えている。

「では、私はこのまま1番艦で戻ります。」

「海兵なら任せてくれ。そう言えばロクは?」


 久弥はロクが居ないのに気づき辺りを捜した。すると弘士に変って桜井が口を開く。

「さっきから居ないんですよ。」

「いつもの病気です。」と曽根。

「ああ、あれな?」久弥が腕を組む。

「連れて帰ります。奴は海では使い物になりません。」と弘士。

「ジャガーは1番に積み替えてますから!」と楠本。

「ご苦労!では桜井、曽根、街に戻るぞ!」と弘士。

「了解。」


 弘士、桜井、曽根は久弥に別れを言うと指令室を出て行った。

「これからが大変ですね?」と楠本。

「ジプシャンの本隊を呼ぶことになるかもしれない。早速だが海兵らの訓練だ。早くレヴィアが動かなければ・・・」渋い顔の久弥。

「急ぎ訓練に入ります!」



 レヴィア1番艦ブリッチ。

「すぐ出るぞ。ロクはこっちに乗り換えたか?」と指揮席の弘士。

「先程、乗船してましたから、大丈夫なはずです!」と三島。

「まあ、今回一番のお手柄ですから・・・」と桜井。

「湾入口の機雷も除去した・・・本部攻撃の可能性も出てきたわけだな。」

 曽根の口調も明らかに軽かった。


「ジプシャンがこのまま引き下がるかな?」と弘士。

「頭のいい指揮官なら・・・そう思いますが。何か問題でも?」桜井が出航準備をしながら弘士の問いに答える。

「タケシという男・・・そうは思えん・・・」

「今回の攻撃で死んでればよいのですが・・・」他人事の桜井。

「まあいい、急速潜行!レヴィアP6に向け発進!」

「了解!急速潜行!レヴィアP6に向かいます!」



 ロクはレヴィア1番艦の格納庫に積んであるジャガーの運転席で寝転んでいた。

「気持ち悪りぃー」

そこには船酔いのロクがいた。


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