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四天王  作者: 原善
第二章 松島奇襲作戦に賭けろ!
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その18 再会、ロクとヒデ

 “疾風しっぷうのロク”・・・ロクが10歳の頃に周りの者に付けられたニックネームだった。当時、10歳のロクはプロジェクトソルジャーとしてSCの訓練を始めたばかりだった。しかし、ドライバーの才能をわずか1年で開花したロクの前を走るドライバーは、他に誰もいなかったのだ。疾風のロクはその際に、同じプロジェクトソルジャーやポリス兵に呼び続けられていく。



04:58  ヒデの装甲車。東の空はだいぶ明るくなっている。風もなく海岸に打ち寄せる波は静かだ。遠く砲撃の音と爆破音が微かに響いていた。恐らく浜田基地への攻撃か、湾入口の機雷を4番艦が攻撃している音だとロクは勘付いていた。

「疾風のロク?あのロクなのか?」

「懐かしいな・・・いつ以来かな?そう言われんの・・・」ロクは少し照れてみせた。

「生きていたか・・・?」ヒデも再会を楽しむように笑ってみせた。


 すると装甲車の奥にいた丸田が運転席の方に出てきた。

「どうした?誰と話してんだ?」と丸田。

「動くな!」

 ヒデの重い声で事態を把握した丸田。


「雷獣のドライバーか!?」

「そうだ・・・」

「なっ・・・」

「しばらく見ないうちに、でかくなったよな?最後に逢った時は、まだガキだったしな・・・それがいつの間にかあんな化け物みたいなSCに乗るようになっちまったのか?」


「時間がない。用件だけ言う。すぐポリスに投降しろ!」

「今更だな・・・そう言えば、あいつはどうした?」

「ん?」

手榴しゅりゅうだ?」

「彼女は・・・生きてる・・・」

「そうか・・・くたばってなかったか・・・?」


 ヒデは丸田が腰の銃を抜く気配を感じ、丸田を手で牽制した。

「動くなって言っただろ!丘を襲撃したのもこいつだ!分かるだろ!」

「ああ・・・」ヒデの声におじけつく丸田。

「投降はしない。そしてP6に戻る事はない!」ヒデはロクに正対した。

「そうか・・・ならここで・・・」

 ロクは改まってヒデに拳銃を向け、引き金に指をかける。


「武器を持たないジプシーを攻撃してはならない・・・そういう規則だよな?俺は丸腰だぜ。」

「装甲車に乗っていたよな・・・?武器と見なす・・・」

「噂では雷獣は殺しはしないはずだ・・・」

「ふう・・・なんだその噂?」呆れかえるロク。


 ロクは一度肩の力を抜き、構えていた拳銃を腰のホルダーに戻すと腕を前に組み始めた。

「ヒジリって女は知っているよな?」

「ひ、聖がどうした!?」

 聖の名を聞いたヒデの声が裏返った。


「昨日のお前らの襲撃で、重症を負った。」

「そうか・・・」

「妊娠していた。父親を探している。」

「さあな、誰とでも寝る女だからな・・・」

「父親が分かるなら、そいつも一緒に投降させろ!」

「なぜだ!?」


「その男が“ミュウ”だ!」

「何っ!?」顔の表情が一変するヒデ。

「ポリスでしか治療は出来ない。命が惜しいならそいつに投降しろと伝えろ!」

「なんだと・・・!?」


 すると、数百メートル先の海岸にレヴィアが上陸し停泊するエアーブースターの音が聞こえてくる。ロクのインカムに無線が入る。

『上陸しました。急いで下さい!』

「分かった。今行く・・・俺は行く。今日、お前を見逃すのはその男の為だ。すぐその男を連れ投降するんだ。」

「殺さないのか?いつから俺だと気づいてた?ロク?」

「槻木の時だ。あえてお前の正面に立った・・・」

「て、てめぇ・・・狂ってるぜ、あの時も、丘の時も、そして今日のこの作戦も・・・」

「ああ、そうだな・・・確かに狂っている・・・」

「ただな・・・こんな馬鹿な作戦を立てるのはお前しかいないと思っていたよ!」ヒデは強がって笑ってみせる。

「ふっ・・・」


 ロクは胸にあった手榴弾を1つ外すと、ヒデの側の装甲車のドア近くにそっと置いた。

「何の真似だ?ロク?」

「下手な真似をしたら、こいつを撃つ・・・」

「ふ、ふざけるな!」手榴弾を目の前に驚くヒデ。

「お前に言ったんじゃない。もう一人の下にいる奴にだ!」

ロクは見えない装甲車の後部座席を指差す。

「て、てめぇ・・・」

「俺の“腕”は知ってるよな?サンドウルフ?」ロクは軽い口調を最後にヒデから顔を逸らした。

「くっ・・・」

 ヒデはロクの言葉に顔をしかめた。


 ロクは装甲車を降りると、側に止めてあったジャガーに乗り込み、海岸に停泊しているレヴィアに向かった。ヒデはロクがいなくなるのを確認すると側に置かれた手榴弾を投げ捨てた。

「くそっ!」

「どういう事だ?ヒデ?なぜお前は奴を知っている?」

「それは・・・」

「しかも、サンドウルフって?それとミュウって?」

「ロク・・・あの野郎・・・」唇を噛み締めるヒデ。



05:05  海岸に停泊しているレヴィア2番艦。ロクのジャガーが近寄ると、左部分の格納庫の扉が開きロクはジャガーをそこに入れる。

「いいぞ!閉めてくれ!」ロクがブリッチに無線を飛ばす。

 レヴィアはすぐ格納庫の扉を閉めると、すぐ後退し海岸を離れて行く。



05:08  ヒデの装甲車。ヒデと丸田が、横転した装甲車を手や体を使って戻そうとしている。

「無理だ、ヒデ!2人じゃとても・・・戦車並みの重量だぞ!」

「仕方ない、歩いて基地に戻るか?」途中で諦めるヒデ。

「そうだな・・・」


 二人は装甲車を諦めて、松島基地方面の一本道を歩き始めた。

「聞かせろよ、ヒデ?」丸田が重い口を開いた。

「ああ・・・俺はリキに拾われる前にP6に居たんだ。」

「それは聞いた覚えがある・・・俺が聞きたいのは、奴との関係だ?」

「俺は元・四天王候補生・・・元プロジェクトソルジャーなんだ・・・」

「お前が・・・し、四天王だと・・・」


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