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四天王  作者: 原善
第二章 松島奇襲作戦に賭けろ!
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その16 雷獣、雲渡り

04:50  1番艦レヴィアが海上に浮上する。それと同時に前部甲板が開き2連式主砲が一門出て来る。

「目標浜田基地、距離2キロ!」

『了解!』多聞の声。

「敵主力SCはまだ基地内にいると思われます!」と国友。

『砲撃用意完了!』

「てぇー!」

 桜井の号令が響く。レヴィア1番艦が浜田基地に攻撃を開始した。同刻3番艦も手樽基地に砲撃を開始する。



04:50  浜田基地南西に8キロ地点。キーン、バズー、ダブリの3名が車内、アシカムで待機している。

「砲撃だ!行くぞ!」とキーン。

『了解!遅れるなよバズー!』とダブルの無線。

『お前らに追いつけるかよ!?』諦め気味のバズーの声。

「ふふふ・・・ついて来いよバズー!突っ込むぞ!」

 3台は浜田基地に向かって走り始めた。



04:51  レヴィア2番艦ブリッチ。2番艦の主砲は三連砲塔が2門が発射準備が完了している。

「ロクは!?」

「敵SCと交戦中!」

「司令!潮が引いたら奴らは・・・しかもこちらも浮上してます。基地もこちらに気づきます!」と佐々木艦長。


「分かっている・・・しかし・・・」悩む弘士。

「ロクさんの好意を無駄には出来ません・・・」

「ロクに無線は?」

「出来ます!」

「繋げ!」

「はい!・・・こちら海蛇2、黒豹応答せよ・・・?」


 すると雑音の多い無線が弘士の耳に届いた。

『なに・・・してんだ・・・早く・・・砲撃しろ!』

「お前こそ何してんだ!?そんなとこで!?」

『ちょっと・・・計算が・・・狂っただけだ・・・早く砲撃しろ!』

「馬鹿な・・・撃てるか!」

『こっちは・・・問題ない!・・・なんとかする!・・・早く・・・砲撃を・・・』

「司令!?」佐々木が後ろで指示を仰ぐ。

「絶対・・・帰って来い・・・いいな?」と弘士。

『戻るって約束したんだ・・・帰るさ・・・!』


 ロクとの無線が切れる。下を向く弘士。しかし再び佐々木を見つめる。

「・・・砲撃だ!」

「りょ、了解!・・・上部ミサイル発射!!」

 レヴィア2番艦は橋と橋の間に留まっているタケシ本隊のSCに砲撃を開始する。



04:43  その頃、ロクとタケシ隊は狭い道幅で壮絶なバトルを繰り広げていた。そこへレヴィア艦からの砲撃が始まった。

『こいつ・・・バケモンです!機銃がまったく・・・』

『機銃隊全車走行不能!』

『雷獣が・・・崖を走っています!うあぁぁ!』


 タケシの耳に入る数多くの無線は、部下の悲痛な叫び声と、弱音な声ばかりだった。そんな無線の中、タケシは激怒した。

「何してる!体当たりしてでも奴を止めろ!!」 

『海から砲撃です・・・タケシ様・・・崖を登れるタイプは撤退させましょう!』

 そんな中、嶋の無線までもが弱音を吐き始めていた。


「雷獣を前にして逃げろと言うのか!?」

『このままでは隊は全滅します・・・』

「なら崖を登れるタイプは逃げろ!他の物はSCを置いて海に脱出しろ!」

『タケシ様は?』

「奴と決着付ける!」

『なら我々も残ります!』

 タケシは遂に隊の撤退命令を下していた。しかし眼光だけは雷獣に向けられている。

 


04:44  ロクのジャガー。

「あいつ・・・本当に味方に撃つかよ?しかし突破口は出来た!」

 ロクのジャガーは隊が乱れた始めたタケシ隊の隙を突き、松島基地方向に走り抜けた。



04:44  タケシのストラトス。

「野郎っ!松島基地へ・・・逃がすか!」

 ストラトスの3台はジャガーを追って松島方面に向かう。



04:45  レヴィア1番艦ブリッチ。

「キーン、ダブル部隊が基地に接近!」と国友。

「多聞、撃ち方やめ!」と桜井。

『了解!』

「あとは連絡待ちか・・・松島の方は?」

「砲撃してるんですが・・・同じ場所にロクさんのSC反応もあり・・・」

「どういう事だ!?」

「ここからではなんとも・・・」

「味方が砲撃をしてるって・・・?ロクさん・・・?」桜井は松島基地方面を見つめる。



04:46  ジプシャン軍浜田基地近辺。ダブルとキーンのSCが基地に近寄ってくる。

「基地半壊、SC部隊は壊滅ってとこか?キーン?」とダブル。

『1番艦の砲撃主、いい腕だな!』無線のキーン。

「出迎えがないって事は、そういう事?」

『そうだろな?』

「なら行くぜ!俺が先頭で突っ込む!キーン援護頼む!バズーも早くしろよ・・・」

『了解!』

『あと2分くれ~』嘆くバズー。

「待てねぇな・・・」



04:48  松島寄りのジプシャン軍臨時橋。そこにロクのジャガーが近寄ってくる。その後に、3台のストラトスがジャガーを追ってくる。その橋は全長で250メートル、よく見ると橋は海側にコの字のコースで建てられている。ガードレールらしきものはなく、高い所で10メートル程高くなっている緩い逆U字型だが、レヴィアの砲撃でその一番高い部分が30メートル程に渡って欠損していた。

「司令・・・いい仕事しやがる・・・あの間、30メートルってとこだな?」


 ロクはその橋を見てそうぼやいた。

「あのカーブがあるから加速は無理だな。しかしここに居れば巻き添いかストラトスの相手かのどちらかだな?ならば・・・」

 橋のコの字になった曲がりを見て、ロクは加速が出来ないと感じた。

「技師長・・・あんたブースターで車を空に飛ばすって言ってたよな?ならば・・・その言葉、信じる!」

 ロクは海岸線から橋の入口にハンドルを切った。


04:49  ストラトスのタケシ。

「まさかあいつ、橋を飛び越えようとしてるのか?」

『無理です。あの距離ではいくら奴のSCでも・・・』と嶋。

『装甲が厚い分、かなり重いはずです・・・』と石森。

「本当に・・・死にに来たか?・・・雷獣さんよ・・・!?」



04:49  ロクのジャガー。

「やはりこの距離では十分な加速が出ない・・・しかしエアーブースターなら・・・」


 ロクのジャガーはコの字のカーブを曲がると橋の直線部分で停車した。

「舗装されてる道・・・久々~ならやってみっか!?」

 ロクはブレーキを踏みながらアクセルを何回も踏み出した。タイヤは空回りし夜明け前の海岸に異音を轟かした。

「ジャンプと同時にエアーブースター最大出力・・・船が浮くんだ・・・車だって・・・」

 ロクは更にアクセルを踏み込んだ。タイヤと舗装部分の擦れた音が更に大きくなった。


「タイヤ減らしたらまた技師長に怒られる・・・まあいいか・・・行けぇぇぇー!」


 ロクは崩壊した橋に向かって急加速発進した。


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